2015年9月6日19:04キックオフ@西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場 天候:雨

京都 4ー0 流通経済大


【京都メンバー】
GK清水圭介。DF右から石櫃洋祐、菅沼駿哉、バヤリッツァ、下畠翔吾。MF右から伊藤優汰、原川力、田森大己、駒井善成。FW宮吉拓実、有田光希。
SUB:杉本大地、山口智、磐瀬剛、佐々木勇人、荻野広大、フェホ、大黒将志
監督:石丸清隆

(選手交代)
70分、有田→フェホ:ポジションそのまま。
71分、田森→荻野:ポジションそのまま。
80分、宮吉→大黒:ポジションそのまま。


【流通経済大メンバー】
GK中島宏海。DF右から湯澤聖人、今津佑太、田上大地、小池裕太。MF底に塚川孝輝、前に右から守田英正(64分:→森保圭悟)、古波津辰希、山岸祐也、西谷和希(75分:→渡邉新太)。FW渡辺直輝(50分:→立花歩夢)。
SUB:坂田大樹、米沢健吾、小川紘生、桜井将司
監督:中野雄二


【審判団】
主審:吉田哲朗 副審:林可人、西村幹也


【得点】*サイドは攻撃側から見て
40分、駒井(京都1-0流通経済大):左から続くCK波状攻撃。原川の裏へのパスは弾き返されるも、もう一度原川が拾って左の駒井へ。駒井がエリア内へとドリブルで仕掛け、2人をかわしたところで倒される。その弾みで駒井の肘に当たり、転がったボールをGKが逸してゴールに入れてしまう。
46分、有田(京都2ー0流通経済大):田森が高い位置で奪い、中央の有田へ渡る。宮吉とのワンツーを受けた有田が、切り返しから左足でファーサイド側に流し込む。
52分、宮吉(京都3ー0流通経済大):原川が高い位置で相手選手から奪い、すぐさま左へ走る宮吉にスルーパス。抜け出した宮吉が落ち着いて左足ループシュートを決める。
67分、宮吉(京都4ー0流通経済大):右サイドの高い位置で伊藤と駒井がプレスをかけ、こぼれ球をエリア内で拾った宮吉が落ち着いて左足で決める。


【警告】
京都:なし
流通経済大:なし



一回戦、立命館大相手に中盤守備の綻びを修正しきれずPK戦までもつれ込みましたが、なんとか勝利した京都。
二回戦の相手はまたしても大学勢。茨城県代表の流通経済大学との対戦となりました。

流経大は有名な強豪校ですね。
また、部員もかなり多く、関東大学リーグで優勝争いをしているトップチームが今回の対戦相手ですが、それ以外にも、JFLに参加する流経大ドラゴンズ龍ケ崎、関東社会人リーグに参加している流経大FCを含め、複数のチームで活動しています。
なお、茨城県予選ではベスト4のうちなんと3チームが流経大。
強豪との評判に違わず、一回戦ではJ2の栃木を破っての二回戦進出です。
毎年Jリーグに加入する選手も多いですが、今年も右SBの湯澤が柏に加入内定、CBの田上とMFの古波津が栃木に強化指定選手として登録されていますね。

一回戦のような試合をしてしまえば痛い目に遭いそうな前評判もあった中、京都のスタメンは直近のリーグ戦で多く見られたメンバーがメインとなり、左SBには下畠が入りました。



切り替えの速さで圧倒し完勝


流経大は2列目に4枚の選手を配し、前線から激しくプレスを仕掛けてきました。
やや飛ばし気味に流経大が入ったことに加え、雨でグランド状況が掴みづらいこともあって、京都にとって後方からショートパスで繋いでいくことは難しい様子でした。
それを見て取ってか、早めから相手の裏やサイドを狙って長いボールを入れ、ツートップを走らせたり競らせたりといったシーンが増えます。
流経の2列目のプレスは空転してしまう上、有田と宮吉がしっかりとボールを収めることによって、流経の守備陣がラインを上げづらくなっていきましたね。
ロングボールを跳ね返されたとしても、京都の後方の選手の押し上げが速く、高い位置で奪い取っては2次攻撃に繋げることができていました。
流経も攻守の切り替えの速さを武器に戦いたかったと思うのですが、京都がそれを外した上に流経を上回る速さを見せたと思います。

一回戦・立命館戦では守備への切り替えも遅かった上、攻撃面でもなかなか前方に運べず。
さらに、焦りからか不用意に高いポジショニングを取ってカウンターを何度も受けたことを思えば、全体のバランスは格段に良かったですね。

カウンター気味にサイドにボールを出された時に、右では伊藤のポジショニング、左では下畠とバヤリッツァの関係性でやや危ういところも感じましたが、全体的にコンパクトさを保ったまま高い位置で守備に入れた印象です。

