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気付けば僕は彼女を抱きしめていた。
すぐに、自分の失態に気付き距離を置いた。

「ご、ごめん。」

彼女は今度こそ間違いなく涙を流していた。
嗚咽しながら泣く彼女を見て僕は強く後悔をした。

「本当にごめん。」

一気に血の気が引いていく。僕はなんてことをしてしまったのか。
彼女を守りたいと思ってしまった。僕なんかが思ってしまった。

彼女は何も言わず涙を拭いて立ち去っていった。

僕は追いかけることを声を掛けることも出来なかった。


今度こそもう会うことはないのだろう。
もし仮に会えたとしても話すことなど出来ないだろう。
それでも、もう一度謝りたい。
僕は本当になんてことをしてしまったんだろう。


数歩だけ家に向かって進んだ後、僕は立ち尽くしていた。差していた傘はいつの間にか手から離れていた。それを拾うこともせず、ただ、雨に濡れながら立ち尽くしていた。

「悠人くん。」
不意に後ろから呼び掛けられ慌てて振り返る。
そこには彼女がいた。

「「さっきはごめんなさい!」」

お互いの声が重なった。
彼女は驚き一瞬言葉を止めたが、また話し出す。

「お付き合いするのは無理だけど、友達になってくれませんか?」

僕は大袈裟に頷いた。
良かった、本当に良かった。

濡れてるよ? そう笑いながら彼女が拾って差し出してくれた傘を僕も笑いながら受け取った。

「今日も雨だね。」

「うん。私、『雨女』だからね。」

二人で顔を見合わせて笑った。