医学部生の時は、バイトバイトに明け暮れる日々だったが、時間をみつけて楽しくボランティアもしていた。
部活動では、社会医学研究部(通称社医研)に入っていた。何か、政治的な活動をしてるみたいな名前だが、全くのノンポリで、医療ボランティアが活動の中心。社医研では、年に2回のフィールドワークがあった。
夏は、徳島にある無医村や離島に行って、一泊二日で無料検診を行った。結構本格的な検診で、先輩医師も連れて行って、内科検診、採血、検尿、検便も行ったので、地元の人にも喜んで頂いた。看護学生や検査技師学生らとの交流も有意義で楽しかった。
春は、知的障害のこどもたちがいる施設に行って、1日検診を行った。こどもたちは、年に1回のこの日を楽しみにしているようで、検診の後は交流会を持って親睦を深めた。この時、知的障害のこどもたちが大変素直で、こころをそのまま全身で表現する様をみて、将来はこの子たちのためにも何かしてあげたいなあと思っていた。それが、今のリーベの会の活動につながっているのだと思う。
また、社医研の先輩から、脳性麻痺で車いす生活を送っているYさんを紹介された。Yさんは、当時徳島の身障の会の副会長をされていて、自立をめざして、ヘルパーや学生の力を借りながら一人で生活をしていた。学生が、毎晩交代でご飯とお風呂、布団の世話をしていた。僕も月に2回ローテーションに入っていたが、僕の時はカラオケデーと決まっていたようで、よく一緒にカラオケに行った。
そのYさんがある日、「一生のうちで1回で良いから海外旅行に行きたい!」と言い出した。「よっしゃ!じゃあどこ行こか?ハワイ?決まり!」とトントン拍子で話が決まり、車いすを持って、担いでハワイに行った。
ハワイに行って、アメリカ人のボランティア精神には驚いた。日本人も優しいが、手を差し伸べるのに照れのようなものがある。でもアメリカ人は優しさがストレート。みんなが寄ってきて車いすを担いでくれるし、「何か手伝おうか?」とみんな声を掛けてきた。担ごうと意気込んでいた僕だったが、みんなが車いすを担いでくれて、腰痛にもならずに楽しくハワイを楽しんだ。
ハワイでのちょっとしたエピソード。「Your father? (君のお父さん?」」と声を掛けられ、「I'm volunteer. (僕はボランティアです)」と答えたら、「Oh, your friend! (何だ、君の友達だね!)」って。アメリカ人らしいね。