ザ・ビートルズ完全日本盤レコード・ガイド

ザ・ビートルズ完全日本盤レコード・ガイド

THE BEATLES PERFECT JAPANESE RECORD GUIDE(BPJRG)を目指して、研究しています。

早くも9月になりましたが、このところ記事の更新間隔が空いてしまってすみません。困ったときのシングル・ガイドではありませんが、LPガイドも長期間進んでいませんので、このあたりで次回作「マジカル・ミステリー・ツアー」を紹介したいと思います。

前作の67年7月発売「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」から1年4か月後の68年12月5日に発売されました。USオリジナル発売盤の国内発売は、「ビートルズ物語」以来2枚目になります。UKEPも68年3月に国内発売されていましたが、東芝は同時期のシングル曲を収録したLPは売れると思って国内発売に踏み切ったのでしょうか。しかし、US発売から1年以上経ってからの発売は理由が分かりません。アップル・レコードとの契約直後ですので、その記念の発売かとも思いますが、同じ日にメリー・ホプキンのアップル・シングル「悲しき天使」が発売されていますが、本LPはオデオン・レーベルで発売されています。まあ、オリジナルは67年発売のLPですので、旧レーベルのオデオンが相応しいと判断したのでしょうか。

 

■OP-9728(東芝音工オデオン 青白帯:68年12月5日発売)

<ジャケット表>

<ジャケット裏>

<レーベルA面>

<レーベルB面>

68年当時のステレオLPの価格は2000円でしたが、本LPには映画のストーリーと写真が掲載された超豪華ブックレットが付いていましたので、レコード番号OP9千番台の、通常盤のワンランク上のレコード価格2200円で販売されました。

レコード盤のレーベルは従来のビートルズのLPと同様のデザインのオデオン・レーベルですが、ジャケットと帯にはEMIの文字とオデオン・ロゴが組み合わされたEMIオデオン・ロゴが印刷されています。EMIオデオン・ロゴに変更となったのは、68年夏頃からです。ジャケットのロゴは変更になりましたが、レコード盤のロゴは70年以降もしばらくは旧オデオン・ロゴが使用され続けられました。盤のレーベルがいつからEMIオデオン・ロゴに変更になったのか、時間があるときに調べたいと思います(笑)。

かなり以前に紹介しましたが、この頃、オデオン・レーベルのレコード盤の表記に変化が見られます。シングル・LPとも、リム上部の表記が、「MFD. BY TOSHIBA MUSICAL INDUSTRIES LTD. IN JAPAN」から「MFD. UNDER LICENCE BY TOSHIBA MUSICAL INDUSTRIES LTD. IN JAPAN」に変わっています。上記文字列の前後に丸いドットが印刷されていますが、前者のほうが文字数が少ないため、ドットが2点(2点タイプ)で、後者は1点(1点タイプ)になっています。本タイトルには1点タイプと2点タイプの両タイプ存在していることが確認できています。どちらも68年11月プレス(2点タイプ:L8、1点タイプ:8L)ですので、初期プレスの段階で変更されたようです。さらにはエラー・レーベルとしても紹介できそうな、A面1点タイプ、B面2点タイプの盤も存在します。2点・1点混合レーベルのPMは8L/8Mで、最終68年12月プレスのLP発売後のプレスですので、2種類のレーベルが混在している状態でプレスを行っていたのかもしれません。

<1点タイプレーベル>

 

■AP-9728(東芝音工アップル 青白帯:70年3月発売)

<ジャケット表>

<ジャケット裏>

<レーベルA面>

<レーベルB面>

70年3月ごろに、レーベル・ロゴをアップル・レーベルに変更し、レコード番号をOPからAPに変更した再発盤が発売されました。帯のデザインはOP盤と全く同じ青白帯で、レーベルがアップル・ロゴに変更されています。ジャケット表裏のロゴもアップル・ロゴに変更され、レコード番号も変更されていますが、その他はOP盤ジャケットと同じです。

 

■EAP-9030X(東芝音工アップル フォーエバー帯:73年3月22日発売)

<ジャケット表>

<ジャケット裏>

<レーベルA面(東芝EMI)>

<レーベルB面(東芝EMI)>

73年にはフォーエバー帯で2回目の再発盤が発売されました。この時期に既発売のビートルズLPは、すべてフォーエバー帯で再発されましたが、ほとんどのLPが既発売LPとレコード番号は同じで、ジャケットの会社名等の表記を若干変更したのみでの再発盤でしたが、本タイトルはビートルズLPの中で唯一レコード番号を変更して再発されています。他にレコード番号を変更してフォーエバー帯として再発されたLPはジョージの「不思議の壁」で、2枚のみになります。これら2枚がレコード番号を変更して再発された理由は、2枚とも9千番台価格2200円発売の豪華盤LPでしたが、70年代の初めに東芝のレコード番号の付け方が、豪華盤のレコード番号の最後にXを付けるように変更したために、レコード番号自体を変更せざるを得なかったためだと考えられます。

