前回の記事に引き続き、歯科医師会の講習で興味深い内容がありましたのでシェアさせて頂きます。
新型コロナウイルス感染症予防でよく話題に上がるキーワードとして、「唾液」や「飛沫」があります。会話や咳、くしゃみをする時に口から唾液が飛び散りますが、唾液は細かな水滴「飛沫」になっています。つまり元を辿れば「飛沫」は「唾液」のことです。
「唾液」や「飛沫」を介しての感染を防ぐためにマスクをする習慣が付きましたよね。当院を受診される患者さんにも、マスク着用のご協力をお願いしております。
では何故マスクが重要なのか掘り下げてみます。
新型コロナウイルスに感染した人が他の人に感染させてしまう可能性のある期間は、発症の2日前から発症後の7~10日後程度とされています。PCR検査や抗原検査で感染を確認しますが、検体を採取する場所により陽性となる期間が変わってくるそうです。
検体採取場所として主に、①鼻咽頭、②鼻腔、③唾液の3箇所があります。
有症状者では、発症後10日経過後も①鼻咽頭でウイルスが検出され、③唾液では検出されにくいことが分かっています。
一方、無症状者では、①鼻咽頭と③唾液で検出され、②鼻腔では検出されにくいことが分かっています。
ここで注意点なのですが、今までは発症後10日以降は感染力のないウイルスが残っていると言われていましたが、最近になって重傷者の場合は感染力が10日以上続く研究結果が出てきました。
このことから、鼻咽頭にはウイルスが長く留まりやすく、鼻咽頭のウイルスは感染力が長続きしている可能性があるということです。
鼻咽頭と言われても、喉の奥の方かな?くらいでよく分かりませんよね。
では、声帯はいかがですか?正確な場所は分からずとも、声を音にする所、というのは何となくお分かり頂けるのではないでしょうか。
この声帯は鼻咽頭にあります。話す時には声帯が震えます。大声で話せば話すほど声帯は震え、鼻咽頭に存在する新型コロナウイルスが唾液に含まれ飛沫となります。こう説明されると、カラオケの場でクラスターが多かったり、大声を出しがちなお酒を伴う飲食の場で感染が広がることも納得できますよね。
なぜ、飛沫を飛ばさない、吸い込まないためにマスクをするのか?
その本質は、新型コロナウイルスがより長い期間存在する鼻咽頭から唾液に乗ってウイルスが拡散するのを防ぐためとも言えるのです。
上記の様に新型コロナウイルス感染症の感染対策の観点では、どうしても唾液はマイナスなイメージとして捉えられやすいですよね。
しかし、実は!唾液には体を守る役割も担っています!!
◎唾液がどのように体を守っているのか?
それはお口の中の清潔度と免疫力の関係性で示されます。
有名な例で言えば、「歯周病ケアをすることはインフルエンザの予防につながる」ということです。
唾液は本来、口腔内(お口の中)~咽頭(のど)粘膜の表層を唾液由来の糖タンパク質で保護しています。
しかし…
①お口の中の細菌が多い程、細菌から出される酵素が増えます。
↓
②この酵素は粘膜の表層を保護している唾液由来糖タンパク質を消化してしまいます。
↓
③保護がなくなった粘膜はダメージを受け、呼吸器感染ウイルスであるかぜウイルスやインフルエンザウイルスが付着しやすくなります。
↓
つまり、お口の中に汚れが多く細菌が多いほど、風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。
※まだ、新型コロナウイルス感染症が同じように当て嵌まるかどうかは立証されてはいません。ですが、かぜウイルスの中にはコロナウイルスも含まれます。今回のCOVID19は今までのコロナウイルスの新型になるので、あながち間違ってはいないだろうと考えられます。
風邪やインフルエンザ、(もしかしたら新型コロナウイルスも?)から体を守るためには、唾液が健全に喉の粘膜を保護し、ウイルスに侵入されにくい状態を維持することが重要になります。
◎では唾液が本来の役割を果たせるように、お口の中の細菌数を減らす為にはどうすればいいでしょうか?
それはとても簡単です!しっかり歯磨きをしてお口の中を清潔に保って頂くことです!
前回の記事でも述べましたが、お口の中の細菌数が増える土台には磨き残しの汚れがありますので、しっかり毎日歯磨きを継続することはとても重要なのです。
歯磨きを十分丁寧に行い、日々の汚れをしっかり取ることは歯周病予防に繋がり、そして風邪やインフルエンザに(もしかしたら新型コロナウイルス感染症も?)かかりにくい全身の免疫upにも繋がるのです。
以上、2つの記事に渡って歯科医師会の講習内容をシェアさせて頂きました。
来年度も当院は成人歯科検診の登録医療機関となる予定です。
新型コロナウイルスのワクチン接種も始まり、状況が好転していくことを期待しつつ、粛々と感染対策を行い診療を続けていきます。
勿論、成人歯科検診に関わらず、ご心配な事等ありましたらお気軽にお電話下さい。
022-347-4618
3月の休診日:4日、5日(午後)、9日〜11日、18日〜20日、25日