【プリッツゲーム】
「はぁい修平君♪今日はぁ、何の日かなぁ?」
「…ポッキー&プリッツの日。」
「ピンポーン♪だいせいかーいっ。」
「うっせーよ。」
昼休みの賑やかな教室に、一際明るい声が響いた。いつものようににこにこと、啓太が机の間を泳いでくる。修平は彼を一瞥し、大きくあくびをして見せた。
「どうせまた、ポッキーゲームしよー、とか何とか言い出すんだろ?」
「まっ。修平ってば、どこでそーゆー遊びを仕入れてくるのやら!」
やだやだぁ、と啓太はわざとらしく手を口にあてて笑った。
眠さに加えてこの仕打ち。毎度のこととは言え、修平は少し腹が立った。
「じゃあ何だよ。」
「もっと楽しいことがあるんだってぇ。」
「だからぁ…」
あからさまに不機嫌な顔をする修平になど目もくれず、啓太は前の席をくるりと回して座った。そして鞄から箱を1つ取り出して、修平の机に置いてみせた。
「Let's プリッツゲーム♪」
「…は?」
目の前に置かれたプリッツの箱と聞いたこともない言葉に、修平は怒りも忘れて啓太を見た。彼はと言えば、相も変わらずにこにこと、楽しそうに笑っている。
「プリッツゲーム、しよーよぉ。」
「何それ。」
「簡単に言えばぁ、プリッツ相撲。」
「プリッツ相撲?」
「つまりぃ…」
ひたすらに目を点にしている修平に、怒るでも呆れるでもなく、むしろどこか愛おしそうに目を向けて、それから啓太はプリッツの箱を開けた。そしてそこから2本のプリッツを取り出して、1本を修平に手渡した。
「で、こうやって絡ませて…」
修平に両手でプリッツを持たせると、啓太はもう1本のプリッツを十字にあてがって、それをやはり両の手で引いてみせた。と、啓太のプリッツが、ポキンッと軽く音を立てて割れた。
「と、まぁこんな感じ?今のは俺の負けね。」
「なるほど…面白そーじゃん。」
「まぁね♪」
それまでと打って変わって目を輝かせている修平に、啓太は得意気に口を尖らせた。と、さらに鞄から、今度はポッキーの箱を取り出す。
「ちなみに、1回勝つとポッキー1本食べられるっ。どぉよ?」
「OK。乗った。」
「そうこなくっちゃ♪」
2人は早速プリッツを取り出して、十字にかけた。
勝負は次第に熱を帯び、その度にプリッツがパキン、ポキンッと音を立ててはぜてゆく。そんな2人のやりとりに、いつしかクラスの男子達が集まってきた。数分後にはプリッツゲーム大会と化し、やい何連勝だの、誰が強いだのと、誰ともなしにはやし立てた。
「…で、ものは相談なんだけどぉ。」
白熱したバトルが、午後の授業の開始でようやく打ち切られようとする最中、啓太が低くそっと、しかし満面の笑顔できっぱりと言い放った。
「プリッツ・ポッキー代として、後で一人100円ずつ払ってね♪」
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お粗末様でした。
プリッツゲーム、ちょっとした思いつきだったのですが…如何でしたでしょうか?
つか高校生ってこんなことするんですかねw
実際にやったことあるって方も、もしかしたらいるかもしれませんね。
あ、僕はやったことないです。やってみたいですね、結構燃えそうじゃないですか?
ちなみに、啓太は多分最低でも2箱ずつ位は買ってきてたんじゃないかと…じゃないと何度も遊べないし。
まぁ足りないとなれば、半分のプリッツでやったり、買い足したり、誰かしら他にも持ってたりしたでしょう。
で、仮に1箱100円としたら、4人もいれば元が取れる。コンビニで150円でも、6人以上ならOK。
本当は修平に半分強、貢がせようと思ってたのが、思わず少し稼げちゃったかも?…という、そんな狡賢い啓太のお話でしたv
それでは、また♪