インナーブランディングはこう進める(その9)
「会社(ブランド)がやりたいことを意識しているか?」
これは、いわゆる狭義の「ブランド浸透活動」の部分です。「ブランドを認知しているか」、「ブランドを理解しているか」、「ブランドに基づいた行動を実践しているか」というサブ要素に区分けできます。手法論としては既知のものが多くありますので、ここでは施策を考えていく上での4つのタイプに整理し、その留意点を共有することにしたいと思います。
先ずは「キャンペーンタイプ」
これは、ブランドブック、ブランド研修などに代表されるように、最もイメージしやすい「ブランド浸透」の方法です。これは活動の初動段階では重要ですが、前述した通り、これだけで達成感を持ってしまい、活動が中途半端に終わることも良くあるので注意が必要です。
続いて「やる気喚起タイプ」
誰から言われるのでもなく、「ブランドに基づいて行動してみたい」と思える空気を、成功事例の共有などを通じて醸成させていく方法であり、ある意味理想的な方法ともいえます。
次に「ルールで規定タイプ」
ブランドに基づく行動評価の既存評価制度への組み込みや、上長による定期的なチェックなど、ブランドに基づいたルールを構築し、仕組みとしてブランドに基づく行動を促す方法です。これは強力な方法ですが、担当組織をまたぐことが多く、実現までの障壁が多いとも言えます。
最後に「じわじわ退路を断つタイプ」
ルールで上から縛りを入れていくのではなく、社外へのブランド宣言(顧客の期待値を上げる)、部署別ブランド浸透度定期調査を通じて、「やらないと何となくまずい」という空気を、外堀を埋めるような形でつくっていく方法です。
何れの方法を採るにしても、その時までの取り組み状況や制約要件などを充分に鑑み、最も効果的と考えられる方法を組み合わせ、それぞれの施策を連動させる工夫が必要です。
インナーブランディングについては今回でひと区切り置きます。
次回から、ブランドの視点でみた商品開発論について書いてみたいと思います。
インナーブランディングはこう進める(その8)
「会社(ブランド)を誇れるか?」
「会社(ブランド)を誇れるか?」という視点をサブ要素に分解すると、
・仕事にやりがいを感じられるか
・顧客に感謝されている実感があるか
・社会から必要とされている実感があるか
という3つに纏められます。
仕事にやりがいや誇りを感じてもらう取り組みの事例として、あるタクシー会社の取り組みがユニークです。仕事に対する誇りを感じさせることを目的として、乗務員の呼び方を、「運転手」から「乗務担当社員」に変更、更にはスーツとネクタイの着用を義務付け、言葉遣いや乗り降りの際は扉を開けるなどの基本マナーを徹底して教育しました。
顧客に感謝されているという実感を与えるという視点について、この重要性を認識し、全社的な仕組みに組み込んだ有名な事例が、ある大手航空会社の「賃金明細書」です。社員に毎月渡される賃金明細書の表紙に顧客からのお褒めやお礼の言葉を掲載。CSマインド向上につなげるために、社員の発案によりスタートした施策で、毎月必ずコンタクトする接点から、顧客から感謝されているという実感の醸成を図る方法です。
また、ある医療機器メーカーの取り組みも注目に値します。「同社の製品がいかにあなたの人生を変えたか」について、患者にその体験を語ってもらい、感謝の言葉を聞くという社員参加のイベントを開催し、直接その実感を得る機会を設けています。
(続く)
インナーブランディングはこう進める(その7)
インナーブランディングに必要な要素①
「会社(ブランド)を信頼できるか?」
「会社(ブランド)を信頼できるか?」という視点をサブ要素に分解すると、
・会社・経営陣が信用できるか」
・一人ひとりを大切にしているか
・連帯感があるか
という3つに纏められます。
会社、経営陣が信用できる状況を生み出す試みとして、ある大手SNS運営企業では、経営者と社員が双方向コミュニケーションできる様々な機会を設けています。毎月最終金曜日には全社員が集まる「月例会」を開催し、会社の目指す方向を社長自ら説明。その後開催されるパーティでは役員と社員が自由に会話する機会を設けています。また、社内の情報共有サイトではほとんどの議事録を共有するなど、会社の状況や方針を社員に積極的に公開し、経営の透明性を高めています。
