http://www.corism.com/special/ohter/792.html
自動車評論家国沢光宏さんのコラムです。
先日登場した日産のフーガ ハイブリッドは、19.0km/Lという1.5リッターセダンと同等の10・15モード燃費を達成している。同じクラスであるクラウン ハイブリッドの15.8km/Lを圧倒した。はたして日産式ハイブリッドシステムの方がトヨタ式より優れているのだろうか? じっくり考えてみたい。
まず2車の燃費を除く性能やスペックを比よう。クラウン ハイブリッドがエンジン296馬力+モーター200馬力のシステム出力345馬力。フーガ ハイブリッドはエンジン306馬力+モーター68馬力。システム出力を公表していないものの、バッテリー性能から推測すれば374馬力程度だと思う。
ちなみにクラウン ハイブリッドの場合、システム出力の345馬力から296馬力を引いた49馬力がバッテリーの電力で賄われているという計算。200馬力というモーターを搭載していてもバッテリーの電力だけじゃ発揮できないのだ。フーガ ハイブリッドのバッテリー性能は68馬力。フルにモーターを稼働させられる。
さて。クラウン ハイブリッドの車重1840kgに対しフーガ ハイブリッド1860kg。30馬力違うシステム出力の差を考えればフーガ ハイブリッドの方が若干速いだろう。ここから本題。なんでフーガ ハイブリッドの燃費はいいのだろう。こらもうバッテリー性能の違いに他ならぬ。プリウスとインサイトの差、と同じです。
インサイトの燃費がプリウスに勝てないのは、回生出来るエネルギー量からして違うからだ。仮に60km/hからブレーキを踏んで10km/hまで速度を落としたと考えて欲しい。バッテリーの性能(充電性能です)の良いプリウスは、回生した電力だけで45km/hくらいまで再加速可能。
一方インサイトのバッテリー性能だと十分なエネルギーを回収出来ず、25km/hくらいまでしか再加速出来ない。参考までに書いておくと、プリウスは最大で28kW分の電力を回生できるのに対し、インサイトだと8kWほど。これが積み重なるため、燃費で負けてしまう。
クラウン ハイブリッドの回生性能は、おそらく28kWくらい(機密事項です)。フーガ ハイブリッドだと50kW近いだろうから、明らかに有利。この点だけで10・15モード燃費が変わってくる。ハイブリッドシステム全体で考えると、依然としてトヨタ式は日産式より有利だと思います。
逆に「クラウン ハイブリッドに高い性能を持つリチウム電池を搭載したらフーガ ハイブリッドより燃費良くなるか?」と聞かれたら、即答しておく。もちろん「イエス」でございます。優れたリチウム電池さえトヨタにあれば、クラウン ハイブリッドに限らず、レクサス RX450hやLS600hも大幅に燃費良くなるだろう。
トヨタにとって高い性能を持つリチウム電池の実用化は今や最大の課題になっている。ウワサによれば年内に発売されるプリウスの3列シートモデルから新電池を採用するとか。このバッテリーの量産が始まれば、大型ハイブリッド車の燃費もイッキに改善されるんじゃなかろうか。