部屋に揃ったメンバーの顔を見てヒチョルが腕を組んだ。
「こっちの4人。自分の朝から今までの行動を思い出せ。何かしらいつもと違う事なかったか?」
自分だけに身体の異変が現れた訳ではないと安心したらしいリョウクだけはいつもと変わらない様子で「朝から~?」と呑気な声を出しつつも記憶を呼び起こしているようだ。
もうすでにそれを終わらせているイトゥクは横で魂を飛ばしかけているウニョクを心配そうに見ていて、キュヒョンはといえば難しい顔をしてカーペットを睨んでいる。
「特に何もなかった…?」
首を傾げながらそう言うリョウクと横で頷くキュヒョン。
「朝ごはん食べ損ねたくらい」と答えるウニョク。
それを聞いたヒチョルがイトゥクに視線を向ける。
「ジョンス。お前この中じゃ記憶力いい方だぞ。まだボケてないな」
「はぁ?誕生日がちょっと違うだけで人を年寄り扱いするのやめろよ」
ヒチョルの言葉にリョウクが目を丸くする。
「え。トゥギヒョン心当たりあるの?」
「心当たりって言うか…。こっちの4人今日の移動中にシンドンに貰ったサプリ飲んだよね」
暫しの沈黙の後。
「「「あーーーーーーっ!!!」」」
「チュアブル錠! 貰った!!」
「え!? ウソ!! あれなの!?」
「もしかしてリョウガが口に放りこんだやつか!?」
ギャアギャアと騒ぎ始めた4人と対照的にシウォンがすっと手を上げる。
「それって確定じゃないよね?シンドンヒョンは普通に飲んでるってことでしょ?」
「そう。だけどサプリ飲んだ4人がこうなってるってことはかなり濃いグレーだよね」
だよねぇ、と全員がどうしたものだかと考えを巡らせていると。
「もしもーし。ヒョンちょっと来てほしいんだけど。確認したいことがあって」
そのセリフに全員がドンヘを見ると、スマホ片手に「はーい。じゃあよろしくね」と通話を切る。
「何?」
「…お前のその行動力すげぇな」
「だって違うかもだけど可能性があるなら聞いた方が早いし」
「行動力っていうより、こいつは考える事を放棄してるだけだよ」
「そうは言うけど考えてるだけじゃどうにもならないだろ」
何故か信頼薄気な発言をするウニョクをもろともしないドンヘを見てD&Eが上手くいっているのはこういうところだろうなと全員が確信する。
暫くしてノックされたドアを開けたヒチョルの後ろから入って来たシンドンが全員の顔を見て目を丸くした。
「何?今から演出変えるとかいわないよな?」
「これが演出だったらどれだけよかったか…」
沈むキュヒョンに訝し気な視線を向けたシンドンが首を傾げた。
「じゃあ何なの、この集まり」
「こっちの4人さ。お前にサプリ貰った4人なんだわ」
「こっちの4人」に暫し目を向けて固まった後。
「ないないない…。どこかにカメラでも仕込んでる?」
「冗談じゃないんだって!いつもと違う事ってそれしか思いつかないし」
「一応、ヒョンが毎日飲んでるはずっていうのは言った」
「てめっ!こんな時だけ常識人みたいな発言すんじゃねぇぞ」
やっぱり大騒ぎが始まるメンバーに完全に取り残されたシンドンは首を捻っている。
「いや…まさか、あれ、夢じゃなかったとか…?」
そのセリフにピタリと時を止めて全員がシンドンを見た。
彼曰く。
最初にサプリを飲んだ時、夜中に喉の渇きで目を覚ましたのだがその時に違和感を感じたらしい。
それはそうだ。
胸があるし。
自分で胸に手を当てて、はたと思ったらしい。
これは夢だ。
だって喉の渇きで目を覚ましたけれど、ただただ眠い。
冷蔵庫を開けて取り出した水を飲んで満足したら、そのままベッドに戻ってマットに転がったら朝になっていた。
その時には何の異変もなかったのだから夢だとしか思えなかったし、その後は何も異変は無いと言う。
「あー。それだわ。絶対それだわ」
「じゃあ明日になったら戻ってる?」
「そう願うしかないな」
「いやみんな楽観視し過ぎてない!?」
「元に戻す方法なんてわからないから仕方ないだろ」
ああだこうだと考えだす中でまたドンヘが声を上げる。
「ねぇ。とりあえずごはん食べない?腹減った」
「なんかもう…お前の存在ありがてぇな」
「ん?何食べるデリバリーでもルームサービスでもなんならコンビニ行ってくるけど」
「油そば!!!」
やけくそ気味に叫んだウニョクにドンヘが笑う。
「それだけ?」
「メロンパンとプリンと…」
と、やっぱりやけくそ気味に甘いものをつらつらと叫ぶウニョクに「なんだかわからないけど大丈夫な気がしてきた」とリョウクが笑った。