滞在許可書やらなんやら、諸々の面倒な手続きもぜーんぶ終わり、
無事僕らの店もオープンすることが出来た。
オープン記念の”イナウグラツィオーネ”にはイタリアで知り合った新たなパートナーや
(開店パーティ、開会式の意)
これまでお手伝い頂いた皆さんを招き2日間盛大に祝った!!
祝開店!! おめでとう。
と、賑わったのも2日間だけ。
オープン後しばらくは静かなもので、
ご近所さんに理解して貰うにはしばらく時間がかかるようだ。
現実はなかなか厳しい。
まだまだスタートしたばかりだ。
今日は
始まったばかりのこの店で起こった、あるおかしな事件の話。
”潔さ”について考えさされた2組のお客様のことを。。。
客数はまだまだ安定せず、波のある毎日を過ごしている、ちょうどその頃にいらしたお客様。
これが一組目のお客様の話。
男性2名様のご来店。
イタリア人はテラス席が大好きだ!!
特にこの時期は、どこのレストランもテラスから席は埋まり
外は満席なのに店内はお客さんが一人もいないなんて事およくあります。
この日の2人も迷わずテラス席。
席に着いたとたんに、キンキンに冷えた白ワイン。
前菜はこれ!!
その後はあれとあれ。
最後にメインでこれと、これ!!
軽快なテンポでどんどんメニューを決めていく。
同じようにお皿もどんどん空いていく。
同時にワインも2本目へ。
さすがイタリア人。
豪快だ!!
関心する食べっぷりに飲みっぷり。笑
最後はデザート食べて、グラッパ飲んで。
(ブドウの搾りかすからとる蒸留酒。一般的には食後酒に飲む)
あとはエスプレッソを出せば終わりだな。
そろそろかなぁ??
そう思って外を覗く。
。。。
ん!
。。。。
。。。。。え!いないんだけど??
食い逃げ!!笑
まさか。。。
けっこう食べたぞ、君たち!?笑
ワインも2本とも安いものじゃあないよ!!笑
食い逃げなんてされたのはもちろん初めて。
外国だし、対応もイマイチわからない。。。笑
どうする!?どうする!?
と、まぁひと騒ぎわしたが
今さら、騒いだところであとの祭り。
ま、しかたない。
ちゃんと見てなかった僕らがわるい。
とりあえず、
食べ終わった皿はどれもソースも残らないほどに綺麗に完食してるし。
食べてる最中、一皿一皿 ”Buono!! ボーノ!!” 言ってたみたいだし。
(美味しい!!の意)
シェフと相談の結果。
その豪快さに免じて笑って許してやった。
お会計は、
次への糧にと自分たちで補填!!
でもまぁ別に意外となんともない。
食い逃げも笑って済ませてやれるもんだということがわかった。笑
時系列が、若干おかしくなるけど、
二組目のお客様はつい先日。
一人の男性が食事にやってきた。
ジャーナリストと名乗るそのお客様。
来店早々、店内装飾やインテリア、食器にグラスにいたるまで
厳しい目でジャーナリストチェックが入る。
オーダーしたのは至ってシンプル。
魚介を中心に前菜、パスタ。
これだけ!?
。。。少し期待はずれだ。
けっきょく閉店時間まで一人残った彼。
そこからは彼のオンステージに。
自分はいかにスゴいジャーナリストか!
いかに有名か!!
奥様は有名大学の教授らしい。
妹さんは、弁護士。
友達は有名な映画スター。
一通りの自己紹介が終わると次は、
なんと知り合いの連絡先を次々書いては僕らに渡していく。
ジャ:なんかあったらここに電話してみな!!
店 :はい。ありがとうございます。何かの時には頼らせて頂きます。
(いいのか!?こんなことして。てかジャーナリストだろ!!守秘義務とかあるだろ!?)
ジャ:あ!そうそう、あしたの予約をしたいんだけど??
