1. デパケンR 錠
気分安定薬です。元は抗痙攣薬ですが、感情安定作用があるため、双極性障害で頻用されます。一番頼りになる薬剤です。
同系統の目的で使用される薬剤にリーマスとテグレトールがあります。

○有効血中濃度:40~120μg/mL(有効濃度に関しては各種の報告があるが、その下限は50μg/mLを示唆する報告もあり、上限は150μg/mLとする報告もある。 原則的に血中濃度モニタリングの実施は必須ではないが、臨床状態の変化があった場合や、効果が得られない場合は血中濃度測定をすることが望ましい。)

2. パキシル錠
セロトニン再取り込み阻害薬という、比較的新世代の抗うつ薬です。うつ病・うつ状態の他にも、パニック障害や強迫性障害にも適応があります。ただし、旧世代の3環系抗うつ薬に比べて、副作用が気にならない代わりに、効果もマイルドといわれています。
血中濃度測定は不要ですが、中止する場合にはかなり長い日数をかけて徐々に量を減らさないといけません。急に止めると、1日~2日してから「ビクッ、ビッ、ウズッ」とするような、なんとも言えない異常感覚が全身に駆け抜けます。

3. マイスリー錠
睡眠薬です。よく眠れます。製薬会社の触れ込みでは、耐薬現象が出ないため、長い期間使用していても効き目が悪くならないというのが売りです。しかし、実際問題としては、眠れないのは怖いから、止められないけど。

僕の感覚としては、パキシルだけだと落ち込みのない躁病患者になってしまい、世間様には余計に迷惑な気がします。ここにデパケンが加わって、いい具合に気分の波を押さえてくれるのでうまくいっている感じです。

僕は以前から「カミナリ上司」として研修医やレジデントから恐れられていましたが、デパケンを服用し始めてから、ずいぶん円満な、いい人に生まれ変わりました。

後輩たちは「これは先輩の愛のムチだ!耐えて一人前の膠原病専門医になるまでがんばろう…と思ってたのに、あれは全部病気だったんですか?!?!」と、騙されたとでもいいたそうな恨めしい顔をしています。