中国の次はベトナムへ向かう。ベトナムへ陸路で入る方法は何通りかあるようだが、あまり調べても分かりやすくは見つけられない。僕が今回参考にしたのは、広州からバスを用いて行けたという10年以上前のブログである。10年前ともなればかなり信用度も落ちる気がしたが、それ以外にあまり見つけられなかったので信じることにした。

ただ、そのブログもとても大雑把なものであった。まずは広州の越秀南バスターミナルから夜行バスに乗って国境付近の街、東興へ向かうと書いてあるのだが、そのバスターミナルが調べても出てこない。マップで入力してみるとヒットせず、代わりに2箇所ほど、もしかしてこれですか?と提案してくる始末であった。どちらかもわからず、その2つも微妙に距離があるため迷ったが、ネットで調べてもバスが出てこない以上、直接バスターミナルに行くしかなかった。僕は何となく勘で片方を選んだ。何となくとは言っても、その片方が高速鉄道広州駅の近くにあったからという理由があった。交通の要所は固まっているものだろう。いざ向かってみると自動券売機があった。中国語にしか対応しておらず、難儀しながら目的地の中から東興を探す。なかった。ここのバスターミナルからは出ていないのか…そう思い後にしようとしたが、英語名からも検索ができた。もしかしたら、と思い、東興の英語名を調べて打ち込むと、全く別の中国漢字でヒットした。これだ!行き当たりばったりと勘でチケットまで漕ぎ着けた!と喜ぶのも束の間、自動券売機では中国人しか購入できないため人の手でチケットを購入した。バスの出発まで時間があったため、メトロで他のところへ移動すると初めて電車の荷物検査に引っかかった。全く言語も通じない分厄介ではあったが、今夜のチケットに漕ぎ着けた喜びで特にストレスには感じなかった。

バスは思ったより豪華だった。席も広く涼しく、LVとGUCCIのブランケットが置かれていた。流石に偽物ではあろうが、快適には過ごせそうだ。色んな地点で人を拾って行くのだが、最初から共に取り合わせていたイキリベトナム人がニヤニヤしながら歩き回っており警戒してしまった。運転手も2人ほどいるらしいので構わぬことにしておこう。広州から東興までは大阪-東京間ほどの距離があるゆえ、ここで一泊することになりそうである。なぜか電車やバスの窓の外は際限なく見てしまうものだ。今まで旅した場所、これから赴く国々に想いを馳せながら物思いに耽るのである。