同様に、ある大手教育系企業では、経営会議を社員にオープンにする取り組みがあり、経営の透明性を保つばかりではなく、社員とともに決定事項に至るまでの考え方の共有を進めています。
社員同士の連帯感についても、最近よくその強化に向けた取り組み事例が紹介されています。ある大手メーカーでは、社員同士のコミュニケーションが希薄になっていたという背景から、「なにか皆で一丸となれるものはないか?」というトップの発案で、社内運動会を約20年ぶりに復活させたそうです。大手自動車メーカーなど、大手企業の何社かも同様の取り組みを始めており、その成果が注目されます。
(続く)
インナーブランディングはこう進める(その6)
6.インナーブランディングのメカニズム
我々のインナーブランディングのフレームがこちらの図表です。大目的は中央の「ブランドのもと、社員が活き活きと働いている」という環境をつくることであり、それを実現する3つの視点があります。
1つ目は「会社(ブランド)を信頼できるか」という視点。言わずもがなのインナーブランディングの原点にあたるものです。様々な企業とのお付き合いの中でも、そもそもここが低い水準にあるケースが意外に多いものです。インナー調査からお手伝いをすると、調査結果を見て、経営者やご担当の方が驚かれるケースもしばしば。どんな結果が出るかは恐ろしいですが、先ずは現実を直視するところから始めるべきです。
2つめは「会社(ブランド)を誇りに思えるか」という視点。仕事にやりがいを感じない、役に立っている実感もない、そのような意識の中でPUSH型の方法を採ることに無理があります。細かなブランド規定うんぬんはさておいて、ブランドに誇りを持てる状態をつくることが望ましいのです。それが素地としてあって初めてPUSH型の方法が活きてきます。
3つめが「会社(ブランド)のやりたいことを意識しているか」という視点。まさに狭義でいう「ブランド浸透活動」そのものにあたる部分です。
これら3つの視点がバランスよく三位一体となって展開され、その結果、社員の皆さんが活き活きとブランドのもとで働く空気、環境を作り上げていくことが、インナーブランディングの目標です。では順に、各視点を事例に基づいて説明していきます。
(続く)
インナーブランディングはこう進める(その5)
5.そしてその結果、どうなっていれば良いのか?
結局、最終的なインナーブランディング活動の目的とは何なのでしょうか。単にブランドの言葉を覚えさえ、行動目標を策定させるということだけではなく、その目的も少し進化させる必要があります。そこで我々は、インナーブランディングの目的を「ブランドに対する信頼と誇りから生まれる自発的な気持ちの中、社員が活き活きと働いている状態をつくること」と再定義しています。
申し上げたいのは、規定された言葉の枠内でのみ施策を考えなければいけない、という制約は必要ないということ。そうなると手法は当然限定されたものになり、一巡したら終わり、次の年は何やるんだっけ?みたいな状況も生まれがちになります。インナーブランディング活動を考える際には、組織を俯瞰し、もっと必要と考えることを自由に発想し、活動の領域を拡げて取り組むべきだと考えます。
また、インナーブランディングの目的に関して、社員が皆同じ方向性を向いて仕事をする、社員のどこを切っても同じ価値観で統一されている状態をつくるという解釈があります。勿論これも目指す方向性として間違いではありませんが、どちらかというと商品パッケージ、広告、店舗空間などを中心とした、モノのブランディングの考え方から来ている気がします。人が対象物であるインナーブランディングにおいても、長期的には会社独自の行動パターンを作り上げていくことをは目指しますが、そういった企業文化を半年や一年そこらで培おうとすること自体に無理があります。自由拡散型のPULL型アプローチで、徐々に土壌を作りながら、長期的に取り組む以外にないと思います。
(続く)
インナーブランディングはこう進める(その4)
4.今までのインナーブランディングに欠けていたもの
