医学部の大学院は4年制。そして、神戸大学大学院 に入った最初の1年半の間は、人数不足のため、研究テーマを見つけるという名目で、病棟の主治医を行うことが決まりだった。

  

つまり、大学の患者様の主治医と、研修医の教育を行う立場。僕としては、後輩を指導する立場となって、兄貴になった気分。でも、真剣勝負の医療の世界。手抜きは許されない。

  

幸い、僕がオーベン(先輩主治医)となったノイヘレン(研修医)はじめな後輩に恵まれた。大体、脳外科医に来る研修医は、まじめな人が多い。こんな忙しい科にわざわざ来る人間は、まじめな人か、僕のような変わり者が多い。

  

僕の後輩の研修医は、特にまじめで、今でも大学の中心人物として活躍している。教えることは、次から次へと覚えていってくれた。手先も器用だった。まじめがちょっと過ぎるぐらい。

  

彼は、大学時代、ヨット部に所属していたという。脳外科に来たからは、遊びはすべてしないとまで言うぐらい、くそまじめ。(失礼) ヨットももうしないと言う。

  

それで僕は、自分はできないヨットに誘い出した。余裕も必要と。(これは、賛否両論あるでしょうね。)それは、彼がもう十分脳外科医としての心構えができていると感じたから。彼にとっては、後は余裕が大切だと思ったから。

   

それで、僕は彼にヨットを教えて欲しいといって誘い出した。僕は全くの素人。しかし、教えてくれながらヨットをしている彼が、明るく輝いて見えたのは僕の欲目かも知れない。でも、自分が幸せでないと人を幸せにはできないというのが、僕の持論。こころの余裕が、医療技術以上の医療の幅をつくると思っていたから。

  

彼がどう感じてくれたかはわからないが、半年の研修の末、新しい勤務地へと巣立っていった。これから先の彼の活躍を今でも見守っているのは、兄貴心、親心だろうか。

  

研修医の指導をしながら、自分の研究テーマは、やはり小児脳外科しか頭になかった。(つづく)

   

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