第14話は、第13話と打って変わって、主人公たちの卑しさが全開でその幕を開ける。
たったひとつの餅の取り合いで一世一代の大げんかをおこすという、前回の第13話のあの感動はいったい何だったのかという読者の嘆きが聞こえてくる。
餅そっちのけで格闘を繰り広げる本末転倒ぶり。「半分にする」という発想を彼らははなから持ち合わせていないのだ。
味付けもされていないただの白餅一つを全力で奪い合う。何事にも全力で臨むことは良しとされてはいるが、時と場合にもよるという好例だろう。
そして以前から主張されてきたドラえもんの安物買い説。残念ながら未来の世界でも粗悪品などは普通に存在している。
ラストでは開幕の悪夢が蘇る。
苗から苦労して米を作り、収穫の喜びをかみしめながら餅を作るという、農業の苦労や食べ物のありがたみを教えてくれる教訓めいた話かと思いながら読者はここまで読んでいたはずだ。
だが現実はいつも理想とはかけ離れている。
狭い部屋の中で、餅をその床いっぱいにまき散らしながら食べ物を粗末にする主人公たちの荒々しい姿をわれわれは最後の最後で目撃することになる。残念ながら。