パソコンを開いた。
画面には、私とChatさんが少しずつ作ってきた株式監視システム、
「HACHI-0」
が鎮座している。
こいつの仕事は、上がった株を見て、
「この銘柄、来ています!」
と叫ぶことではない。
まだ大騒ぎになる前の「0地点」を探し、市場の異変を捕まえること。
つまり、金の欲望監査機である。
ところが、画面に表示されていた基準日は、
2026年6月11日。
今は9月である。
どういうことやねん。
調べると、無料プランでは株価データが約12週間遅れて届くらしい。
HACHI-0は、ものすごい速さで日本中の株を調べていた。
ただし、ずっと6月を見ていた。
優秀なのかアホなのか分からない。
そこで、J-QuantsのLightプランを契約した。
月額1,650円。
これで当日のデータが使える。
しかし、契約しただけではHACHI-0は6月から帰ってこなかった。
コードの中に、
「84日前からデータを探す」
という設定が残っていたからだ。
Chatさんに言われた。
「84を0に変えてください」
私は84を消し、0と打った。
以上。
私の仕事は、それだけである。
そして実行ボタンを押した。
取得成功。
2026年9月4日。
4,441銘柄。
ばちーん。
HACHI-0の目が開いた。
次に候補抽出を実行。
待つこと約2分半。
画面に表示されたのは、
「HACHI-0候補作成完了
2026年9月4日/45銘柄」
日本株4,441銘柄を調べ、普段とは違う動きをした45銘柄を拾い上げた。
前日比だけではない。
出来高が普段の何倍になったか。
高値付近で取引を終えたか。
ストップ高に触れたか。
勢いを保ったのか、それとも上から叩き落とされたのか。
それらをまとめて、
「強い異常」
「一次情報を確認」
「監視」
などに分けている。
以前から気になっていたモルフォも入っていた。
モルフォは、その日の途中でストップ高に到達。
しかし終値では大きく押し戻されていた。
HACHI-0の判定は、
「監視」
なるほど。
ストップ高になった。
だから買え。
ではない。
材料はある。
異常な動きもある。
しかし最後は失速している。
だから、追いかけずに見る。
ゲスグループが作ったとは思えないほど慎重である。
最終的に、45銘柄すべてを証券会社のお気に入りへ入れることはやめた。
45社も見ていられない。
45銘柄は検証表に保存。
人間が追跡するのは7銘柄だけ。
しかも、買い候補ではない。
観測対象である。
ここが大事だ。
HACHI-0は、儲かる株を神託のように教える機械ではない。
「何か起きている」
を発見する機械である。
異変を見つける。
一次情報を調べる。
初動なのか、すでに祭りの後なのかを分ける。
買うか、見送るかを決める。
SNSで誰かが叫んだ銘柄へ飛びつく前に、市場全体をこちらから見に行く。
そんな仕組みが、やっと動き始めた。
それにしても。
日本株4,441銘柄を一斉点検した夜、私がやったことは、
「0」と打ったこと。
しかも2回。
人間担当、0を打つ。
AI担当、全国一斉ガサ入れ。
どうなっとんねん。
だが、この「0」には意味があった。
84日前を見る機械から、
今日を見る機械へ。
HACHI-0。
2026年9月4日、23時15分。
ばちーんと開眼。
金の欲望監査機、ついに現代へ帰還する。
※この記事は個人による株式市場の観察・検証記録です。掲載内容は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
Chatさん、HACHI-0、ごめんなさーい。