Ⅰ.今回の事例
小売業を営むY社で20年間パートタイマーとして勤めていたAさんのお話です。
ある日会社にAさんと同じ社宅居住の方から「Aさんが『お腹が痛い』というので、病院に連れて行きます。」と連絡があり、治療もひと段落したころ、その病院の事務長から「御社のAさんは保険証をもっていませんよ。」と会社に電話がありました。
そこで人事担当者が病院に出向き、本人と面談しましたが、保険証を何故所持しないのか理由を聞いても答えませんでした。
その後担当者は市役所に出向き国民健康保険の手続きに行きましたが、現住所が確認できず発行できない状態でしたので、本人に確認したところ、「私の本当の名前はBで、年齢は73才です。」と申出があり、偽名を名乗っていたことと、会社で把握していた年より10歳上ということがわかりました。本名で現住所を登録し、健康保険被保険者証の発行こそ出来ましたが、会社としては年齢、氏名の詐称ですから即刻解雇に踏み切らざるをえない状況となってしまったことは言うまでもありません。(解雇をする場合は、就業規則に明記しておくことが必要です。)
又、あわせて社宅から退去してもらうにあたり、会社としては余裕をもってAさんに退去命令を通達するなど準備期間を設けましたが、Aさんに退去するきざしが全く見えなかったため生活保護の申請を手伝うなどして、最終的な退去に至るまでには必要以上の時間と労力を使うことになってしまいました。(この間約4か月)
Ⅱ.企業がとりたい対策とは
さて、上記のようなことが起きないようにするためには会社はどうすればよかったのでしょうか?
Y社では過去にも市役所より2回ほどAさんの現住所確認の書類が送付されたり、本人に社会保険加入の依頼をしても、拒否されたという事実もあり、本来ならそこで何らかのアクションをとる必要がありました。
Aさんが入社した当時は会社の規模も小さく、社長の一声で採用が決まったようで履歴書も提出されておらず、本人の確認が出来ていないまま現在に至ったことがこのような結果を生み出してしまった主な原因です。対策としては、就業規則に本人を確認する裏付けとなる書類を具体的に明記し、入社選考時や入社時もしくは情報に変更があった時には提出してもらうように規定することです。その時、提出を拒んだり面接時の会話の内容と書類の内容に相違がある場合は、何かしらのウィルスを持った人材である可能性が高く、そこで侵入をくい止めることが会社を守るために必要です。つまり何か問題を起こしてしまう社員は、もともとその素質を持っており、一度入り込んでしまったら、他の社員にも感染してしまう恐れもあるため、まずは出来るだけ入り口で除去することが大切です。今回のようにふるくから勤務されている方においては、後からでも履歴書や住民票記載事項証明書、運転免許証等必要書類を取り付けて、しっかりと社員一人一人のことを把握しておくことが大切です。
≪まとめ≫
① 履歴書をはじめ、住民票記載事項証明書、運転免許証等を提出させ、事実をしっかりと確認すること。
② 書類を提出できない人を雇用するのはそれなりのリスクを負うと認識すること。
ブレイン・サプライでは、就業規則については、定期的に見直しを行うことをお勧めしております。
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