どうなる製造業派遣? | 今日も元気に頑張ろう! ビジネスは創造と挑戦

どうなる製造業派遣?

2004年3月1日施行された改正派遣法で、製造業務への派遣が解禁されました。当初は、派遣期間が1年とされていましたが、3年後の2007年3月1日から、その期間が延長され、26業務以外の自由化業務と同様、最長3年まで派遣を受け入れることができるようになりました。


従来は、請負契約を締結していましたが、実際指揮命令という仕事の指示が、請負先の社員からでていたことなど、請負の要件を満たしておらず、偽装請負として社会問題化したことは記憶に新しいところですね。


行政の指導に加え、マスコミの実名入りの報道で、あわてた大手製造業の経営者は、いっせいに請負から派遣に切り替えるよう指示を出しました。


そのため、大量の数の請負会社が、派遣の許可を取得したり届出をしたりしていき、急激に派遣事業所の数が増え、派遣の売上高も毎年1兆円規模で増加していくなど、派遣業界は右肩上がりで成長していきました。


昨年末に厚生労働省から発表された、「労働者派遣事業の平成19年度事業報告の集計結果」によると、年間の売上高は、対前年比19.3%増の6兆4645億円にのぼり、報告書を提出した事業所数は、対前年比19.4%増の50,109事業所にのぼっています。


厚生労働省の調べでは、製造業務で働く派遣労働者数は、平成19年6月時点で対前年比92.6%増の46万人強に達し、雇用機会の拡大に一定の役割を果たしたことが明らかになっています。


これが昨年までの派遣業界の姿です。


ところが、ここにきて大きく様変わりしていることは、ご承知のとおりです。


昨年秋以降の急速な景気後退により、雇用情勢も急激に悪化しました。そのため、非正規労働者を中心に今年3月までに約8万5千人にのぼると見られています。業種別では製造業が96%を占めており、雇用形態別では、派遣が3分の2強を占めています。


年末年始の報道を見ても、企業の横暴さが強調されているような感じを受けるのは、私だけでしょうか?


これだけ社会問題化すると、政治も派遣制度を見直そうとなってきます。舛添厚生労働大臣の発言も、世論というよりマスコミを意識した発言のようです。


先の臨時国会に法案提出された、日雇派遣禁止を中心とする改正派遣法は、5日から開会された通常国会で継続審議となっています。ただ、実際に審議されるのは、第2次補正予算、来年度予算の審議が終了した後、つまり早くても4月以降になる予定です。


そのころには、衆議院解散、総選挙となることも予想され、改正派遣法の行方は不透明な状況です。


民主党は昨年4月に日雇派遣禁止などを柱とする労働者派遣法改正案をすでに了承しています。ところが、雇用情勢の悪化を受け、製造業への派遣禁止にむけ党内調整に入っています。


与党側は、雇用の縮小を懸念して、製造派遣の禁止には、消極的な姿勢をとっています。


このように、政治がらみで不透明な部分が多いのが現状ですが、今の状況からすると、予断を許さない状況です。もし、総選挙で自民党が敗北し政権が民主党を中心とする野党連合にわたるとすれば、従来の規制緩和から一気に規制強化に方針が転向されることになります。


日雇い派遣の禁止は、確実視されていますが、それに加え、製造業務も禁止となれば、派遣業界は、大きな混乱になることが予想されています。そのときになってあわてないよう、先を読んだ戦略を立案し、実行していくことをお勧めします。