僕の友達を連れてディナーに8人で来るから、よろしく。
みんな来る人は有名人の友達ばかりなんだけど、みんなにこの店を紹介したいと思って。
21:30頃に8人ね。頼むよ。
ばりのニュアンスで、お会計を済ませて帰っていった。
。。。かわった人だなぁ!?笑
翌日。
またもランチにご来店。
今日もまた同じメニューを頼む。
ジャーナリストなら、他のものにも挑戦して頂きたいものだ。笑
食事中に電話。。。
お相手は友だちのジャーナリストらしい。
ジャ:ちょっと話してごらん。君たちの事にすごい興味あるらしいから。
なかば無理矢理に、電話を渡され話す。
とりとめもない会話だったが、確かにジャーナリストの”ような”口ぶりの相手が出た。
帰りぎわはまたもオンステージ。
今日のディナーの打ち合せ。メニューは全て彼が決定。
食後のドルチェやワインまで全て完璧に決める徹底ぶり。
(デザートの意)
ジャ:こんな感じで料理は出して、演出はこういう風にしてね。
本当に頼むよ!! 本当に大切なお客様なんだから!!
店 :はい、心得ています。(昨日は友だちって言ってなかったっけ??)
(。。。まぁ、友だちにも色々あるから。)
ジャ:ところで、"ファットゥーラ”切れる??
(イタリアの領収書的なもの)
店 :はい。もちろん承りますよ。
ジャ:じゃあ、夜は名刺もってくるからそれで。ランチのお会計もそのとき一緒でいいよね?
店 :はい。かしこまりました。では今夜お待ちしております。
例外は色々あるけど、こういうご要望は臨機応変に。よほどで無ければ断らない。。
初来店で大口のご予約とか、貸し切りパーティとか
そういう場合はデポジットをお支払い頂く場合もあるけど、あんまりお客様を疑いたくわない。
正確には
もし仮に一人の食い逃げ犯に当ってしまったとしても
確立では圧倒的に多い、そうではない全うなお客さまに疑っていると思わせてしまう事が
申し訳ない。
今回は、そこにランチ代も重なったという特殊な例だけど。。。
まぁ、結果から言うとディナーには来なかった。
つまり食い逃げだ。
ただ今回のは気分が悪い。
笑って許してやる事は出来なかった。
控えた本人の電話番号は唯一本物だったので電話をかけた。(知り合いの番号は全て偽物だった。笑)
店 :なぜ今日いらっしゃらなかったんですか?
こちらは、あなた方のために料理もワインも全て準備してお待ちしていましたよ。
ジャ:おっと忘れてた!ごめん、ごめん。
でも思い出させてくれてありがとう。
実はさっき仕事が今終わって。。。今日は行けなかったんだよ。
店 :忘れてた!?忘れてったって今日のランチ来たでしょう!!
(。。。てか周りうるさすぎだろ。こいつ仕事とか言ってディスコテカにいんだろ!?)
(日本で言うクラブ)
(中略)
ジャ:まあ、そんなに怒るなよ!!金払ってやるから!!
(略)
正直、ランチ代が支払われなかったことは大した問題ではない。
こちらを馬鹿にしたその態度と、その”いさぎの悪さ”だ。
食べた料理分を支払えば許してもらえると思っているのか!?
だったとしたら、何も言わずに走って逃げたほうがまだましだ。
というか、
たった一食のランチを食べるために、
ジャーナリストのふりして、
自分を誇張したアピールをして、
ウソの電話番号を紹介して、
共犯者に電話を装わせて、
予約して、メニューまで決めてって。。。
本当に必死で一食の食事にありつこうとしているのなら
そんな事しなくても、ランチ一食くらい出して上げたさ。
この時点で、ただどうしても食事がしたかったわけではない事はあきらかだ。
馬鹿にして遊び半分でやったに違いない。
その事実が腹立たしいい!!
シェフの考えはこうだ。
まずは自分たちを馬鹿にしている事を怒った。
せっかく、あなたの為に仕込みから料理の準備からやったのに
それを無下にするなんてふざけるな。
ランチ一食を食い逃げするよりも、その誠意を踏みにじった事が腹立たしい!!
料理人をなめるな。
そう強く思うだろう。
もちろん僕もそうだ。
料理を生業とする人ならわかるだろう。
この2組の食い逃げ犯。
どちらが潔いかというのは、言うまでもない。
どうせやるなら、
思い切り食べて、思い切り飲んで、
堂々と走って逃げろ!!
そしたら僕らは、笑って許してやる。
ということだ。
あんまり何度もあるとさすがに困るけど。