それでは、今までのインナーブランディングに欠けていた視点、今後必要となる視点を如何に捉えるべきでしょうか。図表をご覧下さい。どちらかというと今迄は、ブランドからの「PUSH型」アプローチが中心でした。ブランドに基づいた行動は「やらなければいけないこと」というスタンスで、ブランドを覚えなさい、理解しなさい、基づいて行動しなさいという方法論です。
ここで考慮しなければいけないのが、冒頭で紹介した、昨今の会社に対する社員の意識の変化です。自分が所属している企業(ブランド)に対して信頼し、忠誠を誓っていた素敵な時代であれば、PUSH型のメッセージでも、信頼しているが故に基本的に受け入れることができました。しかし、社員の意識が逆の方向に向かっているとするとどうでしょう。そもそも信頼していない、好きでもないものからあれこれと言われて、一体誰がその言うことを聞こうとするのでしょうか。
そこに経営者と社員の意識ギャップがあれば、幾ら様々な施策を展開したとしても、上手くいきません。これは、意外に抜け落ちている視点なのです。仮に、ブランドコンセプトを定めること自体で会社への求心力や愛社精神を高めようという発想があるとすれば、それは完全に主従が逆の見方です。ブランドとはそこまで万能なものではありません。幾ら理屈では解っていても、信頼・好意を感じないものにはそもそも協力したくないし、やりがいを感じないのは当然の感覚です。
もうおわかりかと思いますが、今までのインナーブランディングに欠けていたのは「PULL型」アプローチなのです。社員の企業(ブランド)に対する信頼や誇りが充分でないうちは、「PUSH型」で、ブランドのことを理解させ、行動させようとする前に、先ずはブランド(会社)を好きになる、信頼できる、誇りに思えるという状況を作る必要があります。
言うなれば、「やりたくなることとして」社員がブランドを思うことができる心理的な素地を作るということ。これがないと、幾らブランドを上から押しつけ浸透させようとしても、成果を出すことは難しいと思います。
(続く)
インナーブランディングはこう進める(その3)
3.そんな中、インナーブランディングを如何に捉えるべきか?
インナーブランディングの目的とは何か?と聞くと、大抵は「ブランドで規定した言葉を理解させ、それに基づいた行動をとらせること」と答える人が多いと思います。勿論それは今迄の一般的な認識であり、決して間違いではありません。しかし、今後必要なのは、事業環境や社員の意識の変化と、これまでの活動から得られる示唆を併せて、あるべき方法論を見い出すことです。
90年代後半、「ブランドエクイティ」という新しい概念が一気に広まった「ブランド戦略ブーム」の時代。そこでよく見られたインナーブランディングの方法が、ブランドブックや社内イベントなどの一方通行的なキャンペーン型の施策です。
勿論、「ブランド戦略」という聞き慣れない概念の新鮮感も手伝い、当時は興味をもって受け入れられた面もあると思います。しかし、大きな労力とコストをかけ、全社的に一通りは伝えたものの、その後の活動が続かないことも多く見られました。全社に冊子を配ったのはいいが、社員がその後どうなったのかは全く把握できないまま。いうなればやりっ放しの状態です。
運営側はそれでも成果が出ると信じていました。コンセプトや理念を冊子にして配れば、ある程度社員がそれに共感し、行動を変革してくれるだろうという性善説的な発想が根底にあるのですが、そもそもそんな虫のいい話はありません。その結果成果もよくわからず、ブランド活動はこれにて終了(或いは終了させられた)という企業も多かったのではないでしょうか。
そして、ブランド戦略ブームも一段落し、本当の意味での成果が問われるようになった2000年代前半、過去の1WAY型ブランド浸透施策の反省もあり、「やはり重要なのは2WAYだ」ということで、キャラバン研修やブランドワークショップなど、「巻き込み型」の施策が一斉に広まりました。
これは、1WAY型よりも格段に実効性のある方法といえますが、極力多くの社員を巻き込み、多く議論をしてもらおうと頑張る一方で、何故かやればやる程上滑りし、努力が報われない状況も見られます。これは運営側の思いが強すぎて、参加する社員の負担を考慮せず、筋論だけで走ってしまうということが主たる原因です。今でもこの方法の活用余地はあるものの、今後も万能であるかというと、それも言い切れない部分があります。
