不毛な「直訳」という用語 (0) | 英語学習雑感ブログ

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英語の学習に役立たない「直訳」と「逐語訳」という言葉

 

 

英語の学習に役に立つことを、これ見よがしに宣伝しているものに、相変わらず目に付く、役に立たない用語というものがあります。

それが「直訳」あるいは「逐語訳」です。

解説にこれらの言葉を含めているものは、役に立たないことを教えていると思ってかまわないでしょう。

 

皆さんはplayの「直訳」は何であると思いますか。

おそらく「遊ぶ」「遊び」(英語は動詞と名詞が同形なので、これも厄介な問題を引きおこします)を思い浮かべる人が多いと思われます。

残念ながら、このような人たちは、酷い教育の犠牲者であるのです。

He played baseball.

「彼は野球を遊んだ」

とするのでしょうが、

He played an indispensable role.

「彼は、不可欠や役割を遊んだ」

これでは訳が分からないと思います。

Play this CD, will you?

「このCDを遊んでもらえますか」

これも訳が分かりません。

Play your DVD player, will you?

「あなたのDVDプレイヤーを遊んでもらえますか」

これも機械をぶっ壊されそうで訳が分かりません。

実は英語のplayなどは、あまりにも多義的なので、playという単語だけで直訳というものは存在しないのです。

ちなみに「直訳」のもとになった英語は、literal translationで、これは「文字変化」を意味します。

実際に、英語のplayはドイツ語のspielenで置き換えて、spielen自体が、playと同じような多義性を持つために可能なのです。このときに、確かに、文字変化だけしかしていません。

日本語では、このようなことは、普通は成立しないので、たまに信じられないコメントとして、某有名大学の出題者が「直訳」でも、意訳と同じ点数を与えると述べたことがあるのです。とんでもないインチキです。

He has been an important, indispensable and reliable player.

これを直訳でもかまわないというならば、

「彼はこれまで、重要な、不可欠な、しかも信頼の置ける遊び人であった」

という訳の分からないことを書いても、点数をもらえることを意味しています。

 

基本的にliteral translationというのは、文法構造と語彙構造がほぼ同じである言語に対してしかできません。

したがって、前置詞というのは、日本語に存在しないので、この直訳はないのです。

簡単な例を示すだけで、それが絶望的であることは、直ぐに確認できます。

fromを「から」という日本語にしかない助詞で表現できると言い張ると、

He told Chinese from Japanese.は

「彼は日本語から中国語を語った」

という訳の分からない内容になります。

正しくは

「彼は中国語を日本語と区別をした」

という意味です。

 

これから、英語の意味の成り立ちを解説する本を見て、「直訳」とか「逐語訳」という言葉が書かれていたら、それはずさんな説明がたくさんある、実用にならないものであると思ってかまいません。このようなものに限って、面白おかしくエンタメ的に説明するのが上手なので、分かったかのような気になるのですが、実害は極めて大きいのです。