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社会人、超難関大学入試問題の難易度レベル

 

 

第1パラグラフ

Manchester has plenty of swagger. It has the best team in club football, and is also home to Manchester United. Cranes dot the city centre. Its mayor, Andy Burnham, is the most recognised in the country, beating his counterparts in London and the West Midlands. Yet the cockiness disguises a big problem, for the city and for Britain. The Manchester urban area contains 3.4m people, making it about as populous as Amsterdam, Hamburg and San Diego. But its GDP per head at purchasing-power parity is at least a quarter lower than all three, and stuck at about 90% of the average in Britain itself.

 

第1文Manchester has plenty of swagger.

この文の構造は簡単です。swaggerですが、ここではかなりひねった意味の使い方をしています。このような表現が最近のthe Economistの記事には目立ったりするので、取り上げるのに躊躇してしまいます。公平を期するためにswaggerの英英辞典の定義を示せば、ofの目的語になっているので名詞であると再確認して、

a way of walking or behaving that seems too confident

と定義されています(Oxford Advanced Learners Dictionaryによる)。しかし、この定義は加算単数扱いとして使った場合で、plenty ofの目的語になるためには不可算扱いでなければいけません。

さらに、マンチェスターという都市ですから、歩き方も振る舞い方もあるわけがありません。

それで、大きな辞典を参考にしてみると、不可算扱いのエントリーをひろうと

bold or brash self-confidence

と定義されています(Websterによる)。しかし、自信過剰とか自己過信とかうぬぼれは都市が持っている性質ではないので、この定義もスッキリしません。

仕方がないので、この文をtopic sentenceと見立てて、そのsupportから、この文の意味を教えてもらうという方法を使うことにします。

 

 

第2文 It has the best team in club football, and is also home to Manchester United.

この文の構造はit (= Manchester)がS、hasからの述部と、isからの述部がandで組み合わされている構造になっています。

「マンチェスターにはクラブフットボールのベストのチームがあり、マンチェスター・ユナイテッドの本拠地でもある」。

この文は、わざわざ重文構造にする必然性があるようには思えません。文字数の無駄遣いをしているとしか言えません。もちろん、効果として、自信過剰やうぬぼれを彷彿とさせる書き方を意図的にしていると解釈はできます。

 

第3文 Cranes dot the city centre.

この文の構造は簡単です。

「クレーン車が、マンチェスターの都心に点在している」。

 

第4文 Its mayor, Andy Burnham, is the most recognised in the country, beating his counterparts in London and the West Midlands.

この文はits mayorとAndy Burnhamが同格でS、isがV、theからcountryまでがC、beatingから文末までは分詞構文でMという構造になっています。the countryは、LondonとWest MidlandsとManchesterがいずれもイングランドに含まれるので、Britainの意味ではなくEnglandの意味で理解しています。

「マンチェスター市長アンディ・バーナム氏は、イングランド国内で最も世間に知られている人物で、ロンドン市長やウェスト・ミッドランズ市長よりも知名度が高い」。

 

第5文 Yet the cockiness disguises a big problem, for the city and for Britain.

この文の構造は簡単です。cockinessはswaggerと同じ意味合いを持っていますが、第2文から第4文には、うぬぼれとか自信過剰が示されているわけではないので、この文の意味もかなりひねりが入っている事がわかります。

 

 

第6文 The Manchester urban area contains 3.4m people, making it about as populous as Amsterdam, Hamburg and San Diego.

この文はthe Manchester urban areaがS、containsがV、3.4m peopleがO、makingから文末までが分詞構文でMという構造になっています。

「マンチェスターの都心部には340万人の人が暮し、アムステルダム、ハンブルク、サンディエゴとほぼ同じくらい人口を持つ存在になっている」。

 

第7文 But its GDP per head at purchasing-power parity is at least a quarter lower than all three, and stuck at about 90% of the average in Britain itself.

この文はits GDP per head at purchasing-power parityがS、isがV、at leastからthreeまでとstuckからitselfまでとをandで組み合わせて大きなCを構成しています。

「しかし購買力平価における一人あたりのGDPは、今述べた3都市全てより少なくとも1/4少なく、イギリスそれ自体の平均のおよそ90%くらいに固定してしまっているのである」。

 

以上を読んてみれば、swaggerは「自信過剰になるような特徴」という意味であると判断できます。

つまり、肝心なデータで見れば、自信を持つことはおよそできないのに、それ以外の特徴で自信過剰になっている。そうような特徴がマンチェスターにはたくさんあるというのが本来の意味であると判断できます。

この事例も、パラグラフの視点が不可欠であることを強調する論拠として使えますが、あまりにも強引な意味の転用をやっているので、説得力にはかけるというほかはありません。

 

この段階でわかった、第1文の意味は

「マンチェスターには自信過剰になるような特徴がいっぱいある」

であり、第5文の意味は

「しかしその自信過剰にさせるような特徴は、マンチェスターとイギリスにとって大きな問題を隠蔽する役割を果たしている」

であると判断できます。

 

これは、パラグラフの視点が極めて効果的であることを示す例というよりは、パラグラフの視点がないと読めない記事がエコノミスト紙には多いということを示す例であると言わざるを得ません。

もちろん、the Guardianの千葉大学にも採用された記事も、パラグラフの視点がないと全く何を言っているのかわからない文もあることを考慮すれば、生きた英語をとりあえず処理できるためには、パラグラフの視点が欠かせないということがわかります。

 

 

ここで第1パラグラフは終了です。このパラグラフは、第1文がtopic sentenceで、第2文から第7文がそのsupportであると判断できます。