進行形について(その4) | 英語学習雑感ブログ

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前回の問題の答えと,解説です。

Knowという動詞はbe + doingのパターンで使うことができないのですが,それはなぜですか?

という問題でしたね。

まず,不正解の答えを示しましょう。

「knowは状態動詞だから」(X)

実はknowには「分かる」という意味のrealizeと同じ使い方があるのです。そして,その意味のrealizeも,be + doingのパターンで使うことができないのです。

英英辞典で確かめておきましょう。(Cobuildを利用しますが,他の英英辞典を見ても結果は同じになります)

know
You can say that someone knows that something is happening when they become aware of it.
「あることが起きていることをある人がわかるとき,それをその人がそのことをknowするというように言うことができる」

realize
If you realize that something is true, you become aware of that fact or understand it.
「あることが真実であることをrealizeするとは,その事実を分かるあるいは理解するということである」

いかがですか,それぞれのエントリーの定義を書いた人が同一人物でないことを考えると同じ定義と思って構いませんよね。この意味のときに,realizeはbe + doingのパターンで使うことができないのです。

それでは,正しい説明をしましょう。

knowには,
(1) 一時的に成り立っていることである
(2) それがまだ完了していない
いずれのニュアンスを強調するのもナンセンスになる意味しかないから。

以上が正しい説明です。

例えば「知っている」という意味とすると,
ある人や物や事を,一時的に知っていて,もうすぐ時間が経つと知っている状態が終了するという状況は考えにくいですよね(アルツハイマーの末期であれば話は別でしょうが,そのようなことが知られていない頃に出来上がった語法・文法です)。そのようなナンセンスな意味が伝わらないようにするために,be + doingにしません。

さらに「分かる」という意味とすると,
物事が分かるのは一瞬です。ですから,分かるということが一時的に成立するというのもナンセンスですし,分かるという状態が終了して,わからない状態にすぐ戻るというのもナンセンスなのです。ですからそのようなナンセンスな意味が伝わらないようにするためにbe + doingにしないのです。

このように言うと,「だんだんわかりかけてきたというのは進行形にできるのではないですか?」と反論が返ってきそうなので,補足します。
その場合には,get to realizeのように「分かるようになる」というパターンにした上で,getの方をbe + doingにしてbe getting to realizeのようにするわけです。「分かってしまった状態に,だんだん到達しかけている」という発想をするわけです。

この例を見ても明らかなように,ある動詞がbe + doingのパターンで使えるかどうかは,あくまでも「意味」が大切で,「状態動詞」であるかどうかは肝心なことではないことがわかります。

最後にloveという動詞を考えましょう。
これも,安っぽい受験参考書では進行形にできない動詞と書いてあります。
しかし進行形にできないのは「愛している」という意味の場合です。

マクドナルドのI'm lovin' it(I'm loving it.のことです)は,loveをbe + doingのパターンで使っていますが,これは文法的には正しいのです。
ぜひ辞書で確認してみてください。