Chatさんが今日も困ってる。
たった1株。
金額にすれば数千円。
でも、この1株を買うまでが長かった。
朝からAIと候補銘柄を見ていた。
決算を確認する。
業績を見る。
上方修正を見る。
株価を見る。
そして、あらかじめ決めていた「この価格帯まで来たら、もう一度詳しく見る」というところまで株価が下がってきた。
私は思った。
来た。
ここまで調べた。
候補も絞った。
価格も来た。
さあ買うのだろう。
ところがAI。
「まだ買いません。午後まで見ます」
……。
お膳立てして、やらんのかい。
ここからが、なかなか苦しかった。
人間は目的があるから準備する。
料理を作るために材料を揃える。
旅行に行くために荷物を用意する。
株を買うために会社を調べる。
だから準備が整えば、
「次は実行」
と脳みそは考える。
ところが株は違った。
条件まで来ても、
買わないことがある。
ここで初めて気付いた。
私が決めていた価格は、
「買う価格」ではなかった。
「もう一度調べ始める価格」だった。
これは似ているようで、まるで違う。
それでも人間は苦しい。
ここまで調べたのだから買いたい。
今買わなければ上がってしまうかもしれない。
いわゆる機会損失が怖い。
しかもAIは平然としている。
私が、
「50万円あったら買っているの?」
と聞いても、
「それでも朝の時点では待ちます」
と言う。
資金がないから買わないのではない。
条件が完成していないから買わない。
これは効いた。
くうううー。
そして午後。
相場全体が大きく下落した。
そこで改めて候補銘柄を見る。
すると、一つの銘柄が市場全体に比べてかなり踏ん張っていた。
朝にはなかった情報が増えた。
そこでAIの判定が初めて変わった。
「少額なら買ってよい」
来た。
ようやく来た。
そして私は1株買った。
たった1株。
朝からあれだけ調べて、
待って、
苦しんで、
考えて、
1株。
笑ってしまった。
でも、買ってから分かった。
今日考えていたのは、1株を買うかどうかだけではなかった。
「どういう条件なら自分はお金を出すのか」
その型を作っていたのだ。
会社を選ぶ。
買いたい価格を決める。
そこまで来てもすぐには飛びつかない。
市場全体を見る。
その会社だけの動きを見る。
情報が増えたところで、もう一度判断する。
条件が揃ったら、小さく入る。
揃わなければ、
何時間調べていても0株。
これまで私は、
「良い会社を見つければいい」
という感覚がどこかにあった。
でも違った。
良い会社を見つけることと、
良いところで買うことは別の能力だった。
そしてもう一つ。
毎回こんなに苦しんでいたら、身が持たない(笑)。
だから今日やった判断を、今度はチェック項目にしていく。
何回も繰り返してデータを残す。
そのうち、
30分悩んでいたものが10分になり、
10分が数分になっていくかもしれない。
そうやって自分の判断を少しずつ型にしていく。
今日買った1株が上がるか下がるかは、まだ分からない。
上がったから正解とも限らない。
下がったから失敗とも限らない。
大事なのは、
なぜ、その時点で買ったのかを後から説明できること。
どうやら株というものは、
「何を買うか」だけではなく、
「いつまで待てるか」
まで試してくるらしい。
朝から散々、
「お膳立てして、やらんのかい」
と思っていた。
そして午後。
ようやく買った。
1株。
株を始めてまだ日が浅いけれど、
今日の1株は、
今まで買った1株とは少し違う気がする。
金額ではなく、
考えてからお金を出した1株。
しかしまあ。
株を1株買うだけで、
こんなに脳みそ使うんかい。