テンバガーを探したい。
しかも、誰かが「この株が来る」と言い始めてからでは遅い。
ニュースになって、SNSで騒がれて、株価がドーンと上がってから、
「有望銘柄を発見しました」
では、私が欲しいものとはちょっと違う。
欲しいのは、その前。
まだ出来上がっていないところ。
「ん? なんか変じゃない?」
という0地点です。
そこで作り始めたのが、
HACHI-0(ハチ・ゼロ)
という株式探索システムです。
今回は銘柄名は伏せます。
まだ実験段階なので、まずはシステムそのものの話。
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HACHI-0は一人ではない
HACHI-0の中には、役割の違う担当を作りました。
異常を見つける担当。
買いたくて仕方ない担当。
危ないからやめろ、と止める担当。
企業の一次情報まで戻って事実確認する担当。
ニュースには出ていない値動きの理由を考える担当。
そして最後に、
全員を疑う監査担当。
全員、発言するときは名乗ります。
他人になりすましたらチクられます。
数字の根拠が怪しくてもチクられます。
楽観的すぎても、
悲観的すぎても、
後から都合よく話を書き換えても、
チクられます。
なんだこの組織。
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さっそく監査担当が仕事をした
実際に動かしてみたら、いきなり問題が発生しました。
データの基準日が、
「9月4日」
と出た後に、
今度は、
「8月20日」
と出た。
おかしい。
そこで監査担当に、
「どっちやねん。推測するな。実際に参照したセルまで調べろ」
と監査させました。
すると原因判明。
8月20日は、たまたま選択されていた教材用データの日付。
それをシステムが、
会議全体の基準日だと勘違いしていた。
正しくは9月4日。
しかも、
どのシートの、
どのセルを経由して、
どう間違えたのか、
まで特定。
修正内容も監査ログに保存しました。
おお。
本当にチクった。
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「分からないものは分からない」にした
さらにルールを追加しました。
古い株価を現在値として扱わない。
データが足りなければ推測で埋めない。
古すぎるなら、
「不明」
で止まる。
そして一度出した過去の判定を、
後から株価を見て書き換えない。
これ、かなり大事だと思っています。
株なんて後からなら何とでも言えます。
上がった株を見て、
「あの時点で兆候がありました」
なんて簡単です。
なのでHACHI-0には、
その日に何を見て、何を知らなくて、何と判定したのか
を保存させることにしました。
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証拠まで保存することになった
会議をするたびに、
その時点で分析した全銘柄のデータを固定保存。
後から最新データに上書きしない。
会議ごとにIDも付ける。
さらに監査担当が、
「ちゃんと当時のデータが保存されているか」
まで確認します。
つまり将来、
「この株、上がったね」
となった時に、
HACHI-0が本当に早い段階で見つけていたのか、
後から言っているだけなのか、
確認できます。
だんだん株探しというより、
捜査本部みたいになってきた。
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そして本番
Googleスプレッドシートに入っている株価データをExcelにして、AIの作業環境へ渡しました。
私は、
コピー。
貼り付け。
ファイルを選ぶ。
送信。
ほぼこれだけ。
すると裏で、
4,441銘柄
の処理が始まりました。
候補を抽出。
異常値を確認。
買いたい担当が買いたい理由を探す。
止める担当が危険を探す。
一次情報担当が企業資料を確認。
値動きの理由が説明できないものは仮説担当へ。
最後に監査。
しかも途中で、
元データに書かれていた情報の間違いまで発見。
企業の一次情報を確認して訂正していました。
私は、
コピペ。
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4,441銘柄を見た結果
さて。
ここまでやったら期待するじゃないですか。
テンバガー探し。
異常検知。
買いたくて仕方ない担当までいる。
4,441銘柄も見た。
さあ。
何を買う?
HACHI-0の最終回答。
「買い検討 0件」
……。
ゼロ?
4,441銘柄見たんやろ?
買いたい担当もおるんやろ?
テンバガー探してるんやろ?
0件。
候補そのものは出ています。
「初動かもしれない」
「これは継続して見る価値がある」
という株はありました。
でも、
「面白い株」と「今日買う株」は別。
という結論になったらしい。
なんという財布の固さ。
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でも、これはちょっと面白い
もし、
「テンバガーを探せ」
と命令したから、
4,441社の中から無理やり1社選んで、
「これです!」
と言い出したら怖い。
4,441社もあれば、
買う理由なんて何かしら作れるでしょう。
でもHACHI-0は、
候補は候補。
監視は監視。
買う条件に届かなければ、
買わない。
になった。
ボートレースをやっていた時と同じです。
選手を調べる。
モーターを見る。
展示を見る。
風を見る。
全部見た。
そして、
舟券を買わない。
またこれか。
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ただし「買わないAI」が優秀とは限らない
ここは勘違いしないようにしたい。
買わないことが正義ではありません。
ずっと、
「危ないから買いません」
と言っていれば、お金は減りにくい。
でも、それでは株式探索システムとして意味がない。
だからHACHI-0自身も、
これから採点します。
初動候補を何件出したのか。
その後、本当に初動だったものは何件か。
見送った後に上昇した株は何件か。
見送って正解だったものは何件か。
そして、
「買い検討」まで昇格した株は何件あったのか。
30営業日やって、
買い検討0件だったら、
会議を開きます。
議題。
「お前ら何のために4,441社見とんねん。」
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そして私は何をしたのか
ここまで書くと、
ものすごいシステムを作った人みたいですが、
私はプログラムを書いていません。
数式もほとんど分かりません。
今日やったこと。
コピー。
貼り付け。
ファイル選択。
クリック。
以上。
なのに、
「ものすごいシステムになったなあ」
とか言っている。
自分でも、
何もしてないのに偉そうだな
と思います。
でもAIに言わせると、
「何を探すのか」
「何を信用しないのか」
「どんな失敗を許さないのか」
を決めているのは私らしい。
なるほど。
では肩書きを付けよう。
HACHI-0最高コピペ責任者。
Chief Copy-paste Officer。
CCO。
なんか偉そう。
仕事内容は、
コピペ。
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HACHI-0。
4,441銘柄を見て、
本日の買い検討、
0件。
ものすごいシステムが出来つつあります。
銘柄を買えれば、の話だけど。