ちょっと時間が空いて命日からは遠ざかりましたが、ジョージ・マーティン追悼の海外盤LPを紹介する特集の2回目です。今回はUK盤を取り上げます。
■LP「OFF THE BEATLE TRACK」(ステレオ:PCS-3057、モノラル:PMC-1227、パーロフォン、発売:1964/8/3)
<モノラル盤ジャケット>
ジャケット表はUS盤と全く同じデザインで、曲順は異なりますが収録曲も同じです。US盤の64年7月発売に対し、UK盤は約1か月遅れの8月に発売されています。US盤はユナイテッド・アーティスト(UA)からの発売でしたが、UK盤はビートルズのレコードと同様にEMIのパーロフォン・レーベルでの発売です。また、US盤と同様にUK盤はモノラルとステレオの2種類が発売されています。
ジャケット裏のライナーノーツの最後に、US盤には「By the Beatles-a Band」の記載と4人のサインが印刷されており、これを見る限りビートルズのメンバー全員が執筆したように思われますが、UK盤では最後に「JOHN LENNON」と印刷されていることから、ジョンが執筆したことが分かります。ちなみにライナーノーツの終わりのほうに歌詞が掲載されており、「OLD MACDONALD HAD AN ARM」の節で歌うと書かれています。これはアメリカの童謡「OLD MACDONALD HAD A FARM」(日本では「ゆかいな牧場」のタイトルでイーアイ・イーアイー・オーで有名な曲))のことを指しているものと思われます(なぜか「FARM」を「ARM」に変えていますが、これもジョン流のジョークなのでしょう)。
本LPは80年代に入ってマイナー・レーベルから再発盤が出ています。まず82年にシー・フォー・マイルズ・レーベルより発売されました。ジャケット・デザインはオリジナル盤と同じです。続いて88年に2回目の再発盤がC5レーベルより発売されました。ジャケットの写真及びデザインはオリジナル盤と同じですが、ジャケット表の写真を囲んでいる枠の色が赤色から青色に変更となっています。
■再発LP「OFF THE BEATLE TRACK」(CM-101、シー・フォー・マイルズ、発売:1982)
■再発LP「OFF THE BEATLE TRACK」(C5-519、C5、発売:1988)
■LP「GEORGE MARTIN AND HIS ORCHESTRA PLAY HELP!」(ステレオ:TWO-102、モノラル:33SX-1775 、コロムビア、発売:1965)
<ステレオ盤ジャケット>
<モノラル盤ジャケット>
マーティンのUK2枚目のLPは、1965年発売のLP「ヘルプ!」関連の楽曲を収録したLPです。US盤では2枚目にLP「ハード・デイズ・ナイト」の楽曲を中心に収録したLPが発売されましたが、UKではなぜか発売されなかったようです。続くUSの3枚目「SCORES」に該当するLPもUKでは発売されていません。ジョージ・マーティンのレコード発売に関してはUSのユナイテッド・アーティストの影響が強く、US盤主体で販売する計画だったのでしょうか。
本UK盤はUS盤の4枚目「HELP!」と収録曲はほぼ同じですが、UK盤のB面2曲目収録の「バハマ・サウンド」というマーティン作曲の楽曲がUS盤には収録されていません。なお、US盤では一部の収録曲のタイトルを仮タイトルで表記していましたが、UK盤ではビートルズ発売レコードと同じタイトルで表記しています。
ジャケットは、US盤は映画「ヘルプ!」ロケのスキー・ウェアを着た写真が使用されましたが、UK盤はマーティンがピアノに向かって作曲をしているような場面の写真を使用しています。UK盤はUAレーベルではないのでビートルズの映画の写真は使用できなかったのでしょうか? なお、UK盤のライナーノーツはブライアン・エプスタインが執筆しています。
本LPはパーロフォン・レーベルではなく、1枚目と同じEMI発売ですがコロムビア・レーベルに変更となっています。65年にマーティンAIRを設立しEMIから離れたことが要因なのでしょうか?
