http://markethack.net/archives/51647054.html
の記事からの引用です。
統計データを見たわけじゃないけど、アメリカでのブログは既に衰退期に入っていると感じます。
新しくブログを開設する人の成長率も鈍化しているだろうし、ブログの更新も停滞しているのではないでしょうか?
言うまでもなくその理由はTwitterやFacebookなどの新しいコミュニケーション・ツールが登場したことと関係しています。
ブログを日記として始めた人の大半はそもそも大きなフォロワーを獲得することが目的ではなく、自分がたいせつだと思うごく一握りのひとたちとつながることが出来ればもうそれで十分満足だと思うのです。
そういう人たちにとっては読み手のリアクションがすぐにわかるTwitterやFacebookの方が遥かに楽しいはずです。
つまりこれまでは乱暴な言い方をすれば:
1. なにか意見や伝えたいことを持っていた人がブログを書く
2. つながりたいひとがブログを書く
という大きく分けて2種類の人種がブログを開設していたわけですが、最近はこのうち2.が完全にTwitterやFacebookに流れてしまったということです。
昔はブログ以外にユーザーが簡単にコミュニケートするツールが少なかったためブログがいろいろな違う目的を持った人たちにとりあえず使われてきたまでの事であって、それはメディアとしてのブログが未分化、未定義だったことの所産だと思います。
だからユーザーがほんとうにやりたいことに応じてTwitterやFacebookへの乗り換えが起こるのは極めて自然な現象だと思います。
それではブログには未来は無いのでしょうか?
つまり「テッククランチ」や「ゼロヘッジ」のようにひとつの独立したメディアとしてビジネスの体裁をどんどん整えてゆく気がするのです。
もちろん全てのブログが企業になると言いたいわけではありません。橘玲の提唱するマイクロ法人のように、個人の処世の上での工夫の一環としてブログが使われるという場合もあるでしょう。
要するに新しくブログを開設する人の数が減ったとか、ブログの更新頻度が全体として減ったとかということだけではブログというメディアの価値の推移を計測しきれないということです。
その一方で我々個人が一日のうちに使える時間は限られていますから、TwitterやFacebookなどの新しいモノが登場すれば、当然、ブログを含めた既存のメディアと接する時間は減ります。
すると上で示した2.はTwitterやFacebookにくれてやるとして、1.の方の書き手や読み手の市場を防戦することが重要になります。(或る意味、これがグーグルの直面しているチャレンジでもあります。)
ところが1.の書き手はどんどん増えるようで、実は余り増えない。
ブログというのは1円もかけずに誰でも始められるし、参入障壁は無いわけですから、実力さえあればどんどん頭角をあわらすことができるように一見思われます。でも実際は着実にページビューを伸ばせる人間はごく一握りの人たちだけだし、「完全競争状態」であるがゆえに差がハッキリ出るのです。
若し新しいメディアを簡単に立ちあげられて、すぐに読者を獲得できるのであれば、AOLがわざわざ「テッククランチ」を買収したりしないはずです。
次に指摘したいのは有力ブロガーがボスザル化する現象です。
つまりネット上でオピニオン・リーダーのステータスを獲得すれば、黙っていても仕事が舞い込んでくるし、宣伝にもなるということです。たとえば「tsudaる」という流行語が出来た津田大介とか勝間和代とかはいずれもネット上での確固としたプレゼンスを持っています。
これはインタンジブルなアセット(財産)であり、その人たちの競争力、影響力の源泉です。
何年か前にある企業が「アルファブロガー」という企画をしたことがあります。つまり誰が影響力のあるブロガーか?ということを競うコンテストだったと記憶しています。
恐ろしいのはそのときに上位に出ていたメンツと、現在、ブログ界で活躍している有力ブロガーのリストは殆ど変っていない点です。
一見、簡単に下剋上できそうなネット界での序列ですが、実はこれを突き崩すのは並大抵の努力ではないのです。既得権にあぐらをかくことができないメリトクラシーの世界であるがゆえに競争や足の引っ張り合いは熾烈です。
それではボスのボスたるゆえんとは何でしょうか?
霊長類研究などの世界では誰がボスであるかの定義は極めて明快です。
ボスザルはどのメスとでも寝れるということです。
これは一番強い種を保存するというサバイバルの原則から考えると当然のことだと思います。
でも逆にボスザルは下のものから常に挑戦を受けます。
毎日、自分の優位性を証明してゆかなければいけないのです。
勝間和代が常にネットでボコボコにされる理由はここにあります。
でもボスザルはむやみに自分より格下の相手には喧嘩を売りません。自分にとって一番脅威になるかも知れない相手だけは挑戦を受けて立ち、「誰がボスであるかを知らしめる」わけです。
その意味でボスザルはクールさを失ってはいけないし、弱さ(vulnerability)の片鱗が見えただけで群れのメンバー全体が騒然となるのです。
ちょっと前におきた「勝間vs.ひろゆき」のバトルは勝間和代が稀に見せたvulnerabilityに皆がpile on(たたみかけること)した事件だったわけです。
それでは勝間和代は「終わった」のでしょうか?
僕はそうは思いません。
たとえば彼女はTwitterを日本で広めるのに一役買いました。いま彼女はFacebookをプッシュしはじめています。
このように新しいツールをどんどん使いこなし、冒険することを彼女は恐れません。常に自分をre-invent(再発明)しているわけです。
英国の動物行動学者、ジェーン・グドールの研究で面白い「事件」が報告されています。
或る日ジェーンが観察していたチンパンジーの群れの中の一頭が空き缶をジャラジャラ鳴らして騒音を立てることを体得しました。
他のチンパンジーは動揺し、このフツーのチンパンジーに畏怖の念を抱くようになったのです。最後には「空き缶ジャラジャラ」の能力でこのチンパンジーは群れのボスの座にまで上り詰めます。
このように新しいツールを誰よりも早く使いこなすということは極めて重要なことです。
映画『2001年宇宙の旅』の冒頭シーンで猿が骨を武器として使うことで敵を打ち破るエピソードが出てきますが、あれと同じことです。