(続く)
インナーブランディングはこう進める(その2)
2.変わりつつある、会社に対する社員の意識
「日本人は世界で一番勤勉だ」「会社への強い忠誠心が日本企業の強みである」・・・経営者やマネジャーの皆さんにとっては、これは一つの常識として理解される方の方が多いのではないでしょうか。勿論こういう会社も多いかとは思いますが、これがすべての日本企業に当てはまるかというと、もはやそうも言い切れないという見方が出始めています。
ちょっとショッキングなデータを見つけました。ある英国の調査会社が、世界23カ国、1万4千人を対象とした調査によると、社員の働く意欲はなんと日本が最下位。その他これまで日本企業の強みとされてきた「上司や経営陣との信頼関係」では、九位の中国、十六位の米国に引き離されているという結果。即ち、「日本人の働く意欲は、世界的にみて既に低水準にある」という状況にあります。(日本経済新聞 2008/8/25)
また、別の調査において、「会社の最高経営層に対する信頼感を持っているか?」という問いに対し、「信頼できる」の割合が、1985年の50%から2006年度には37%へと大きく減少。(社会経済生産性本部 2007年版『産業人メンタルヘルス白書』)
更には、「仕事に対して無気力感を感じることがあるか」という問いに対しても、75%が「無気力感を感じる」と回答しています。(野村総合研究所「仕事のモチベーションに関するアンケート」2005年10月)
今やこういう状況なのです。世の経営者やミドルマネジャーのどれ程が、こういった現状を意識しているでしょうか? 根拠のない前提に基づいて「我が社の社員は、会社や経営者を強く信頼してくれている」と経営者が考えているとすれば、それは事業運営上の大きなリスクに繋がる可能性があります。インナーブランディングを進める上で、先ずはこのような傾向があることを前提として、踏まえなければなりません。
(続く)
インナーブランディングはこう進める(その1)
1.はじめに
最近、様々な書籍や記事の中で、「インナーブランディング」という言葉をよく目にします。また、われわれに対するコンサルティングのお問合せの多さからも、そのニーズが高まりつつあることを実感しています。
その背景として考えられるのは、市場の「受け入れる力」が減退している昨今、既存の仕組みや方法論に基づいた拡大型のアプローチでは大幅な成長は望みにくいということ。即ち企業活動の「量的な拡大」ではなく、企業組織そのものの「質的な向上」に成長の手掛かりを見出さざるを得ないということです。ともすれば即効的に利益に繋がる印象が薄い「インナーブランディング」というアプローチが注目されているのは、そういう時代背景があるからではないかと考えます。
少し前までは現場からのボトムアップ的な進め方によるご依頼が多かったのですが、最近では依頼の出所が社長の指示というケースも増えてきました。このことからも経営者の問題意識の現れが伺えまし、トップがやる気を見せることは、活動を円滑に進める素地ができるという良い面も大いにあると言えるでしょう。
しかし、以前から多くの企業が取り組んできたこの活動が、本当の意味で成功したケースはかなり少ないのではないかと見ています。何故難しいのか、何故活動の手応えが得られないのか。本章においては、これ迄のインナーブランディングのすすめ方を振り返りながら、現在の事業環境を踏まえ、今後活動を推進していく上での要諦を整理したいと思います。
(続く)
ブランド調査を始める前の留意点(その5)
(その4より)
続きです。少し間が空いてしまいました。ブランド調査を成功に導くために必要な視点を前回から纏めています。
定量調査というテーマについては、お伝えしたいことが山ほどあり、且つお伝えするべきテーマだとも考えておりますが、キリがないので、今回で一旦終了することとします。別の切り口で、様々な視点をご提示していきたいと思いますのでご了承下さい。
3.解析手法に酔ってないか?誰がみても理解できるレポートか?
