長かった ふしぎ少女編 も、いよいよ最終章。
そんなこんなで小学生時代は終わり、私は近所の区立中学に進学する事になりました。
中学生の時は、私はちょっと 痛い女子生徒 でした。
小学生の頃はあまり目立たない大人しい児童だったのですが、
その反発か、中学生になるととにかく目立ちたい衝動に駆られ、
常に面白い事や変わったことをいってみたりやってみたりするキャラになっていました。
と、言っても根が暗い自分の性格上、クラスの中心人物にはとてもじゃないけれど
なれる器ではないということは自覚していたので、仲の良い友達グループの中でだったり、
もしくはクラスの中でも班での活動時など少人数の中でのみそのひょうきんさを出していました。
で、クラスの中心グループのメンバーが
授業中になにか面白い事を言ってみんなを笑わせても、私は
「こんな低レベルのギャグで笑うなんて…
私だったらもっと面白い事を言うのに…」
みたいなことを思いながら常に否定的な態度を取っていました。
このあたり、完全な 痛い中二病 ですね(´д`)
思い出すのも恥ずかしく、今でも当時の事を思うとギャアーとなりますw
私の場合は、こういう感じでフワフワしたまま中学生時代は過ぎ、
高校生になって環境がガラッと変わると途端現実に引き戻されました。
周りはみんなおしゃれで可愛くて頭も良くて、
「自分って、散々いきがってたけど実は全然ダメじゃん!」
って思ってからは、もう分相応にイキがったり、他者を否定したりすることはなくなりましたw
で、「人と変わった面白い事」を見せ付けた相手が
自分の仲の良い友達グループだけだったことを…
…つまり、 自分がネクラであったが故の心のリミッター を、
心の底から感謝しましたw
私でコレだけ恥ずかしいんだから、クラスの中心でイキがってた
アイツとかアイツとかはもっと恥ずかしい思いをしているに違いない…たぶん。
ただ、こういう自分の中で「自分の実力を過信する」みたいな時代って、
この頃だから許されるんだなぁとも思います。
今でも自分を過信しすぎて現実が見えてなくて、
自分を超カッコイイとか思ってイケメンぽく振舞ったり、
自分は普通と違うって言って変わったことばかりを言おうとしたりしようとしたりする人々は
まま見るけれど…それはもう中二病じゃないもんね。ただの痛いヒトw
いつか卒業するから中二病なのだなぁと思った次第ですw
で、私の思い出すのも辛い話はさておき。
中学生のとき、私が出会った最大級の 「ふしぎ少女」 のお話をしたいと思います。
それは中学二年生のときのある日、唐突に私の前に現れました。
私は通常、朝の登校は仲良しグループで登校し、その後別のクラスにいる親友Aと会い、
朝礼の時間まであれこれと世間話をすることが多かったのですが、
その日はたまたま親友とも話さずに普通に席に付いてチャイムが鳴るのを待っていたのでした。
すると、クラスメイトで同じ班の Kさん が近寄ってきました。
Kさんは私の左上の方をじっと見て、ずっと無言で黙っているのですよ。
私は思わず聞きました 「どうしたの?」 と。
するとKさんは、こう返しました。
「トーコちゃんの後ろに、悪霊が憑いてる…!」
ハア????
私の目は、完全に点になってしまった。
このブログでは何度も言ってることですが…わたしは幽霊の存在を信じていません。
この世の不思議で信じているのは、UFOとか宇宙人とかくらいですw
理由を書くと物凄く長くなってしまう上にオチもないので書かずにおきますが、
信じてないものは信じてないわけで…
悪霊が憑いていると言われても、私に面白いリアクションなど取れよう筈もなかった。
「え…あ、そうなんだ…」
そう言うと、Kさんは私が怖がるリアクションをしなかったのが、ちょっと不満なようだった。
「トーコちゃん、背中に男の人と女の子の霊と、あとネコみたいな動物霊も憑いてるよ!
