医学部には、普通の学生や世間一般では無いバイトが存在する。

  

僕も、仕送りの無い自活生活を維持し学費や医学書を買うお金をつくるために、身を削ってお金をつくっていた。

  

その一つは、骨髄を提供するバイト

  

最初、話は第3内科の研究室からだった。白血病の新薬の研究のため、人体の骨髄が要ると。そのため、ボランティア(っていうかバイトですね)が募られた。

  

みんな、最初は躊躇した。骨髄を提供するとなると、骨髄穿刺といって、骨に穴を削って、骨の中の骨髄を注射器で吸い出さなくてはならない。その痛みは医学部生なら知っていた。

  

ただ、僕は好奇心旺盛なうえに大概の痛みには耐えられる自信があったので、まずみんなに先駆けて行くことになった。(患者様の痛みもわかるしね。)

  

骨盤の外側に局所麻酔をし、ゴリゴリと骨にドリルをさす、案外痛くない、と思ったとき注射器で2mlの骨髄が吸い出された。「ん!」まあ、痛いのは痛いが、我慢できない程ではなかった。

  

それで、もらったお金は(製薬会社からの謝礼とのことで)2万円!だった。貧乏学生の僕にはとてもありがたいお金だった。それで、みんなに「たいして痛くないし、良いバイトだから行ってみぃ!」て勧めて回った。

  

みんな今度は大挙して行ったが、みんなは大層痛かったらしい。僕が鈍かったのかも知れない。みんなはもう2度としないと言っていた。そのため、僕の専属バイトとなった。

  

「先月は右だったから、今月は左ね。」みたいに、トータル10回した。しめて20万円なり。しかし、5回目ぐらいの時、「一度、胸骨からとらせて」と頼まれてやってみたら、それは痛いのなんのって、胸の骨をとられるぐらいの痛みだった。心筋梗塞の胸痛発作ってこんな痛みなんだろうね。それ以降は、やはり骨盤からとってもらった。

  

僕の骨髄は、細胞の数が多くって、また薬に対する反応も最高で、すぐ分化するらしく、骨髄のブランドと呼ばれていた。また、みんなには「第三内科のモルモット」と呼ばれていた。すばらしい体に生んでくれた両親に感謝した。

  

また、第三内科の研究室の食事会や忘年会では、いつでも呼んでくれて、美味しいご馳走を頂き、栄養をつけてくれた。ほんと、モルモットだね