ちょっと番外編要素高いお話
猫視点です。
男の子相手でも「おかあさん」なのは猫には「おとうさん」の概念がないからなんで。
母親しか子育てしないのよ…
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私の名前はメロディー。
この家の一員。
大好きなお母さんたちに囲まれて幸せにくらしてるの。
ごはんをくれる「おかあさん」も。
いつも撫でてくれるおかあさんも。
このお家にやってくる「おかあさん達の友達」も大好き。
みんな私のことを可愛いって撫でてくれるし、温かいから。
でも一番大好きなのは…
「メロディー♪」
最近は毎日帰ってこないけれど、やっぱり私の名前をくれた「おかあさん」
「元気だったか?」
低いけど甘い声で名前を呼ばれて頭を撫でてくれる。
だから、その手に額をぐりぐりと押し付けて「お帰りー。おかあさん」って挨拶をする。
「あら。シウォナお帰り。早かったのね」
「うん。意外と道が空いてて」
そうしてドアの方を振り返ってお母さんが呼んだ名前にびっくりする。
その名前は私が一番嫌いな名前。
「こんにちは。お邪魔します」
「キュヒョンくん。何、荷物持ちさせられたの?」
大きな鞄を抱えた「キュヒョン」は笑って
「シウォナが猫ちゃんに会いたいからって速攻で家入るから…。まぁこれくらいは…今日はずっと運転してもらってたし」
猫!?
猫とはなによ!?
メロディーって立派な名前があるんですからねっ!!
「フシャーッ!!」
思いっきり威嚇してやる。
まったく、ただでさえあんたのことは嫌いなんだからねっ!
「…ほんと、お前はどうしてキュヒョナだけはダメなの?」
毛を逆立てて歯を見せるとお母さんはそう言ってため息をこぼす。
困ったように微笑んで頭を撫でながら。
「…ちょっと…本当にこれ俺だけなの?」
「うん。だって俺メロディーが歯出して怒るのなんてお前でしか見たことないから、初めてキュヒョナが来た時ちょっと感動すらしたもん」
「親バカ…。俺だけっていうのがねぇ」
ひょいっとしゃがんで視点を私の高さに近づけた「キュヒョン」が、むっと口を結んで私を見る。
でもそれは怒ってる顔じゃなくて、困ってる顔。
あんただけよっ!
だって私が一番大好きなお母さんが一番大切なものなんだもの。
あんたがいたら私は一番じゃないんだもの。
「ほら、メロディー。そんな怒ったら別嬪さんが台無しだぞー。キュヒョナのことそんな嫌わないでよ」
「うん。嫌わないで」
手を差し出してくる。
いい度胸してんじゃない、あんた!
ペシンと猫パンチをかましておいた。
「うわ。手、大丈夫か?」
お母さんが慌てて「キュヒョン」の手を取ってパンチをお見舞いした場所を確認する。
「大丈夫。爪立ててなかったか?」
ええ。立ててませんよ。
だってあんたの手にけがさせたらおかあさんの大好きな歌うお仕事出来なくなるんでしょ?いつかお母さんがそう言ったんだもの。
自分の声とは違うあの声がなければだめなんだって。
ああ、でも。
「腹が立つのよ!あんたの声にも!」
文句を言ったら、お母さんに困ったように「メロディー。ダメ」って怒られた。
私は悪くなんてないんだから。
「…なんで、俺だけこんな嫌がられてるのかなぁ」
それまでご飯をつくっていたお母さんが笑いながら。
「多分、シウォナをキュヒョンくんに取られたって思ってるのよ」
なんて核心をズバリと言い当ててくれたりするからちょっとドキリとする。
そう言われた「キュヒョン」はお母さんの顔を見て、二人で何か納得したように笑って、視線をこっちに向ける。
なっ…なによ!
「メロディー…ごめんな?」
…なんで謝るのよ。
「本当に腹が立つったら!」
もう一回文句だけいってラックの上に上がって部屋中を見下ろす。
二人が同じような笑顔でこっちを見上げてて。
なんだか腹を立てている自分がちょっとばからしくなってきた。
もういい。ふて寝してやるんだから。
フーッと深呼吸して手の上に頭を乗せる。
楽しそうなお母さんの声を聴きながら、うとうとと眠りに落ちる。
「メロディー」
少し高いいつもは聞こえない声がちょっとだけ心地よく感じたのは気のせいにしておこうと思った。