こんなに憑いてたら危ないよ!」
へ、へえ~~…。
そもそもこのKさんという人、クラスではあまり好かれていない人物であった。
その理由は、すぐにお金を貸してと言ったりすることや、
そしてそのお金を返さないということや、
他愛もない嘘をついて周りを心配させたりするってことを、私は噂で聞いていた。
ただ噂で聞く限りであって、私は彼女と同じ班になってから
一度もそんなそぶりは見せなかったので、普通に彼女と仲良くしていた。
しかし、そんな噂を持っている彼女のこのセリフ。
私は若干警戒しながら、こんなことを返した。
「でも、私には見えないからさ…見えないモンはいないのと同じだから、
別に憑いてても気にしようがないわ…^^;」
私は…今もそうだけど幽霊の存在を信じている人を否定する気はない。
私だって宇宙人はいる!って思っているし、
いないと証明する事が出来ない以上、何を信じるのは個人の自由だと思うから…。
だから、なるべく彼女を主義主張?を傷つけないように、私は言葉を選びながら話を続けた。
しかし、彼女は私の心遣いなど意にも止めぬ感じで、危ない危ないと繰り返すのみだった。
「すぐに除霊しないと危ないから、
あとで私が除霊してあげる!」
ほ?
除霊? あなたが?
こういうことを言われると、私の中に新たに別の感情が生まれた。
(どんな除霊をするのか、見てみたい…。)
完全に、興味が先に立っていた。
退屈な日常で、ちょっとしたスパイスを求めるような気持ちw
そもそも、彼女は同じクラスメイトになって、もう一年近くになるような存在だった。
結構話もしたし、割と仲良くしていたと思っている。
それが何故、今日という日になって突然、背中に霊がいる!
なんて言い出したのか、また、除霊が出来るなどと言い出したのか…。
「へえ~、じゃあ、お願いしようかなw」
私が薄ら笑いを堪えながらそう言うと、彼女は嬉しそうに頷いた。
で、休み時間。
私は彼女に連れられて、校舎奥のトイレにやってきた。
うちの学校は1つの階にトイレが2つあって、
1つは10個くらい個室が用意されている大きなトイレだが、
この校舎奥にあるトイレには個室も2~3個しかなく、
奥まっているため生徒にはあまり使われていなかった。そのため、第二トイレと呼ばれていた。
誰もいないトイレで、彼女はポケットからあるものを取り出した。
銀色の十字架のペンダントだった。
(おお、キリシタン系…!)
私は思わず興奮した。
除霊っていうから、数珠とか使って「ナムー」みたいなのを想像していたけれど、
どうやら彼女はキリスト教の象徴である十字架を使って除霊を行うようだっだ。
「じゃあ、背中をこちらに向けてくれる?」
彼女がいったので、私は言われるがままに後ろを向いた。
しかし、洗面所の鏡があるので、
横を向けば後ろで彼女が何をしているかは確認する事が出来た。
すると彼女は、そのペンダントの鎖の部分を手に巻き、くるくると回し始めた。
(おお、なにが始まるんだ…!)
