東大の大意要約問題 (01) | 英語学習雑感ブログ

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それでは、大意要約問題の、おすすめの取り組み方を紹介しましょう。

(1) まず対象となる文章がどのようなタイプであるのか判断する。

(2) それによって述べるべきことが定まるので、元の文章を読んでいない人にも理解できるという基準を忘れずに、述べるべき情報を列挙する。

(3) 制限字数と情報の完結性に注意しながら、文章にまとめる。

 

それぞれを詳しく述べることにしましょう。

 

(1)

大意要約の対象になる文章は、間違いなく3つのタイプのいずれかであることが言えます。

実際の文章では、読む人の数だけ解釈があり得る文章もあるのですが、そのような文章では、大意要約が感想文と変わらず、しかもそのようなものの要約の価値はありません。(要するに、どのようなことが書いてあるの?という問いに対して、読む人の数だけ書いていると言って構わないよ、という返答では、もとの問いかけが不毛であることを伝えるだけで、要約としての価値はありません)

 

それでは、要約の対象になる文章のタイプと、そのタイプに応じた述べるべきことを紹介しましょう。

(a) 紹介・分類タイプ。

例えばXを実現する方法として、A, B ,Cの3通りの方法があるというものです。これはもれなく、分類を紹介するものです。この時、分類自体を理解するのに必要な予備知識は当然、要約の中に含めます。

東京大学が今までに出題したものの中で、このタイプの代表的なものは、環境問題を解決するのに、もっぱら法規制を使う方法と、環境税を導入して市場メカニズムの助けを借りて解決する方法の2つがあるというタイプです。当然、環境税を使う方法が、詳しく説明しないと何を述べているかわからないので、その説明を、原文を読んでいなくとも理解できるほどの情報を加えて説明します。

 

(b) 因果・メカニズム説明タイプ

Bという結果に相当する現象は、Aという原因に相当するものが引き起こしているのだとするタイプです。因果が1本の矢印のみで説明されることはまずありえないので、原因がとのような結果を生み出し、その結果がさらに別の結果を生み出しているのならば、その因果関係も説明します。

因果関係を理解するのに必要不可欠な情報は、当然、要約に含めるべき情報として、情報の完結性を考慮するときには重要になります。

 

(c) 主張・論拠タイプ

これは主に、白黒が科学的にはっきりとつかない文章に当てはまります。当然、要約に含めるべきは、主張と、その主張を述べる前提になっている根拠の2つが述べるべきことです。

 

(2)

パラグラフの連携構造などを捉えれば、文章がどのタイプであるかははっきりするので、その上で、述べるべきことを、主張なのか、原因なのかを意識しながら、列挙していきます。

同じことの言い換えなどは、パラグラフの連携構造を把握すればわかるので、どんなに大切でも重複した情報は列挙しないように工夫します。

 

(3)

字数制限

情報の完結性

を意識しながら、まとめていきます。

この時に、列挙した情報をそのまま利用するのではなく、ひとまとまりの論理がはっきりと分かる表現に気づく場合、どちらの表現のほうがわかりやすくしかも字数の無駄遣いが少ないかを考慮し、わかりやすく字数の無駄遣いがない表現に置き換えていく。

 

以上が、要約の作り方の基本です。

 

 

入試問題不正解の示すものを見ていると、この基本がわかっていないものばかりなのでうんざりしてしまいます。

 

 

次回は、実際の文章を読んでいきましょう。パラグラフの連携構造の把握がいかに重要な役割を果たすかがわかるはずですよ。