暗い過去を持つ者どうし、二人は、ますます親密になっていった。

…彼の声が聞きたい
…彼の身体に触れたい
…生身の彼を知りたい
でも、ブログの世界から飛び出す勇気はなかった。

これ以上好きになってはいけない。
もうあんな思いをしたくない。

ケータイの振動が、彼からのメールを告げる。
「君に会いたい」

「ダメ。きっとまたお互いに傷つくわ」

「会いたくてたまらない。君の声が聞きたい。君に触れてみたい」

「あぁ…お願い…もうやめて」

「愛してる。オレを許してくれ」

大粒の涙がポロポロと私の膝に落ちる。
我慢できない。
「私も愛してる。もう、あなただけ。私こそ許して。」

これでいい。
二人が許しあい、再び愛しあう事ができれば本当の私に戻れる。

私の通院に、付き添ってくれたユカがのぞきこむ。

「彼からね…大丈夫?」

「うん、大丈夫。彼と会う事にした。」

「なら、病気をしっかり治さなくちゃね」

「うん…」


私はいつしかケータイを握りしめたまま待合室の椅子でうたた寝をしたようだ。

私の名を先生が呼んでいる。

「一緒に行く?」

「ありがとう、ユカ。もう大丈夫みたい。とてもスッキリした気分よ」

私は立ち上がると診察室の扉を開いた。