大河ドラマ「豊臣兄弟」を毎週視てます。戦国末期を描いた小説、映画、ドラマは大体押さえているし、コーエーの「太閤立志伝」も全タイトルプレイしているので「桶狭間の戦い」から「関ヶ原の戦い」「大坂夏の陣」までの流れはほぼ完璧に理解しているつもりである。
「豊臣兄弟」の第4話は織田信長が登場する話では序盤のメインイベントである桶狭間の戦いが描かれた。一級資料に藤吉郎、小一郎が出てきて存在がぼんやりと確認されるのは美濃攻めになるので、秀吉、秀長を桶狭間の戦いにどう描くのは完全にフィクションの領域で脚本家の腕の見せ所になる。豊臣兄弟では藤吉郎と小一郎は信長側近で槍の名手であった城戸小左衛門配下の雑兵として参戦していることになっていた。親の仇に設定された城戸小左衛門が討ち取った今川方の侍大将を奪って自分の手柄として偽りの申し出をしたことで出世の足がかりを掴むということになっていた。
豊臣兄弟の脚本を担当している八津弘幸さんは戦国時代の事情にあまり詳しくないのだろう。どんな高名な武将の首を持ち帰っても雑兵身分では手柄は引き連れた武将の手柄になる。さらに自分が首を獲ったことを周りにいる武将に確認してもらう必要もあった。まあドラマだし、よくわからない藤吉郎と小一郎の出世の始まりには格好のエピソードにするのは納得である。
ただどうしても気になるところがまたまたあった。信長の寸前まで敵が迫り信長の周りを守る将校が刀を振るって応戦していたシーンである。大将の周辺で刀で応戦しなければならない状況はほぼ負け戦の時である。大坂城落城の頃でも中距離戦の主力は弓矢であり、接近戦の主力は槍であった。刀は最後の護身的な位置づけである。刀で大将やその周りの武将が応戦しなければならない状況は首を奪られる一歩手前の状況なのである。刀を振るって戦う映像は確かに絵になるから脚本に採用するのだろうが、そもそも「七人の侍」の決戦の前に菊千代が言った通り刀では「5人と斬れない」もので確実に仕留めるには斬るより突くものである。相手は鎧を着ているのである。その上から斬っても鎧が邪魔になって傷1つダメージを与えられないので鎧の隙間から突いて致命傷を与えられるのである。
「桶狭間の戦い」の藤吉郎と小一郎の描き方は記録に残っていないので、ドラマチックの描き方をするののは、今回はどんな手を使うのか面白く視られるが、刀、槍、弓、鉄砲の戦い方はしっかり正しい使い方で描いてもらいたいと思っている。