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 JR北海道が「単独で維持不可能な路線」を公表し、宗谷線の名寄から稚内もそれに含まれています。
 今年2月、道の有識者会議は、宗谷線及び石北線を「維持に向け検討を進めるべき」と位置づける報告を提出しました。
 地元紙「日刊宗谷」でも、「JR宗谷線の存続 全市民の願い」(2018年7月20日)と題する記事が掲載ています。

 さて、筆者が稚内に行くのにJRを使っているのかというと、ほとんど使っていません。
 飛行機で、千歳または羽田乗り換えで、稚内空港まで直接行きます。確かに冬の欠航は多いのですが、昨冬の経験からすると、飛行機が欠航するぐらい雪が降ると、実はJRも止まることが多かったです。(むしろ、滑走路のみの除雪ですむので、強風さえなければ復旧が速い?)
 稚内現地で少しでも長く時間を過ごしたいため、飛行機は当然の選択になります。

 次に、稚内市民が、宗谷線を積極的に使っているのかというと、必ずしもそうではありません。
 以下、稚内・札幌間の交通について、飛行機、鉄道、バスの比較を行ってみます。

1.飛行機(ANA)
所要時間:55分
料金:14,170円(スーパーバリュー28)、21,470円(フレックス)
便数:1日2便

2.鉄道(JR)
所要時間:5時間10分(乗り換えなしの場合)
料金:9,930円(自由席)
便数:1日3便(うち2便は旭川乗り換え)

3.バス(宗谷バス、北都交通共同運行)
所要時間:5時間50分
料金:6,200円
便数:1日6便

 当然ながら、飛行機が最も早いです。ただ料金も最も高くなっています。しかし、前倒しの予約が必要ですが、割引料金ですと、JR比較して+4000円程度です。便数も1日2便あります。急いでいて、お金のある人は断然飛行機でしょう。
 では、時間をかけてもいい、という場合にはどうなるかというと、鉄道とバスを比較すると、断然バスの方が安いです。しかも、所要時間も鉄道+40分程度に過ぎません。また便数が鉄道の倍の6便で、鉄道よりも時間に融通が利きます。
 さらに、飛行機・バスは札幌まで直行ですが、鉄道の場合、3便のうち2便は旭川乗り換えとなります。ご高齢の方や、重い荷物を持っての移動は大変です。私の経験ですが、冬場に宗谷線内で遅延が発生し、本来旭川で乗り換えるべき特急に間に合わなかった例もありました。
 事実この「乗り換え」が祟っているようで、「夏場の千歳便の伸びについて稚内市の担当課では、JR北海道の春のダイヤ改正によって、稚内―札幌間(特急)に旭川駅の乗り継ぎが必要になったため、代替の移動手段として航空機の利用が増加したのではないかと分析」(「昨年度の千歳便 1年通じて好調維持」日刊宗谷、2018年5月23日)と報じられています。
 さらに、鉄道は冬場に強いようなイメージがありますが、道路の除雪が多数の除雪車で迅速に行われるのと比較して、数少ないラッセル車による除雪に時間がかかることが多いです。このため、バスの方が、冬場でも欠便がはるかに少なくなっています。
 また、途中の筬島・佐久間は、シカの頻出区間で、たびたびシカが線路内に進入します。しかし、雪の壁が出来ているため、線路外に出ることができず、遅延が増大することもあります。実際、私の経験ですが、ほぼ30分、列車がシカの後にくっついて、タラタラと走ったこともありました(結果、稚内到着はほぼ1時間遅れ)。

 このため、少なくとも稚内・札幌間の移動については、鉄道が実に中途半端な位置づけなのです。つまり、①時間がかかりバスとさして変わらない、②かといってさほど安くない、少し上乗せすれば飛行機に乗れる、③便数も少なく、うち2便は旭川で乗り換えなければならない、④飛行機と同じかそれ以上に冬場の遅延・運休が多い、ということが要因です。
 もっとも、旭川までは、飛行機もバスもないので、もちろんのこと、鉄道の存在価値はあります。ただ、道内移動のメインは、札幌行きですので、それがこうした状況であるというのが、「宗谷線の不都合な真実」なわけです。しかも、東京からは直行で、道外の国内他都市からも、私のように千歳や羽田乗り換えで稚内空港へ、というのが当然の選択になります。

 となると、これはもう沿線住民の移動手段というよりは、観光に活路を求めるほかない状況です。日本旅行が外国人専用の観光列車を使ったツアーを企画しているようで、宗谷線と釧網線で実施し、「各ツアーの定員は約100人で、特別列車を投入する」とのことです(日本経済新聞、2018年8月18日、北海道経済面)。こうした動きに期待したいと思います。
 ただ、乗客は少ないながらも、普通列車で通勤・通学している方々もいることは、間違いのない事実なので、「不都合な真実」を受け止め、それを克服するしか維持する方向性は見いだせないという、厳しい状況なのかもしれません。

 とはいうものの、筆者は宗谷線が大好きです。以前18キッパーの時、北海道の全路線に乗りましたが、やはり宗谷線、しかも名寄以北が最も気に入っています。宗谷線がなければ、今、稚内に拠点を構えるにまで至らなかったのかもしれません。また、以下の動画も作成しています。維持できるための妙案を、稚内、宗谷地方を愛する皆さんと一緒に考えていきたいものです。