流経の運動量が保てていたことや、京都のシュートがGKの正面を突くシーンが多かったことによってなかなか点が入りませんでした。
しかし、駒井の神の肘からなんやらかんやらした先制点と後半開始直後の有田のゴールで一気に趨勢が決まりました。
流経大は京都の速さに対応することができず、高い位置で奪われてはショートカウンターに晒され続けることに。
立て続けにショートカウンターから宮吉が2得点を挙げ、試合は決しました。

その後は流経大も京都もややテンションが落ちた試合となり、京都はテストモードに。
一回戦に続き荻野を起用し、フェホと大黒のツートップを起用。
ただ、その後は特に動きがなく、4-0で試合終了。
全体的に京都の完勝という試合になりました。



今後のリーグ戦に向けた動き


2戦続けて大学との試合ということで、やりづらさは相当にあっただろうと重いますが、しっかり完勝して3回戦進出を決めることができました。
リーグ戦が2週続けて空く期間でもあり、この2試合は今後のリーグ戦への準備でもあったと思います。

1回戦は正直なところ不甲斐ない試合ぶりであり、連携不足を考慮したとしても、特に出場機会をあまり得られていない選手たちにはさらなる奮起を求めたくなるものでした。
一方で今回はリーグ戦で主力として起用されていたメンバーを主体に臨んだわけですが、このメンバーでしっかり戦えたことは来週以降のリーグ戦に弾みがつくでしょう。1回戦で休めた選手も多かったですし、コンディション調整もやりやすかったでしょうから。


それに加え、気になるポイントのテストを行えたように思います。
特に左SBとボランチの組み合わせです。

この試合では左SBに下畠が起用されました。
1回戦でもDFラインは出場機会の多い選手が起用されていたわけですが、リーグ戦で出場の多かった磐瀬の出番はなし。
2試合のうちでどちらかには出場機会があっても良いかなというところですが、そうしなかったのはリーグ戦で磐瀬が累積警告を3枚受けており、近いうちに出場停止となる可能性があることが関係しているのでしょう。

左SBでは磐瀬もしくは内田がよく起用されていましたが、CB的にプレー可能な磐瀬に比べると、内田は本職が右SBであることもあってやりづらさを感じさせることもあります。
1回戦では内田の起用でしたが、別のオプションとして最近CBとしてもプレーするようになった下畠のテスト起用となったのでしょう。
前半はぎこちなさも感じましたが、後半はスムーズにやれていたと思いますし、一定の評価を石丸監督もしているのではないかと思います。
守備面ならまだ磐瀬の強さが魅力的ですが、攻撃参加に関してはタイミング良く下畠がやっていたと思いますし、リーグ戦再開となる千葉戦ではこのポジションは注目ですね。
特に千葉戦で対面するのは相手のキーマンであるペチュニクが有力ですし。


もうひとつ、ボランチでは2種登録の荻野が続けて起用されました。
今回の流経大戦でも田森が中盤で絶大な存在感を見せていましたが、負傷明けでもあり、どうやらまだコンディション的に万全ではないようです。
シルバーウィーク時には連戦となりますし、田森の代わりとなる選手は確保しておきたいところ。
1回戦では原川とファン・テソンもしくは永島の組み合わせでは厳しさを感じさせましたし、リーグ戦での起用状況から言えば磐瀬が候補となってくるのでしょう。
(タイプ的にはキム・ナミルもいますが、90分稼働できるかは怪しいところもあり、天皇杯でメンバー入りしなかったことから考えると状態はあまり良くないのかもしれません)

結局のところ、上記した左SBの話と関係してくることになりますが、磐瀬のポジションのやり繰りによっては、他のオプションも必要になってくるというところで。
2種登録された荻野は、CBとしてもプレー可能ということで、ポジション的には合致しており、この2試合での起用は期待の高さを窺わせます。
流経大戦でのプレーを見る限りだと、足元の技術や前に飛び出ていく意識に長所がありそうですが、DFライン前での守備については、特にカウンターを受けた時のポジショニングはまだ学んでいく必要があるように思いました。
とは言え、体もしっかりしていそうですし、リーグ戦での出場機会も得られるかもしれませんね。


今回の試合の終盤には大黒とフェホのツートップにしていましたが、これはリードされた状況を睨んでのものでしょうか。ツートップのうち、一枚が入ってくれないと高い位置からの守備がスタートしづらいところもありますので。
ただ試合展開上、テストには不向きだったかもしれませんね。コンディション調整上の出場の意味合いもあったでしょうか。


まずこの一戦で見れば文句なしの完勝でした。
それだけでなく、リーグ戦を睨んだテスト・調整を行えたという意味でも有意義な試合だったと言えるでしょう。
今回の一戦では当たりの強さでほとんど上回ったことによって無理が効いたところもあり、リーグ戦や今後の天皇杯(次戦の相手はJ1の川崎に決まりました)ではもっと細部にこだわっていく必要も出てくるとは思うのですが、次戦以降に向けていい準備になったのではないでしょうか。