「ハルとナツ」 NHKで今、連続5日間、再放送しているテレビ番組にはまっています。
 1930年代のブラジル移住で、別れ別れになった姉妹を描いているドラマです。このテレビを見ながら、ブラジルで聞かせてもらった移住の体験談が再びよみがえってきました。
 
 私は、ブラジルに住んでいたとき「おばあちゃんのれんぶらんさ」というコーナーを日系の雑誌でもたせてもらっていました。「れんぶらんさ」というのは、ポルトガル語で「思い出」という意味で、日本から移住してきた女性に思い出を語ってもらう、という企画です。40人近い方々にお会いしたでしょうか。

 彼女たちのお話には、ドラマと同じような出来事がいくつもありました。
 
 目の伝染病(トラホーム)で、お兄さんが神戸の移民収容所の検査でひっかかり、このお兄さん1人を残して、家族がブラジルへ出発した人。
 カフェザール(コーヒー農園)で働いている間に、妹がマラリアにかかり、隣町の医者まで妹をかついで行った人。
 お話を聞いた本人がマラリアになり、高熱にうなされながらも、家族が働いていた農園の木の下で横たわるしかなかった人。
 野菜が何もなくて、青い葉を見つけると、走って行って、食べることができるか試してみた人。

 こんなお話を聞かせてもらった人たちの表情を「ハルとナツ」のドラマに重ね合わせて見ていました。

 私は「移住」という言葉に、ものすごいロマンを感じています。何でもインターネットで検索できる今と違って、戦前、ブラジルがどのような国かという情報は、日本にはわずかしかなかったはずです。その時代に地球の真反対のブラジルへ渡るということは、とてつもなく大きな夢とロマンがあったと想像できます。

 たとえそのロマンが厳しい現実とは、かけ離れていたとしても、ブラジルに暮らした日本の先駆者たちの歩みは、とても美しいと思います。

 サンパウロの日本移民資料館で、戦前からの移住者の白黒写真を撮影させてもらったり、お話を聞かせてくれたおばあさんたちの家でアルバムの写真を撮らせてもらいました。
 その写真の人物は、みんなとても生き生きしていた、と「ハルとナツ」のドラマをきっかけに思い出すことができました。