僕には歌う理由がたくさんある。

ダイバーシティや武道館や東京ドーム

漠然と語っているわけではなくて

僕はきっと挑戦気質であるが故に、より大きな舞台を口にするんだけれども、この人格もきっと色んな人達の想いに触れて形成されているのだとつくづく思う。

幼い頃、森岡くんというお兄ちゃんが俺の事をよく面倒みてくれていた。

お兄ちゃんといっても、年は20歳くらい離れているから、俺は今となっては森岡さんって呼んでいる。

だけどきっと物心つく前から出会っているからさ

きっとあの時の森岡さんは今の俺と同い年くらいなんだろうな。

両親と森岡さんが深い親交があったので幼い頃からよく気にかけてもらっていた訳なんたけど

僕が挑戦する事に関してなんでも応援してくれていた

少年野球で活躍をすれば俺は森岡さんに電話をかけて、それを嬉しいと涙して聞いてくれる

吹奏楽部を始めたと言えば立派な音楽隊のコンサートに連れていってくれる

高校を留年すると言えば真剣に話を聞いてくれる

バンドでデビューしたと言えば仕事の合間に駆けつけてくれる

そうゆう人なんだ。

俺は森岡さんの 瞳 が大好きだ。

真っ直ぐに澄んだ誠実な瞳。

その瞳に何度も励まされて来た。

いつでも何年経っても、カッコいいんだ。

2014年

森岡さんはとても大きな病気になった。

奇跡的な回復を繰り返しながら長いこと、ずっと闘病している。

生命力の強い人なんだと思う。

でもその裏では

まだまだ思春期ながらも立派な息子と娘と、太陽の様な奥さんが森岡さんを支えているんだ。

去年の町田で行われたビールフェスタでのライブに森岡さんは、回復したばかりの身体を奮い立たせ遊びに来てくれた。


「敬太郎くん。」


俺の名前を呼んだ森岡さんは真っ直ぐそこに立っていて

そしていつもみたいに俺が大好きな瞳の輝きだった。

連続ランニング記録真っ最中だった俺はそんな森岡さんの姿を思い浮かべて何度も何度も走った。

人目をはばからず声を上げて泣いて走った時もあった。

絶対に負けないで欲しいと心の底から祈った。

森岡さんはみるみる回復して仕事に復帰した。

息子、娘、そして奥さん

家族一丸となって病気と戦って、勝ったんだ。

やっぱりカッコいいなって思った。

そして退院してから約一年後の昨日

母親から電話で告げられた

「森岡くんが倒れたよ。」

脳にまで病気が転移してしまったのだという。

まだ17歳の息子が冷静に救急車を呼び一命を取り留めた。

俺は迷わず森岡さんに会いに行った。

病室には眠っている森岡さんがいた。

少しホッとした。

病室に付き添っている息子と娘と奥さんも柔らかな表情だった。

しばらくすると、森岡さんが起きた。

薬の投与と体力消耗の激しさから会話をする事が難しい状況であって、瞳も少しうつろだった。

俺は#ROTSのCDとプレゼントを目の前に出した。

頑張っている事と祈ってるという事を必死に伝えた。

痛みが酷いらしく、時より表情を歪ませたり「痛い。」というたった一言を絞り出していた。

何も出来ない自分に胸が痛くなりかけたけど、その暖かい身体にこの手で何度も触れた。

こんなにたくましい身体じゃんか。って胸の中で思った。

そして帰り際
「またライブに来ください。待ってますから。」
って俺は言ったんだ。

すると森岡さんは

「行きたい。行きたい。行きたい。」

絞り出す様に力強くたったそれだけを

何度も繰り返して言ってくれた。

そして最後に突然俺の手をギュッと握り握手してくれた。

俺が大好きな真っ直ぐで澄んだ誠実な瞳だった。

その瞬間、俺の中の生命力がたぎった。

燃えるのがハッキリとわかった。

この人は自分が病と勝負している時でさえ

俺の事をいとも簡単に励ましてしまうんだ。

そんな生命力を持っているんだ。

すごい人だ。カッコいい人だ。

負けてられない。

心の底から思った。

俺が歌を続ける理由、たくさんある。

たくさんたくさんある。

それでも

「行きたい。」

心の底からそう願ってくれる人がいる事を

どんな事があっても忘れたくない。

投げ出したくても逃げ出したくても自信を失ったとしても

忘れちゃいけない。

退院して見に来てくれた時

森岡さんがびっくりするぐらいに、俺の瞳が

真っ直ぐに澄んだ誠実である様に

俺は歌い続けます。

そんな俺の歌う理由が

このブログを読んでくれているあなたにとっての

頑張れる理由になってくれたら。

そう思っています。

そんな俺の歌を聴きに来てください。

心を込めてそこに立ちます。

俺が常に前を向き挑戦し続けたい理由は

こんな所にもあるのです。

前へ前へ、闘っている姿を見せたい人がいるから。

読んでくれてありがとう。

下半期、人間らしい良い歌が歌えそうです。

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敬太郎より。