レコード番号を変更したおかげで、フォーエバー帯の中でこの2枚のみ発売日が明確になっています。他のフォーエバー帯の発売日は確認できませんが、これら2枚の発売日73年3月前後に発売されたのではないかと推測しています。

フォーエバー帯盤には帯や会社名の違いにより数タイプ存在しますが、本タイトルでは東芝音工2200円補充票ありのタイプ1と東芝EMI2200円補充票なしのタイプ4の2タイプしか確認できていません。73年12月にステレオ盤が2000円から2200円に値上がりしたため、他のタイトルは価格変更帯、価格変更ジャケットのバリエーションが存在しますが、本タイトルは発売当初から2200円でしたので価格変更タイプがなく、バリエーションが少なくなっています。但し、東芝EMI2200円補充票ありのタイプ3が存在する可能性はあると思います。

ジャケット、レーベルに関しても、存在するのは会社名の異なる2タイプのみです。

 

■EAS-80569(東芝音工アップル 国旗帯:76年7月5日発売)

<ジャケット表>

<ジャケット裏>

<レーベルA面>

<レーベルB面>

76年には国旗帯盤として再発されました。76年7月5日のこのシリーズ3回目の発売になりますので、帯裏ブランクのタイプ1及び帯裏ホワイト・アルバム丸帯ジャケット写真のタイプ2の2タイプは存在しません。初回は帯裏上綴じのタイプ3になりますが、見開きジャケットでは珍しく、下綴じのタイプ4も存在します。

また、89年4月の消費税導入以降に発売された、消費税価格帯のタイプ5も存在します。消費税帯は帯裏下綴じタイプになります。

<上:2500円帯、下:消費税価格帯>

これも以前言及しましたが、国旗帯盤の解説・歌詞シートにはファンクラブの記述、返信用切手の金額、東芝EMI担当者の記述の違いのバリエーションが存在しますが、本タイトルに関しては、初回のシート以外に返信用切手50円→60円と東芝EMI担当者石坂氏・三好氏→三好氏のみの記述に変更となったタイプが存在し、2タイプが確認できています。返信用切手の金額の記述のないタイプは確認していません。

さらに、収録曲「ペニー・レイン」、「ベイビー・ユーアー・ア・リッチマン」、「愛こそはすべて」の3曲は疑似ステレオ収録で、当初はシートでは触れていませんでしたが、ある時期よりシート1ページ目の曲目の上記3曲にアスタリスク(*)が付き、曲目の下に「*印は最新の技術によりモノーラル録音をステレオ化したものです。」と記述されるようになりました。従って、シート1ページ目の違いによる2タイプが存在します。

<上:シート初回版、下:シート改訂版>

この疑似ステレオ問題に関しては、訂正文を印刷した改訂版シートに変更する前に、別途、訂正カードを添付して対応していたことが確認できています。縦75㎜×横108㎜のお詫びカードで、上記解説・歌詞シートと同内容のお詫び文が記載されています。このカードはなかなか目にすることはないのではないでしょうか。もしかするとお持ちのLPの中に埋もれているかもしれません(笑)。

<お詫びカード>

24ページのブックレットは、国旗帯盤発売当初は従来と同様にジャケットの2箇所で、ホッチキスで留められていましたが、ある時期からジャケットから分離され、単体のブックレットとして添付されるようになりました。

 

■TOJP-60144(東芝EMIパーロフォン 新矢印帯:04年1月21日発売)

<ジャケット表>

<ジャケット裏>

<レーベルA面>

<レーベルB面>

本タイトルはUKオリジナルLPではありませんので、ボックス・セット収録盤や新国旗帯盤としては発売されていません。次に発売されたのは04年の最後の国内プレス盤です。帯にはLP「サージェント・ペパーズ~」の本シリーズと同様の、67~68年頃に使用された矢印帯に似た新矢印帯が使用されています。

レーベルはパーロフォンに変更となり、24ページのブックレットも切り離され、表ジャケットの間に収録されるようになりました。

国内プレスはこのLP以降発売されていませんので、直輸入盤仕様国内盤は割愛させていただき、別の機会に紹介したいと思います。

 

■LP「マジカル・ミステリー・ツアー」(年月のみの発売日はPM等より推測)