silver Seoul☆

silver Seoul①ー６

いつの間にか寝てしまったらしく、時計を見ると、夜中の３時だった。

隣に寝ている神楽ちゃんを起こさないように、こっそりとリビングに行く。

机の上に散らばった書類が目に入ったから簡単に目を通してみると、銀さんが昼間話していたやつだとすぐに分かった。

書類を持って壁に軽く寄りかかると、
『糖分』と掛かれた掛け軸から何かが落ちた。

拾ってみると、それは写真で、銀さんと神楽ちゃんと新八くんが笑顔で映っていた。

少し胸の奥が痛んだ。

そうだ。
ここは、私が入り込めるような場所じゃない。

驚くほど心は静か。
やるべきことは、分かってる。

書類をもう一度よく読んだ。
地図が入っていたからそれを丁寧に折りたたんで、ポケットに入れた。

私はここを出て行く。

でもこの数日の恩返しに、この調査を私がやろう。

大丈夫。

ここにきて、自分の中で何か自信がある。

身体能力の自信。

なぜか分からないけど、その自信は確かなものだから。

近くにあったメモに『お世話になりました。ノア』

と記して、そっと万事屋を後にした。

着物よりも制服のほうが走りやすいから正解だった。

それにしても、どんなに走っても疲れを感じない。

もともと、運動神経はよかったけど、ここまでは初めて。

しばらく走ると大きな建物が見えてきた。

『真撰組屯所』

そう書かれた札をみて、調査場所についたことを悟った。

門から入るのは無理そうだから、塀に登るしかないな。

自分よりはるかに高い塀。

軽くその場で地を蹴る。

その瞬間、フワリと体が浮いて、気がついたら塀の上にいた。

｢なっ………?！｣

自分でも何が起こったか分からなくて小さく声を落とす。

しばらくして、こっちの世界にきて身体能力が高くなったと気がついた。

なら、いい。
そっちのほうが都合がいいから。

私は静かに中に入って、辺りを見回した。

広いし、綺麗。
なんだか日本庭園みたい。

そんなことを思っていると辺りが明るくなった。

空がオレンジに染まっている。

夜明けだ。

この太陽は、少し前まで私が見ていた太陽と同じものなのかなぁ・・・