吸い寄せられるように、嫁のスマホを手に取った。嫁のスマホのパスワードは普段からなんとなく分かっていて、すぐにスマホを開くことができた。それまで嫁のスマホを見たことが全くないわけではなかったが、LINEのやり取りは、親族、仕事仲間、友人、知人とのもので、不自然な点はなかった。その日もLINEを見てみたが、不審なものはなく、変わらぬ日常生活を想像させた。LINE以外のアプリの一覧を見ていると、キャリアメールのアプリが立ち上がっていた。当時はガラケーからスマホへの過渡期、キャリアメールでのやり取りも多くあった。親族や主に年配の知人との履歴を見て、特に何もないしそろそろ寝るかと思っていたところ、ふと目を引くやり取りがあった。
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