ソンミンとヒョクチェが揃ったところで資料を広げる。
内容を確認してソンミンは天を仰いだ。
内容を確認してソンミンは天を仰いだ。
「これが本当なら早く手をうたないと、ですね」
「ソンミン。今一応仕事外だから、敬語じゃなくていいよ」
「…話は聞いたことはあったけど、こんな深刻な状況だなんて誰も知らないんじゃないかな?」
「ソンミン。今一応仕事外だから、敬語じゃなくていいよ」
「…話は聞いたことはあったけど、こんな深刻な状況だなんて誰も知らないんじゃないかな?」
ヒョクチェの言葉に視線を向けると「聞きかじっただけだから」と苦笑する。
「多分この人、先代と親しかったと思う」
ソンミンがそう言いながら手に持っていた紙をパンと指で弾いた。
「親父と?」
今、この面子で会社で事を起こせば異変に気付く人間もいるだろうと、とりあえずはここで話をまとめることにした。
父と親しかったなら顔くらいは見覚えがあるかと思ったが添えられている写真の人物は見覚えがない。
寧ろ会社にこんなに貢献している人物だというのに知らない自分にも嫌気がさした。
いや、知ろうとしなかったということか。
全てが上手くいっているようで、全然うまくいっていない。
そんな違和感ばかりが苛立ちと焦りになる。
父と親しかったなら顔くらいは見覚えがあるかと思ったが添えられている写真の人物は見覚えがない。
寧ろ会社にこんなに貢献している人物だというのに知らない自分にも嫌気がさした。
いや、知ろうとしなかったということか。
全てが上手くいっているようで、全然うまくいっていない。
そんな違和感ばかりが苛立ちと焦りになる。
「で?探偵さんは?」
「…居ない」
「居ない?え、仕事終わったから出てったの?」
「多分」
「多分ってなんだよ」
「俺だって知りたいよ。朝起きたらここにこの資料と鍵が置いてあったんだ」
「挨拶なし?」
「このメモだけ」
「…居ない」
「居ない?え、仕事終わったから出てったの?」
「多分」
「多分ってなんだよ」
「俺だって知りたいよ。朝起きたらここにこの資料と鍵が置いてあったんだ」
「挨拶なし?」
「このメモだけ」
置いてあったメモを見せるとヒョクチェは楽しそうに笑う。
「鍵。あったってこと?開いた?何が入ってたんだよ」
黙ったままで箱をヒョクチェの方へ押しやると、それを開けて明らかに残念そうな顔をする。
「なんだよー、これ」
「俺が聞きたい」
「俺が聞きたい」
何かに気づいたようにヒョクチェは小箱を掲げてしばらくじっくりと眺める。
「あ。これ…」
「なんだよ」
「思い出した。シウォナの宝箱だ」
「…は?」
「だからシウォナが子供の頃大切にしてた宝箱。このキャラクター好きだったろ?…っても、覚えてないかぁ」
「…それ、もっと早く思い出せよっ!!」
「知るかよ。自分のものならともかくシウォナのまで覚えてられるかー!!そもそも子供の頃の記憶なんて大概覚えちゃいないだろ!」
「なんだよ」
「思い出した。シウォナの宝箱だ」
「…は?」
「だからシウォナが子供の頃大切にしてた宝箱。このキャラクター好きだったろ?…っても、覚えてないかぁ」
「…それ、もっと早く思い出せよっ!!」
「知るかよ。自分のものならともかくシウォナのまで覚えてられるかー!!そもそも子供の頃の記憶なんて大概覚えちゃいないだろ!」
その言葉はシウォンも口にした。
キュヒョンに聞かれて。
キュヒョンに聞かれて。
事故で子供の頃の記憶がないのだと言った時に記憶がないのは不安かと聞かれた。
『大人になってからなら不安だったかもしれないけれど。でもさすがに7歳くらいの事だから…。普通に記憶がある人間だってそれくらいの歳のことなら大人になればあやふやなものだろ?…不安とは違うけど、たまにね。大切なことを忘れてるような気はするよ』
そうだ。
きっと、これは大切な記憶のはずだ。
きっと、これは大切な記憶のはずだ。
「あぁ、全く。この件も動かなきゃならないのに、キュヒョンの事も探さなきゃ」
顔を上げたソンミンがシウォンに向ける視線に気づいて「何?」尋ねると首を横に振ってふっと笑った。
「探すの?彼を?」
「ああ、鍵を持っていた理由が知りたいし」
「え!? 鍵持ってたの?」
「ああ、鍵を持っていた理由が知りたいし」
「え!? 鍵持ってたの?」
驚いた様子のヒョクチェの前にペンダントを下げた手を差し出すと首を傾げる。
「…催眠術でもかけるのか?」
「…鍵。ここに来た時からキュヒョンが付けてた」
「初日からつけていた事に気づいてた?」
「…鍵。ここに来た時からキュヒョンが付けてた」
「初日からつけていた事に気づいてた?」
今度はソンミンに驚いたように尋ねられて頷く。
「無意識だったんだろうけど、何か有るごとにソレに触ってたから気づかない方がおかしいくらいだ」
「探すのももちろんシウォナの自由だけど。これを片付けないと動けないよ?」
「もちろん。片付けてからじゃないと会えないだろ。せっかくここまで調べてくれたんだから」
「探すのももちろんシウォナの自由だけど。これを片付けないと動けないよ?」
「もちろん。片付けてからじゃないと会えないだろ。せっかくここまで調べてくれたんだから」
