小川いら/プリンスはお年頃 (白泉社花丸文庫)

純愛:☆☆☆
H度:☆
オススメ:☆☆☆
登場人物 美香(王子) シルヴァ(臣下)

今回は恋人になったシルヴァとの間に邪魔な存在が立ちはだかるという王道な設定です。
祖父との確執を取り除く美香が健気でカワイイです。


【内容】
ある日突然、急死した欧州・ローエンシュタイン王国皇太子の隠し子だったと知らされ、日本の一高校生からプリンスに華麗な(?)転身をした美香。留学の形で日本に戻り、恋人兼お目付役のシルヴァと甘~い新生活が始まるはずが、にわかプリンスの周りは騒動ばかり。おまけに、シルヴァを美香から奪おうと狙うクセ者英国貴族まで現れて…?大幅書き下ろし含むドキドキの2編。
平凡な高校生からヨーロッパの王族へ、運命が180度転回した美香。お付きのシルヴァに恋をするが、生まれながらの貴族の風格とシルヴァとの浅からぬ因縁を備えたエドワードが立ちふさがり…。


ボーイズラブ ・BL な毎日。-238

【本文】
これって、虐めなのか? 自分は虐められているんだろうか?
 エドワードがどんなに由緒正しい血筋のお貴族様か知らないが、美香だって腐ってもローエンシュタインの王子なのだ。
 あるいは、自分がハーフのうえ、未婚の母親が生んだ中途半端な王子だから馬鹿にされているのかもしれない。でも、ちゃんと祖父には認めてもらっているし、正式に第二王位継承権だって持っている。
 もうちょっと上からものを言ってやろうかと思ったが、あいにくそういうことができないことは己自身が一番よく知っている。
 半ベソでもらった本を抱えていると、シルヴァが心配して様子を見にきてくれた。
 エドワードの前だろうが、もうなりふり構わず泣きついてしまおうかと思った瞬間だった。シルヴァの姿を見るなり立ち上がったエドワードは、すぐさま彼を自分の隣の椅子に招き寄せる。
「たった今、授業が一段落したところなんだよ。プリンスはとても優秀な生徒で驚いたよ。一冊の本ですべては解決。帰国する頃にはこの国の貴族階級にすっかり精通しているだろうね」
 エドワードの言葉を信じたのか、シルヴァは「ミカ様も優秀ですが、教師がよいからでしょう」などと社交辞令を言いながら、手渡された紅茶のカップを受け取っている。
「おい、こら、ちょっと待てっ!」と日本語で叫んでしまいそうになったのを、どうにか呑み込んだのは我ながらたいした自制心だったと思う。これこそ、シルヴァの日頃の教育の賜だ。
 いずれにしても、これではっきりとわかった。ロード・エドワード・ジョイスは確かにシルヴァの言うとおり変わり者だ。おまけに頭はいいかもしれないが、とんだ曲者でもある。そして、シルヴァのことを気に入っていて、美香のことは歓迎しながらも虐めている。
 上等だ。上からものを言うのは苦手だが、正面から喧嘩をするのはむしろ得意。それに、これは売られた喧嘩だ。買わなけりゃ、男も王子もすたるってもんだ。