小さな図書館
今日もリベルダーデは
。夜なのに24℃。サンパウロ分の雨も日本へ行っちゃったみたい。
ブラジルへ来て「こ~んな賢い人もブラジルへ移民しているのかぁ」と思ったおひとりに記録映像作家さんがいらっしゃいます。
その方が、本日、お貸した本を持って来て下さいました。
それはどんな本かと申しますと
「海の沙」 島 比呂志 著(明石書店)1986年9月20日。1300円+税。
この本はとにかく読んで欲しいお勧めの1冊。
ひょっとしたら、今、日本でも手に入れることは難しいんじゃないかしら。
島さんはハンセン氏病の患者だった方で、この本はご自分をモチーフにした半自伝。
教師だった主人公がハンセン病であることがバレるのではと心配し、いつの間にか熊のように教壇でウロウロとする。
そして、ハンセン氏病という長い間、隔離政策を取られた病を通して、するどく人間とは・・・というものを抉り出している。とにかく一言では言えない力作。
当時、鹿児島の星塚敬愛園にお住まいの島さんをお訪ねして、本人から買わせて頂いた貴重な1冊。サイン付きだ。
その時すでに、島さん本人が「たぶん、絶版になっていますし、我が家にももう数冊しかありません」とおっしゃっていた。
その数冊の中から直接買わせて頂いたものなのだ。
だから、絶対に失くす事ができない稀少本。
海外に住んでいると、時々、まるで砂漠を1日中さまよい歩いて、どうしようもなく喉が渇いて、枯渇して、蜃気楼で水溜りを見て、思わず走り出してしまうように、日本語に枯渇し、日本語を読みたくなる時がある。
どうしようもなく活字に飢えるのだ。
ある友人が「どうしてブラジル、サンパウロに住むのか?」と問われて「日本語の本が読めるから」と答えた。
「だったら日本に住めばいいじゃないか!」と突っ込まれていたが、その気持ちは今ならもっとよく分かる。
海外の中でも北米やブラジルは比較的日本語の本が手に入りやすい恵まれた環境だと思う。
海外へ旅行で来て、長年住むという覚悟でない間は、現地の言葉を覚えたいだろうし、日本人よりも現地の人間と友だちになりたいと思うのは当然だろう。
でも、長く住むと決めてしまうと、逆に日本語や日本食、日本人との会話を大切にする。
現地の食も言葉も現地人もいつでもどこにでもあるからだ。
これが移民というものなのだろうか。
そういう意味では、移民にちょっとだけ、また近づいた。
だから私は日本へ帰る度、どうしても手放せない本は、何を差し置いても持って来た。
上記の本はそんな中の1冊である。
だから、移民同士というか、日本人同士で「本」は日本にいる者同士よりもずっと貴重に貸し借りするグッズの1つのはずだ。
最近、本を貸し出すに当たって
私が「これはね、大事な本だからね。絶対に返してね」と、しつこく言っていたら、
「だったら、貸し出し帳を作ったらいいじゃん」と言われて
「そっか!」と思って、その場で使わない日記帳に線を引き、貸し出し帳を作ってみた。
そうしたら「小さなわたしの図書館」みたいで、ちょっとだけ、何となく、うれしい。
上記の本は「小さなわたしの図書館」3冊目の貸し出しで、最初の返却本。
もちろん、友人限定で貸し出し期間もない。
ある意味、とっても不便な環境なんだろうけれど、その不便さがちょっと楽しい今日この頃。
島さんの本をアマゾンで調べたら、案の定、「海の沙」はありませんでした。他の著書をご紹介。
- 島 比呂志, 矢辺 拓郎
- ハンセン病療養所から50年目の社会へ
- 島 比呂志
- 生存宣言
- 島 比呂志
- 片居からの解放―ハンセン病療養所からのメッセージ