満足そうに頷いたソンミンに笑って、資料を広げる。
「さぁ、どう動こうか?」
出来そうな事を具体的に上げていく。
本人に了承を取らないと動けないこともあるけれど、取れ次第動けるように準備をする手はずをたてた。
ここはソンミン以外に適任は居ないはずた
あとは周りに悟られないよう。
ヒョクチェにはその辺りの下調べを任せることにする。
大体のプランが出来上がる頃にはすっかり日も傾き始めていた。
本人に了承を取らないと動けないこともあるけれど、取れ次第動けるように準備をする手はずをたてた。
ここはソンミン以外に適任は居ないはずた
あとは周りに悟られないよう。
ヒョクチェにはその辺りの下調べを任せることにする。
大体のプランが出来上がる頃にはすっかり日も傾き始めていた。
「腹減った…」
力なくテーブルに突っ伏したヒョクチェにもっともだと頷く。
よくよく考えれば朝から何も食べていない。
よくよく考えれば朝から何も食べていない。
「デリバリーでも頼むか」
「だね。もう外で食べる気分でもないし」
「だね。もう外で食べる気分でもないし」
ソンミンがメニューを纏めているホルダーを取りに行こうとした時に呼び鈴が鳴る。
玄関に向かってドアを開けるといつもの穏やかな笑顔のリョウクが居てなんだか日常に引き戻された気分になった。
玄関に向かってドアを開けるといつもの穏やかな笑顔のリョウクが居てなんだか日常に引き戻された気分になった。
「こんばんは、夕食作りにきました」
「え…?今日は日曜だから頼んでないよね」
「はい。シウォンさんからは。でも昨日ギュ…キュヒョンさんの依頼で。ちゃんと雇われましたよ?」
「いや、正直助かるけど…」
「では失礼します」
「え…?今日は日曜だから頼んでないよね」
「はい。シウォンさんからは。でも昨日ギュ…キュヒョンさんの依頼で。ちゃんと雇われましたよ?」
「いや、正直助かるけど…」
「では失礼します」
ペコリと頭を下げてリョウクは中に入るとキッチンに向かう。
キュヒョンは一体どこまで読んでいたんだろうか。
こうなるだろうと予想していたということだ。
リビングに戻るとソンミンとヒョクチェが何事かと問うようにこちらを伺うから、肩を竦めて返事をする。
キュヒョンは一体どこまで読んでいたんだろうか。
こうなるだろうと予想していたということだ。
リビングに戻るとソンミンとヒョクチェが何事かと問うようにこちらを伺うから、肩を竦めて返事をする。
「うちに来てくれてる家政婦のリョウクくん。夕食作りに来たてくれたって」
椅子から立ち上がってヒョクチェが心底嬉しそうに微笑んだ。
「マジ!?助かったー」
「…ほんとに」
「何か食べたいものありますか?」
「…ほんとに」
「何か食べたいものありますか?」
出来るだけご希望に沿えるようにします、と笑ったリョウクにシウォンは一つだけリクエストをすると、彼は目を丸くた。
「えっと、それでいいんですか?」
「うん。あ、二人の意見は聞いてやって、一応」
「僕はシウォナと同じでいいよ」
「うん。あ、二人の意見は聞いてやって、一応」
「僕はシウォナと同じでいいよ」
ソンミンはパソコンに何やら打ち込んで今回の件で必要な手続きなどの資料を集めている様子のままでそう言った。
「俺、玉子サンド食べたいー。がっつり食べたいけどそれどころじゃなさそうだし」
「わかりました。あー…玉子どうしますか?ゆで卵のサラダみたいにします?スクランブルエッグか厚焼きの方がお好みですか?」
「ふわっふわの玉子焼き!」
「わかりました。あー…玉子どうしますか?ゆで卵のサラダみたいにします?スクランブルエッグか厚焼きの方がお好みですか?」
「ふわっふわの玉子焼き!」
にっこりと笑ったリョウクは調理を始める。
その間、こちらの事は気にする様子でもなく頼まれたことだけをきっちり熟す様子はさすがにプロだなと感心させられた。
出来上がった料理をテーブルに並べるとリョウクはエプロンを外す。
その間、こちらの事は気にする様子でもなく頼まれたことだけをきっちり熟す様子はさすがにプロだなと感心させられた。
出来上がった料理をテーブルに並べるとリョウクはエプロンを外す。
「出来ました。暖かいうちにどうぞ」
塩だけのおむすびとスープ。
そして厚焼きの玉子サンド。
トーストされた玉子サンドにかぶりついたヒョクチェはそのまま一瞬固まった。
そして厚焼きの玉子サンド。
トーストされた玉子サンドにかぶりついたヒョクチェはそのまま一瞬固まった。
「うまっ!何これ。ほんとにふわっふわなんだけど」
「…本当においしそうに食べてくださいますね…」
「…本当においしそうに食べてくださいますね…」
ヒョクチェの食べっぷりにリョウクが笑う。
そしてシウォンもおにぎりを口にする。
程よい力加減で握られたご飯粒は口の中でほろりとほぐれる。
確かに美味い。
でも…
そしてシウォンもおにぎりを口にする。
程よい力加減で握られたご飯粒は口の中でほろりとほぐれる。
確かに美味い。
でも…
「…キュヒョンに作り方教えたのリョウクくんなんだよね?」
「え…。あぁ、おにