http://news.livedoor.com/article/detail/5119970/

佐藤優の眼光紙背:第84回

 11月5日、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の現場を撮影したと見られる映像が、インターネットの動画サイト「ユーチューブ」に投稿された。筆者も「ユーチューブ」の動画を見た。青色の漁船が、海上保安庁の巡視艇に衝突する瞬間が鮮明に写っていた。

 朝日新聞の以下の報道によると、政府もこの映像が海上保安庁によって撮影されたものであることを前提にした答弁をしている。

日本国家が壊れかけている。日本国家を家にたとえると、2つの壁にそれぞれ大きな穴が開き、腐蝕が拡大しているというイメージだ。

 第1は外交面だ。尖閣諸島は、日本が実効支配しているわが国固有の領土だ。尖閣諸島周辺12海里のわが国領海のみならず、その外側の排他的経済水域圏(EEZ)においても、外国漁船の操業は日本政府の許可がある。国際法で、領海であっても、船舶の無害通行権は認められている。ただし、この青色の漁船は、海に網を降ろしていた。領海でこのような行動をとることが認められないのは国際法上明白だ。

 それだけでなく、この青色の船は挑発的な行動をとり、、わが巡視艇に衝突した。巡視船は公船だ。日本国家を体現した船だ。公船に対する攻撃は、大使館に対する攻撃や外交官に危害を加えるのに準じる日本国家に対する挑戦だ。断じて看過してはならない。

 処分保留で釈放した中国人船長を、検察庁は直ちに起訴すべきだ。そして、中国に対して、犯罪人の引き渡しを要求する。日本国家としての筋を通すべきだ。

 第2の穴は、国家機関の官僚の規律が崩れている。日本国家が秘密としている情報が軽々に流出するような事態は断固取り締まらなくてはならない。情報漏洩者を「正義の告発者」と誤認してはならない。国家秩序を破壊するという意味では、腰抜け外務官僚と同じくらい悪質だ。(2010年11月5日脱稿)