■LP「..AND I LOVE HER」(ステレオ:TWO-141、コロムビア、発売:1965)
<ステレオ盤ジャケット>
UKではLP「ハード・デイズ・ナイト」関係の曲を収録したLPが発売されなかったためか、66年になって、「ハード・デイズ・ナイト」関連楽曲+αのLPが発売されました。このLPはUS盤の「A HARD DAY'S NIGHT」と「SCORES」の2枚を編集したような収録曲で、後者のLPを基本に、ビートルズの楽曲を「ハード・デイズ・ナイト」関連曲に変更したような編集になっています。すなわちビートルズ以外の楽曲を「SCORES」より6曲収録し、ビートルズの楽曲は「ノー・リプライ」と、「ハード・デイズ・ナイト」関連曲5曲の計6曲収録しています。なお、ジャケットにはビートルズもマーティンも写っていなく、女性1人が写った写真が使用されています。またライナーノーツはNMEのデレク・ジョンソン(Derek Johnson)が執筆していますが、彼は「NMEポールウィナーズ・コンサート」の司会もしています。
前作に続き本作もコロムビア・レーベルで発売されています。また、ステレオ盤は存在しますが、モノラル盤は見たことがありませんし、ネットでも確認できませんでした。66年はまだステレオとモノラルの2枚発売されていましたが、本作に限ってはステレオ盤のみの発売だったのかもしれません。
■LP「GEORGE MARTIN INSTRUMENTALLY SALUTES THE BEATLE GIRLS」(ステレオ:SULP-1157、モノラル:ULP-1157、UA、発売:1966)
<モノラル盤ジャケット>
UK盤4枚目にして、UAの影響力がUKにも及んできました。4枚目はUS盤の5枚目に当る「THE BEATLE GIRLS」で、表ジャケット、収録曲とも全く同じ内容で、レコード番号だけが変更されてUAレーベルでUK国内発売されています。UAはUKでもマーティンのLP発売をコントロールしようとしたのでしょうか。
■LP「BRITISH MAID」(ステレオ:SULP-1196、モノラル:ULP-1196、UA、発売:1966)
<ステレオ盤ジャケット>
続くUK盤5枚目もUS盤6枚目と同じ収録曲のLPがUAレーベルで発売されました。ボディ・ペイントをしたシタールを持っている裸の女性の写真はUS盤ジャケットと同じですが、タイトルがUS盤の「LONDON BY GEORGE」からUK盤では「BRITISH MAID」変更になっていて、左にユニオン・ジャックがデザインされています。
このLPも廉価版レーベルから再発盤が出ており、70年にサンセット・レーベルからUS盤タイトルに似た「BY GEORGE」というタイトルで発売されました。ジャケットは全く別のデザインに変えられ、イラスト・ジャケットになっています。
なお、ジャケット裏のライナーノーツの執筆は、US盤はAWと書かれており、UK盤はモート・グード(Mort Goode)となっています。グードはUSのプロデューサーで、AWはアラン・ワーナー(Alan Warner)のことで、彼はEMIに従事していました。再発UK盤のライナーノーツではアラン・ワーナーと明記されています。
■再発LP「BY GEORGE」(SLS-50182、サンセット、発売:1970)
■LP「BEATLES TO BOND AND BACH」(ステレオ:2383-304、ポリドール、発売:1974)
<ジャケット>
USでは70年代以降はマーティンのビートルズ関係のLPは発売されていないようですが、UKでは74年に1枚発売されています。タイトル「BEATLES TO BOND AND BACH」で、ビートルズと007関係の曲、さらにバッハの曲といったバラエティに富んだ(統一性のない(笑))選曲のLPです。ビートルズの曲では、LP「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」より「サージェント・ペパーズ~」、「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」の3曲が収録され、LP「イエロー・サブマリン」B面収録のマーティンの曲も収録されています。007関係ではウイングスの「死ぬのは奴らだ」と、この映画のマーティン作曲の挿入曲、及び「ジェームス・ボンドのテーマ」が収録されています。バッハは「G線上のアリア」と「前奏曲とフーガ変ホ長調」の2曲です。
このLPはポリドールから発売されています。マーティンはポリドールと契約していたのでしょうか、それとも何かのタイアップ企画で発売されたのでしょうか?
このLPは80年に再発盤が出ています。再発盤はIMPというマイナーなレーベルから発売されました。さらに2018年のレコード・ストア・デイでもEU盤としてブルー・カラー盤で制作されています。再発されるほど、UKでは人気のあるLPなのでしょうか?
■再発LP「BEATLES TO BOND AND BACH」(2188/2004、IMP、発売:1980)
■ジョージ・マーティンLP(UK盤)











