これは、「ブレイン・コネクト」という意思決定を行う思考フレームワークを、本来とはちょっと変化球な使い方をして、怒りの分析と行動のコントロールを試行した内容になります。
◆参考文献◆
・「たった1枚の紙で誰でも意思決定できてしまうブレイン・コネクト」
監修:株式会社インクルージョン 著:杉村寿重/和氣俊郎/横内浩樹/平塚智文 三恵社2019年 https://www.amazon.co.jp/dp/4866931248
・「アンガーマネジメント(怒りのマネジメント)」
著:杉村寿重 (Eラーニング一般公開講座)マネジメントソリューションズ 2019年
◆Case1◆~知的障害の利用者が職員に怪我をさせた話~
Aさんは新卒2年目で、福祉施設で働いている。その施設の利用者XさんにAさんは手を焼いていた。Xさんは脳性麻痺、知的障害、行動障害を併せ持つ利用者で、感情のコントロールが難しいことからどうしても手が先に出てしまって他人を掴んでしまうという特性がある。軽く掴むだけなら問題無いのだが、掴まれた方が怪我をしてしまうほどの力で掴んでしまうのだ。
掴む相手は色々で、慕っているお母さんを掴むこともあれば、見ず知らずの人を掴んでしまうこともあるし、福祉施設職員も掴まれることがある。いつ起こるかの予測は難しく、バイオリズムで手が出やすい時期はわかるものの、完全に防ぐことはほぼ不可能という状態だった。
その日は朝からXさんの虫の居所が悪かったようで、Aさんはひどく手の甲を掴まれてしまい指の筋を痛めてしまった。1日経っても痛みが引かなかったため、病院に行こうと考えたAさんは、このことを上司Bに報告した。すると上司Bから、それは労災にあたる可能性があるので、施設長Cに一度相談をしてみてはどうか?というアドバイスを受けた。
その時の通院は1回で済んだが、その後も利用者から掴まれることは度々起こり、入職後からずっとAさんは大なり小なり常に手に傷を負っている状態であった。引っ掻かれた傷というものは刃物で切ったような傷に比べるとなかなか治りが遅いもので、ずっと残っている手の傷を見ると心にも傷を負ったような気持ちになる。
一方、利用者Xさんが悪いかと言えば、そういうことでもないだろう。特性上仕方がないように思える。また、もしこの人がここから退去になれば、Xさんの高齢母親が介護や傷を引き受けることになるだろう。
「結局自分たちの支援の力不足なのだろうか?」
どうしたら状況は変えられるのだろう。Aさんはそんなことを考えながら、状況は変わらないまま時は過ぎていくのだった。Aさんは誰に対しての怒りかも良く分からなくなり、モヤモヤした状態が消えなかった。
◆このケースをブレイン・コネクトで整理してみる(マップ風)◆
◆このケースをブレイン・コネクトで整理してみる(ポストイット形式)◆
【考察】
利用者Xには(Xなりの)正当な理由がある。
→それは暑い/寒いなどの「一次感情」であり、Xのアンガーログを書くことが大切
→利用者の「行動理由」に目を向ける。アンガーログがあるはず
【施設職員が日々やるべきこと】
・利用者の心身の状態を行動観察
・観察情報の速やかな共有
・そして事前予防策を持っておく
⇒職員の「感性」を上げる(時にはマニュアルも無視する)
【利用者が他害することはゼロにはならない】
これは命題!!
しかし、減らす方法はあるかも
→利用者への対応の仕方
→職員の自分の身の守り方
→組織として動き、組織として解決
被害を起こした/受けた人へのフォローも大切
→利用者のメンタル
→利用者家族へのフォロー
※決して、「しょうがないと言ってはイケナイ」
【文責・著作】株式会社インクルージョン(Inclusion Research Institute, Ltd.【略称:IRI】)

