【ウォンキュ】On Your Mark 17 | 徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説

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SJウォンキュ妄想垂れ流し小説ブログです。 
とはいいつつも83(レラトゥギ)・ヘウン、TVXQミンホも時々やらかしますが、どうぞご贔屓に!

キュヒョンの国は他国から「神の住む国」と呼ばれている。
理由は王家の血筋を引く男性のみに出来る「天候を操ることが出来る」という能力のせいだ。
その特別な能力は祝詞を歌に乗せることで発揮される。
天候を操れるということは国を繁栄させるだけでなく、争い事に於いても有益に事を進めることが出来るのだ。
その王家の血を引く男性の中に初めて異端な存在が出来た。
それがキュヒョンだった。
雨を呼ぶ事だけしか出来ない。
ジナの身元を隠していたために高貴な血筋を持たない者が王妃になったせいだとジナを責める者も居たし、双子として生まれてきたレイナのせいではないかと言う者も少なくはなかった。
自分が雨しか呼べないせいで自分だけではなくジナやレイナまでが責められる。
幼いキュヒョンを責めるような事を言う人間も居た。
家族が当たり前に出来ることが出来ない出来損ないだと。
それでも捻くれて育たなかったのは家族の愛情だとも思う。
ジナはキュヒョンが出来ない事も自分やレイナを責める言葉も全て笑い飛ばしたし、レイナは自分のせいかもしれないと自身を責めることはあってもそれをキュヒョンに向けたりしたことは一度もなかった。
父も兄も同様にキュヒョンを責めたりしなかったし、だからと言って腫れ物に触るような態度を示すようなこともなかった。
出来ない事で一番辛いのは本人だと知っていたから。
全員が今でもキュヒョンの幸せを一番に考えてくれている。
 
「ここに居る僕達もシウォナだけじゃなくて君が幸せであって欲しいと思ってるよ。まあ、シウォナの場合君に振られたら暫くは不幸だと思うけどね」
 
ジョンスがそう言って笑う。
 
「確かに幸せではないですけど。でも何もしないで諦める訳じゃないから大丈夫ですよ。ダメでも伝えることは伝えましたから時間はかかってもちゃんと傷は癒えます。きっとね」
 
柔らかい笑顔を向けられて、今度は胸がじわりと温かくなった。
 
「で、嫁に来のるか、帰るのか。どーすんだ?」
 
ヒチョルはただ楽しそうにそう言う。
 
「…えっと…ここに来たら父上や母上に迷惑をかけたりしないでしょうか?」
「こればかりは絶対とは言えないよね」
「じゃあ…帰ったらここに居る皆さんにご迷惑がかかったりは…」
「シウォナの嫁候補が来てることは国民には知られていないからね。僕たちが残念なだけ」

 
その会話にジョイは呆れたように溜息をついて隣のチャンミンの体を肘でつつくと、苦笑いして立ち上がった彼はキュヒョンに近づくきその背中を思いきりよく叩く。
 
「痛った!!」
「…この期に及んでまだ人の事ですか。みんなが貴方の幸せと決断を願ってるんです。自分の意志で自分の進みたい方に向かってください。それが皆さんの気持ちに報いる事じゃないんですか」

 
ここに送り出してくれた両親や兄弟。
可愛い妹。
迎えてくれたジョンスやヒチョル。
迎えに来てくれたシウォン。
皆がキュヒョンの気持ちに寄り添おうとしてくれている。
もちろんチャンミンも。

 
「貴方の好きなように選んでいいんですよ。…お供します」
「チャンミナ…」

 
ありがとう。
ぽつりと落ちた言葉はちゃんと届いただろうか。

 
「僕は…まだちゃんと整理がついてなくて…でも全然迷惑だとかそんな風にも思えない。寧ろ嬉しいと思ってます。だから…」
大きく息を吸ったキュヒョンが覚悟を決めた様にシウォンを見詰める。

 
「ここでやっと位置についた状態だから。スタートを切るのは今からでもいいですか?」
 
少し驚いたように目を瞠ったシウォンが次には楽しそうに笑う。
 
「じゃあ、これからキュヒョンに好きになってもらえるように頑張るよ」
 
そこは頑張らなくても充分なんだけど、と思ったことは内緒にしておく。
なんとなくではあるけどジョンスとヒチョルにはバレている気もするし。
ゆったりとキュヒョンの前に歩いて来たシウォンがそこに膝間付くと頬を包むように手を添える。
 
「大丈夫。君の好きなように進んで。それでも泣きたくなるのなら僕が迎えに行くから」
 
そう言って前髪にキスされた。
みっともない。
そう思っても堪えきれずに涙が溢れたのはあの時にもらった言葉そのままだったからだ。
あの少年しか知らないはずの。
ああ、本当にこの人だったのか。
柔らかく抱きしめられて今までに感じたことが無いくらいに安心するのに自分でもどうしたのかと笑える。
身体中で嬉しいと思えるのだから、やっぱりシウォンに頑張ってもらうのは困る。
好きになるのなんてあっという間に違いないからだ。