私の期待度はMAXだ。
そして彼女は、ペンダントを回転させたまま私の背中に向かってヒュンヒュンとそれを振った。
ペチペチと軽い感触が背中に当たったなぁと思った瞬間、突如背中に激しい衝撃が走った。
「ぐあ!!!」
バン、と大きい音がしたかと思うや否や、彼女が私の背中を思いっきり叩いていた。
痛い。まあまあ痛い。
ヒリヒリと背中が痛むなか、彼女はようやく口を開いた。
「…うん、もう大丈夫!」
彼女は仰々しく十字架を外して胸ポケットにしまいこむと、私に向かって微笑みかけた。
どうやらこれで除霊は済んだらしい。
(………)
私はちょっと期待しすぎたこともあって、
これで除霊イベントが終わってしまった事が不満だった。
もっとこう、Kさんが呪文みたいなのを唱えたり、
出で来た悪霊と戦ったり…そんな面白そうな事が起こるかもと思っていたのに…。
「天に召します我らが神よ…我に力をお貸し下さい…!」 とか、
邪鬼眼(*1 みたいな感じになったら楽しいじゃんかw
不満だった私は、もう少し彼女に霊のことを聞いてみることにした。
「ねえ、いつから霊が見えるようになったの?」
私がそう聞くと、彼女は霊が見えることに関して、私が理解を示した事に気を良くしたようだった。
「生まれたときから見えるよ。」
ほうほう。
じゃあなんで今日になって見えることをいきなり打ち明けたのかなんて
野暮なことは、今更聞かないでおく。
「除霊出来るようになったのは?」
「それは最近。本を読んでやってみたら、出来るようになったの。」
ふーん。
そんな本、本当にあるんだろうか。
「その本面白そうだね、今度貸してよw」
調子に乗って、私はこんな危険な質問をしてみた。
小学校のときのテレポーテーション・ガンじゃないけれど、持ってるかどうかも
怪しいアイテムだ。もしかしたら答えに困窮してボロを出してしまうかもしれない。
しかし彼女は
「良いよ。明日持ってきてあげる。」
と、意外にも快く了承した。
完全に面白くなってしまった私は、その日一日、彼女と一緒に行動してみる事にした。
彼女は実に、色々な霊の存在を教えてくれた。
教室の隅に動物霊がいるとか、担任の先生には悪霊が憑いているとか。
廊下を歩いていると、急に首だけの霊が浮遊していると言い出し、
「避けてーーー!!!」 と叫び、
その場にいた生徒たちに冷ややかな視線を送られるという一幕もあった。
そして帰り道。
たまたま帰路が一緒の方角だったので、彼女は私の家を見たいと言い出した。
お安い御用だった。
案の定彼女は私の家の前に来ると、
「ベランダに老人の霊が座ってる…!」
と言い出した。
「へ~え、どうしたらいいの?」 とわたしは聞いた。すると彼女は
「ベランダに塩をまけば、多分いなくなると思う。」
塩…。
塩をまくのは、なんていうか、神道 だよね…。
キリスト教をベースにしてるんだから、
もちっとこう 「聖水の作り方」 的な感じにならないものかなぁ。
そんな事を思いながら、その日は彼女と別れた。
もちろん、塩はまかなかった。
次の日、私は学校に到着すると、例によって朝礼の時間まで親友と世間話をしていた。
時間になって親友と別れると、席に着く。
それを見計らったように、Kさんはやってきた。
「これ、昨日言ってた本。」
実は、言った私のほうが忘れてしまっていたのだが、
彼女はその本を持って来てくれていた。
みると、大きさは新書サイズで、近所の書店のカバーがかけられていた。
私は彼女に礼を言うと、後でじっくり読ませてもらうとカバンの中にしまいこんだ。
それで終わると思ったのだが、彼女はさらに話を続けた。
「あのね、さっきAさんと一緒にいたでしょ?」
うん?
KさんのいうAとはさっきまで世間話をしていた私の親友の事だった。
なぜ親友? 私はちょっと戸惑いながら 「そうだよ?」 と話を続けた。
「Aさんの背中に、女の人の悪霊が憑いてるんだよね…。」
へ、へ~え…。
「で、それは除霊したほうがいいの?」
「うん、早くしないと危ないと思う…。」
また、除霊かぁ…
正直、もう除霊は見たからそんなに興味ないけど、
親友にこの話をしてみるのも面白いかもな。
そう思って、私はKさんに、休み時間になったら親友に除霊して欲しいか聞いてみると伝えた。
そして、休み時間。
私は親友のいる教室に訪れ、果たして除霊を行うかどうか聞いてみた。
クールな彼女がそんな話に乗ってくるかは五分五分だったが、
果たして彼女はその話に乗った。
やっぱり、親友もチョット面白そうだと思ったようだった。
かくしてその日の放課後、親友への除霊イベントが行われた。
Kさんはまたも十字架のついたペンダントを取り出して、
親友の背中に向かってヒュンヒュンと回し始めた。
後ろから見るKさんの除霊の姿もなかなかに興味深かった。
よく見ると、十字架のペンダントで十字を画いているのね。
そしてついに、Kさんは除霊の最後の締めとして、親友の背中に掌底を炸裂させた!
