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自動車評論家国沢光宏さんの

解説です。


スポーティモデルは世界的に見れば重要な戦略車種なのだが、日本国内市場に限って言えば「そんなモノ不要」。そんなこんなで絶滅危惧種になってしまった。そんな中、スズキのスイフトスポーツは今や唯一になってしまったコンパクトカーの高性能車である。168万円という価格設定からして大いに魅力的だ。

早速試乗してみた。搭載されるエンジンは専用チューンの1.6リッター136馬力。最高出力より常用回転域でのチカラ強さを狙った特性になっており、1050kgのボディを元気よく走らせてくれる。ただ「気持ちよさ」という点でイマイチ。これはもう簡単。騒音規制が非常に厳しいからです。

静かさを好む人ならピッタリだと思うけど、車検対応マフラーだってもう少し良い音を楽しめると思う。スイフトスポーツはヨーロッパ市場でも販売されるので、アンサーやレムスといったブランド品が入手できるようになるはず。もちろん日本製のマフラーだって優秀だし良い音を楽しめる。

一方、足回りは標準仕様のままで「最高っすね!」。普通のスイフトの足回りを少し固めればいい、と開発を始めたところ「せっかくだから……」が続出。フロントサスの性能を上げたらリアサスのグリップレベルをもう少し上げたい、みたいな流れになり、結局全面的に見直すことになったそうだ。

例えばフロントはショックアブソーバーの直径自体を大きくし、さらにステアリングの正確度向上のためステアリングラックの剛性も大幅増。サスペンション取り付け部分にV字アームで補強を入れる、なんてことまでやっている。リアサスなど専用設計。いやいやお金掛けてます。

ハンドルを握るとハッキリわかる。そもそも乗り心地がヨーロッパのスポーツモデルみたい。ガッシリとしたボディを作り、良質のショックアブソーバー(ボルボなどに使われているテネコ社製を採用)と組み合わせれば、極上の味になる。ホンモノの良さを知らないと「柔らかい」とさえ感じるだろう。

良いショックアブソーバーに共通することながら、しなやかに動く。新しいスイフトスポーツの足回りはBMWやポルシェのスポーツグレードと同じ味だ。ちなみにバネや減衰力は相当カタい。日本製のショックアブソーバーだと、路面のデコボコを探す機械のような乗り心地になってしまうと思う。

コーナリングの楽しさと来たら見事! タイヤ性能が高いため、相当頑張って走ってもスキール音さえしない(アライメント変化が少ない、ということでもある)。標準の足回りのままサーキットを走ったって文句のないレベル。FFスポーツモデルのお手本的な仕上がりになっている。

今回、ATは従来の4速タイプからステアリングシフトの7速モード付きCVTになった。1速~4速がクロシレシオなので、ワインディングロードではマニュアルミッションと同じように楽しめた。でも買うなら6速マニュアルミッションを強くプッシュしたい。圧倒的に楽しいですから。

オーディオ類を除き、必要な装備は全て標準。横滑り防止装置ESPや、長距離走行時の省エネ運転の強い味方になってくれるクルーズコントロールまで付く。日本車には希有な「上質の乗り心地を持つ5ドアモデル」ということもあり、毎日の相棒として乗るのもいいな、と思いました。