勤務医のこだわり【第25回】~ジャミックジャーナル11月号より

見開き記事


「ネパールこども病院支援の支援のため資金調達に奔走」


題名と写真

生かされた命を還元したい

生かされた命を


兵庫県立こども病院・脳神経外科医長という座を捨てて、6年前から非常勤で7つの病院を掛け持つ生活を送る江口貴博氏。自称、医者版フリーターという同氏に、思わず「なぜ」と問いたくなる。


1995年、阪神・淡路大震災が起きたとき、激震地の病院で当直中だった江口氏は、極限状態のなかで救えなかった数多くの命を目の当たりにした。


「あの時自分が死んでいてもおかしくなかった」。生かされた命をどう社会に還元すべきか・・・・苦悩は続いた。


そんな折、被災地や貧困地域で医療援助活動を続けるボランティア団体、AMDAが主催する「ネパールこども病院建設プロジェクト」の一翼を担うことになる。ネパールの小児病院は首都のカトマンズに1病院だけで、乳幼児死亡率は日本の25倍にものぼる。


「医師としてネパールの医療に貢献できることがあるのではないか」と胸が膨らみ始めた矢先、任されたのは、財務管理であった。


「正直、想定外でした・・・・・」という江口氏だが、AMDA兵庫の財務担当として、資金集めのために各地を奔走することになる。被災地に多くの募金箱を設置しながら、なれない企業回りを続け、辛酸を嘗めた。


「それでも、毎日新聞とのタイアップ企画『飢餓・貧困・難民救済キャンペーン』の反響もあり、集まった募金総額は1万件、5000万円に達しました。こうして、98年11月、阪神・淡路大震災の被災地の人々の思いが詰まった、AMDAネパールこども病院が開院したのです。今では、のべ35万人の外来患者、3万人の入院患者を受け入れる総合母子病院です。ネパールの乳幼児死亡率低下に一役買ったと思っていますが、運営費は年間1000万から2000万円かかります」


地域からの期待は厚く、順風満帆に見えたが、増え続ける患者や機能充実に対応することを考えると、財務状況は厳しい。病院運営が立ちゆかなくなることだけはなんとしても避けたいと、江口氏はある決意をした。(つづく)


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