これはもう本当に、あり過ぎるくらい良くあるケースです。リサーチ業務の経験が長い方でもそういう方が大勢いる様な実感があります。
単純なクロス分析であると、結果はほぼ見たままですので、あまりそういう面での心配は少ないかも知れませんが、問題となるのは、因子分析や共分散構造分析などでおなじみの「多変量解析」です。
この手のお仕事についても、もう数え切れない程のお手伝いはしており、調査の目的によっては非常に便利な手法であり、切れのいいインサイトが導出される可能性を大いに秘めていますが、
一方、分析結果の安定度の観点からみて、やはり一筋縄ではいかない分析手法であるとも認識しています。
但し、素人が多変量解析に手を出すと、正直言ってロクな事がない。
多変量解析の中でも、より一般的な手法である、因子分析やクラスタ分析について。
分析の難易度は比較的低い部類にはあたりますが、クライアントサイドもきちんとこの分析に潜んでいる「落とし穴」を認識しなければ、結果を見誤る可能性があります。
例えば、分析で生成した因子のネーミングの仕方。これだけで誤解を生む(=調査会社に丸め込まれる)ケースがあります。
因子のネーミングだけを見ると、あたかも美しくそのような特徴的な新変数が生成されたかのように感じますが、そのネーミングはあくまでも調査会社の恣意でつけているだけのものであり、そのネーミングの根拠となる、当該因子に対する各変数の反応値をきちんと確認しないと、必ず結果を見誤る。要は日本語でごまかされることがあるということ。
因子分析の最大の落とし穴はここにある。誰もが100%納得できる因子がスパッと生成されるか否かは、質問項目の設定の仕方などの分析設計によるところが大きく、いうなれば調査会社のそもそもの腕次第。
クラスター分析も然りである。クライアントサイドは、新変数が本当にそういう解釈で正しいのかをしっかりと確認してほしい。調査会社に説明を求めればわかるはずです。
あとは良く聞く共分散構造分析。
当該分析手法について詳しい説明は割愛するが、ざっくりと説明すると、全ての変数をフラットに並べたときに、それぞれの変数が相互にどのような影響を与え合っているかを係数で把握する分析手法。
アウトプットをご覧になったことはありますでしょうか?それぞれの変数同士が「線(パス)」で複雑に絡み合って、パス毎に係数が施されているようなマップです。
これは難易度が非常に高い代物です。言い方は悪いが、素人のリサーチャーが中途半端にやると、変数間で引かれた複雑に絡み合う線がぐっちゃぐちゃになって、手に負えなくなるリスクを秘めています。
そんなぐちゃぐちゃなアウトプットを見て、全く理解はできないが、あたかも高尚な分析の結果と勘違いして調査会社いいなりになってしまうのは最悪中の最悪です。
そんなクズのようなアウトプットをどうやって戦略策定に繋げていくのか?
複雑な分析をすることが目的ではないはず。
例えば、目的変数、説明変数をレイヤー別に整理するなど単純化して、同一レイヤー内で各要素と上位レイヤーの変数とのつながりをシンプルに測るなどの方法もある。場合によってはそちらのほうが実際の運用に向いている可能性もある。
繰り返しになるが、難しそうな分析をすればいいというものではない。多変量解析の結果のみに頼るワークデザインは危険であるし、最初から幾つかのオプションを持っていたほうがいい。目的変数を二種類持っておき、分析結果を見て筋のいいほうを選択するとか、上手くいかない場合は階層をシンプルにした回帰分析にシフトするとか。
リサーチャーは、説明責任を果たすべきであると同時に、調査を成功させるために、クライアントサイドは、先ずはどのような分析を実施するのかを最初に確認すべきだと思います。そのために、クライアントのカウンターパートの方は、ある程度の調査に関する知識がほしい。レポートに関する社内での説明も必要ですよね。少しでも意味不明な箇所があれば、臆せず突っ込みをいれることをお薦めします。
本当に質の高い調査レポートは、難易度の高い解析手法を用いていても自然に読み進むことができるものだと考える故です。
定量調査に関する内容は、今回でひと段落させ、次回から全く別のテーマで様々な事例をご紹介していきたいと思います。

