大阪での盛り上がりはいつも特別なものがある、というボーイズIIメンだが、実のところ今回も大阪ファンの盛り上がりは凄まじかった。
彼らのデビュー20周年を記念した“ジャパン・ツアー”の2日目。会場となった大阪・梅田芸術劇場は3階席までギッシリ。
しかも一階席はコンサートを通じてほぼスタンディング状態という尋常ではない熱気で溢れ返っていた。

ファンの熱意も大きいが、対するボーイズIIメンの3人の全力投入ぶりも負けてはいない。
スタートして間もなく披露された大ヒット曲“On Bended Knee”で、早くも本領発揮。惜しみなくパワフルな歌声を轟かせると会場中のファンを唸らせた。
かと思えば、”Please Don’t Go”ではお揃いのステップを軽やかに踏んでみせ、“Four Seasons Of Loneliness”では絶妙に溶け合ったまろやかなハーモニーで酔わせてみせる。
ひと口に美声コーラス・グループとして括られることの多い彼らだが、多彩な魅力で楽しませてくれる。


最新アルバム『TWENTY』からのリード・シングル”More Than You’ll Ever Know”も披露されたが、過去のヒット曲と並べてもまったく違和感がなかったのも発見だった。
前半のハイライトとも言えるモータウン・メドレーでは、自身のルーツを辿ってみせることも忘れない。
このあたりの演出の上手さは、やはりベテラン・グループ。20年選手ならではの貫禄としか言いようがない。


後半に入ると、ベイビーフェイスのペンによる新曲“One More Dance”(これも最新アルバムから)の甘いムードに、オーディエンスはすっかりトロケているようだった。
日本でも人気の高いジャーニーのカバー”Open Arms”では、その大らかで雄大な歌声が勇気を与えてくれた。

震災直後から義援金を集めるなど、日本の復興のために尽力してきてくれた彼ら。
今回のジャパン・ツアーにおいても各コンサート会場で義援金を募っている上、このツアーを通して日本の人々を励ましたいと繰り返し語ってくれている。
その気持ちがまるで歌声へと姿を替えたかのように、心に響いた瞬間だった。


終盤のハイライトとも言える“I’ll Make Love To You”ではイントロが鳴り出したと同時にファンは興奮状態に突入。
メンバーから薔薇の花を手渡されて一生の想い出を作れた人は超ラッキー。
だが、そんな様子を遠くから眺めているだけでも非常に微笑ましかった。

そして、その興奮冷めやらぬ中、しっとりと聴き入らせた”A Song For Mama”がまた絶品で感動的だった。
この辺りになると、長年聴き込んできた大ヒット曲の連続だけに誰もが放心状態となり彼らの歌声に酔いしれているようだった。


今回のジャパン・ツアーを通して、歌声で人々の心を癒したいと語っていた彼ら。
実際のところ癒されたのみならず、それ以上のパワーを与えてくれたのは会場にいた全員が実感したことだろう。


最新シングル“One Up For Love”で皆が人差し指を掲げて一体となったように、ひとつになることで希望の光が点せることも再確認。
生の歌声のパワーや威力に改めて驚かされると同時に、ボーイズIIメンという類い稀なるグループが20年間も人々に求められてきた理由を今更ながらに痛感した。


ステージ上から彼らがオーディエンスに向かって投げ掛けていた”おおきに“という言葉。
それを何倍にもして彼らに贈り返したい感謝の気持ちでいっぱいだ。


村上ひさし 
2011-11-13@大阪梅田芸術劇場


彼らはこの後、21日名古屋、22日福岡と公演を行い、24日、25日には東京国際フォーラムAでツアーファイナルを迎える。
チケットは購入可能とのことなんので、オフィシャルサイトをチェックしてみては!
www.boyz2men.jp