徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説 -142ページ目

徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説

SJウォンキュ妄想垂れ流し小説ブログです。 
とはいいつつも83(レラトゥギ)・ヘウン、TVXQミンホも時々やらかしますが、どうぞご贔屓に!

倒れたキュヒョンを受け止めたチャンミンは剣を抜くと、自分たちの前に居る全員を威嚇するように剣先を向ける。
それと同時に向こうも迷いなく剣を抜いた。
当然だ。
剣を抜いた時点この国の王族に対する宣戦布告で、命を捨てたも同然の状況なのだから。
王の護衛も王子の護衛であるユノもかなりの手練れで勝算はまずない。
そもそも自分にユノが斬れるはずもない。
それでも最後までキュヒョンを護るのが自分の務めであり与えられた命の使い方だ。
緊迫した空気を揺らしたのは大袈裟に溜息を吐いたヒチョルだった。
 
「もうこんな茶番劇、いい加減にしとけ。あいつ本気で死ぬ気だぞ」
「茶番劇とか言うなよ」
 
それに拗ねたように返事をしたのはジョンスだ。
訝し気な表情を向けるチャンミンにジョンスは困ったように眉尻を下げる。
 
「元からそこに居るのがキュヒョン王子だって知ってたよ。君がその子を護ろうとしてるのも当然だからこの状況に対しても何も罪を問われはしないから。君たちもあの国も」
「…知ってた?」
「知ってた。シウォナが迎えたかったのも彼の方だし」
 
何を言っているのかが理解できない。
いきなりこの人たちの言葉が異国の言葉に聞こえる。
 
「それにねぇ、元々こんなややこしい事にしたのはジナの方なんだけど」
 
聞き馴染みのある上に、確かに何かをやらかしかねないその名前にチャンミンの肩から力が抜ける。
 
「王妃様が、一体…」
「話はするけど、とりあえず中に入って。キュヒョンを暖かい部屋で休ませて、君たちも全員少し休んでからじゃないと話さないよ。睡眠不足と空腹は神経を尖らせるだけだからね」
「あなたは一体、何者なんですか?」
 
チャンミンの言葉にジョンスは「それも後でね」と笑う。
疲弊しきった上にこの雨に打たれ続けたまま緊張の糸を張り続けていたチャンミンの体力も、気力もすでに限界だった。
このまま戦ったところですぐに勝負はつくだろう。
その迷いを読み取ったようにユノがふと姿勢を戻すと剣を鞘に納めて、泣きそうな表情を見せた。
それは犯則だろう、と溜息を吐いたチャンミンも下ろした剣を鞘に納める。
シウォンが安心したようにこちらに伸ばす手にキュヒョンを預けると、ユノがチャンミンに肩を貸してくれた。
 
「…なにやってんだよ、バカ」
「バカとは心外ですね。こっちは何一つ事情がが分からないんですけど」
「こっちも半分は分かってないよ」
「半分ならいいじゃないですか」
「よくない。チャンミンに剣先向けられたし」
「…すみません」
「本当に…どうしようかと思った」
 
悔しそうに言ったユノの指先が冷えていて、支えられているはずの肩をしっかりと抱く。「僕には貴方を斬れませんよ」
 
「じゃあ、斬られる気だったのかよ」
「さぁ…それも違う気がしますけど」
「わかんねぇ」
「でしょうね。僕もよくわかりませんから」
 
ユノが「なんだよそれ」と笑う。
その顔をずっと見ていたいだけなのだと言ったらこの人はどんな顔を見せてくれるのか。
自分の存在意義を根底から覆すほどのこの想いはきっと子供の頃のキュヒョンがシウォンに言葉を貰った時と同じはずなのだ。
ただそれは子供過ぎて気づかなかっただけで。
今何が起こっているのかさっぱり理解できていないけれど悪い状況ではない事だけは理解できる。
願わくばこのまま全てがまるく収まればいいと祈るだけだ。
 
 
 