「ふお!?」
その力は、私の時よりも何倍も大きく見えた。
私はその時初めて、いつも頭が良くて沈着冷静な彼女が、
コメディ映画のように「バビューン」と飛ばされる姿を見てしまった。
余りの衝撃に親友は身体は前へつんのめり、ドア付近まで吹っ飛ばされた。
「い、痛いーーー!!!」
親友は叫ぶと、マジで痛そうに顔を歪ませている。
おいおい、私のときと全然違うじゃん(´д`)
私はちょっと焦りながら二人の様子を窺ったが、Kさんはニッコリとした笑顔で
「うん、これで除霊は終わった^^」
と、その場を去っていった。
残されたトイレで、ブチ切れたのは親友だった。
「なんなのあの人は!?」
まさかそんなに仲良くない人に、
突然ぶっ叩かれるとは思っていなかったのであろう。
確かにそうだった。しかも親友への叩きの大きさはハンパなかったし…。
「大体、あんな子に霊が見えたりするわけないじゃん!」
親友の怒りは大爆発していた。
よく、Kさんがいる前でブチキレなかったなぁ。偉い。
親友はさらに言った。
そしてその言葉は、私がそれまで出会ってきた不思議少女たちが、
何故他愛ない嘘をつくのか…という長年の疑問を、すっかりと解決するものだった。
「あの子はああやって、嘘をついて誰かの気を引きたいのよ。
自分にもっと注目して欲しい。でも自分自身の力ではそれが出来ない。
だから、ああやってしょーもない嘘をついて気を引こうとするのよ!」
ああ、そうだったのか…。
現実にはありえないことを「できる」と吹聴して回る彼女たち。
その理由は、実に切なくも悲しい願望ゆえの行動だったのだ。
でもその選択は…残念ながら現実の世界を生きる人々にはマイナスイメージでしかない。
嘘なんかつかなければ、もっと一緒に仲良くしていられたのかもしれないのに…。
「ところで、このアホな除霊のやり方はどーやって思いついたのかしら?」
親友はまだブチキレ気味のまま言ったが、
わたしはその時ようやく借りた本の事を思い出した。
「そうそう、この本に書いてあったんだって。」
カバンから本を取り出すと、私は親友と一緒にその本の表紙をめくった。
すると、衝撃的なタイトルが躍り出た。
『誰でも出来る白魔術』
あ、あやしい…
「白魔術って…除霊あんまり関係なくない?」
親友は言ったが、もうそんなことを言ったって…
最初からキリスト教とか神道とかいろいろ混ざっちゃってるんだから
今更そんな野暮なこと聞くないw
私たちはパラパラとページをめくって行ったが、
そこで、とあるページ に折り目がついていることに気がついた。
「………」
ページの角を折り曲げているのでどうみても 「しおり」 だった。
私たちは顔を見合わせながら、そのページをめくってみた。
すると、そのページにはこう書かれていた。
『ほれ薬の作り方』
キャアアアアアアーーーー!!!(゚ロ゚;w(゚ロ゚)w;゚ロ゚)w
私と親友はしばらく絶句してしまったのでしたw
その後、彼女は数日も経たないうちに「霊が見える」ということを言わなくなりました。
多分、除霊キャラに飽きたのでしょうなw
彼女はそれからは、私を 「嘘をついても大丈夫な友達」 と認識したのか、
「急に引越しすることになった。」 とか
「30歳の男性と付き合うことになった。」 とか
その他様々な他愛もない嘘をついていたのだが、
最後の頃は私もあんまり相手にしなくなっていった。
最後はついに、夜に急に電話してきて
「急にお金が必要になったんだけど、二千円貸してくれない?」
と言い出したので、頑なに拒んだら一方的に電話を切られ、
それっきり彼女とは疎遠になった。
これが、私がであった最後のふしぎ少女のお話でした。
今思えば、私も面白がるだけでなく、
もうちょっと夢のある返し方が出来ればよかったのになぁ…と、
時折思い出しては反省したりしてますw
*1) 邪鬼眼…選ばれし者が持つという第三の眼。
転じて、子供の頃に考えたような痛い妄想設定のことを
総じて「邪気眼」と呼ぶこともある。(詳しくは