義務すら果たせない僕なんか、同じ立場でいることすら出来ないと思ってるよ。
それでも僕を特別だと言ってくれる。
それでも僕を掛け替えのない存在だと言ってくれる。
僕は誰よりも人間のことが好きなだけなのに。
何も出来ないとまでは思わないよ。
僕にしか出来ないこともあるよ。
けれどそれが可能なのは他でもない。
僕が義務を放棄しているからなんだよ。
みんなみたいに頑張っていないから。
みんなみたいに時間に追われていないから。
だから、僕はみんなのことを考える時間があるだけ。
みんなより人間のことを知る時間が長かっただけ。
君の悩みが小さいものだなんて思わないよ。
君はそれで苦しんでいるのだろう?
本人が辛いならそれは立派な悩みだ。
誰にも笑うことなんて許されない。
答えを持ってるわけじゃない。
何でも知ってるわけじゃない。
君のことを誰より理解しているのは君自身だ。
僕はそれを気付かせることしか出来ない。
君に見えてない君を僕は知っているよ。
君の感じる痛みを僕は一緒に感じられるよ。
その涙の意味を知ることが出来なくても、その辛さは僕にも伝わるんだよ。
本当だよ。疑いなんてしないだろうけどさ。
小学生の頃に気付いたんだ。
僕は他人のために産まれたのだと。
思春期の頃に気付いたんだ。
僕は簡単に極悪人になれてしまうと。
大人になる前に気付いたんだ。
僕は教祖になれると。
大人になって気付いたんだ。
自分の最大の欠落を。
迷うことを暫くしていないように思う。
考えることだけをひたすらしていた。
悩むことも暫くしていないように思う。
悩みの種類は限りなくとも原因は数種類しかない。
一緒に悩んであげることも出来なくなった。
答えを探すのが楽しくなった。
感情が流れてくるのが鬱陶しく思える。
他人の気持ちを知りたいだなんて戯言にしか聞こえない。
世界は暗くもなければ輝いてもいない。
日本に限れば尚更のこと。
温室暮らしの自分なんかに何が分かる?
分かるのは他人の感情だけ。
分からない人にとやかく言われたくはない。
分かる辛さを分からないものに言われたくない。
そういう体質があるのだと。そういう才能があるのだと。そういう病があるのだと。知らない人に言われたくない。
けれど、知って欲しくもない。
わざわざ、同じ辛さを知る必要などない。
でも、それでも、もし君に余裕があるのなら。
ねえ、僕を助けてよ。