父が亡くなった。
7歳になったばかりの僕は周りから見ても呆れるほどに冷静だったに違いない。
母の記憶は朧気で気が付いた時には居なかった。
父に一度訪ねたが「遠くに行った」と困ったように言われ、それ以上聞くことも出来ずただもう二度と会えないのだと思っただけだ。
大人が思っている以上に子供は賢い。
父は僕に不自由がないようにと懸命に働いて事故であっけなくこの世を去った。
元々働きづめだった父の代わりになにかと面倒をみてくれていた父の友人だった夫婦が僕を引き取って育ててくれた。
それだけでも感謝しきれない。
育ての父は近衛隊の隊長を務めるほどに腕の立つ剣士で、僕にも剣を教えてくれた。
筋がいいと褒められ、それが嬉しくもあり腕を磨くことが唯一できる恩返しだとも思っていた。
それくらいしか僕に出来ることはない。
10歳になる頃、末の双子の王子と姫も丁度10歳になるこの年はそれぞれの護衛を着けるために年の頃も近い剣士が集められその腕を競う武道会が行われ、それに参加するために初めて登城したのを今でも鮮明に覚えている。
その時の腕前だけなら自分より上の者も大勢いたし、当然優秀な剣士が選ばれるはずで、悔しいけれどそれは自分ではない事も解っていたのに。
その王子は何故か僕を指名した。
王も王妃も「キュヒョンが自分からそんなことを言うのは珍しい」と王子の意志を尊重する形で警護に任命された。
まだまだ力不足だと自覚もあった僕に王は「自分の能力に奢りを持たず精進しようとするものには、まだ引き出せる能力があるだろう」と笑ってそう言ってくれたのだ。
そしてその王子が自分を選んだ理由。
それも話をするうちに解って来た。
王子自体は無意識に感じ取っただけなのだろうけれど。
キュヒョンにはそういうところがある。
人の感情に敏感なのだ。
彼の生い立ちを知っていればそれも仕方がない事なのだろうと思う。
家族にも愛されているのに、どこかで遠慮して生きているような自分。
同じだと思った。
自分とキュヒョンは同じなのだ。
同じはずの彼は「チャンミンは本当に努力をすることを惜しまないし、それに見合ったように腕を上げるけれど。俺は自分ではどうしようも出来ないんだから同じじゃないよ」そう言った。
だったら自分は彼を護ろうと思った。
自分と同じなのに違う彼を守らなければならないと思った。
 
 
 
ゆるりと瞼を上げると、隣で頬杖をついて自分を見ている人。
懐かしい夢を見て目覚めると愛しい人が居る夢。
…いい夢だ。
伸ばした腕で相手を閉じ込めると慌てたように腕を叩かれた。
 
「チャンミン寝ぼけてるのか!?」
「…ん?」
 
夢の割にはやけに現実的な感触だ。
 
「起きろよ。いつまでも気持ちよさそうに寝てるなと思ってみてたらこれかよ」
「んん?」
 
腕を広げるとそこに居たユノが起き上がる。
 
「え…?…は?なんであんたがここに居るんですか」
「何でって…一緒に寝てたからだろ」
 
伸びをして欠伸を一つしながらユノは首を廻す。
…あぁ、そうか。
結局あのまま自分の宛がわれた部屋まで戻ってきて。
キュヒョンは別室で休んでいるからと、昨日から同じように動いていたユノも同じように疲弊していたためここで一緒に休んでもいいとの許可が下りていた。
ユノにチャンミンを見張らせるための口実だったのかもしれないが。
 
「ほら。キュヒョン王子も目が覚めたらしいし」
「…どこまで知ってるんですか」
「俺が知ってるのは最初からあれがキュヒョン王子だってことだけ」
「はぁ…」
「その辺りは王妃様が話してくださるよ」
「その王妃様にもお会いしたことがないんですけど」
「あぁ。うん。そーだよなぁ」

 
何故か楽し気なユノが「すぐに食事を用意してくれるって。終わったら大広間だってさ」と言ったのに呼応するように派手に腹が鳴って、それに爆笑するユノを見ながらこの状況に幸せを感じる自分に苦笑いをするしかなかった。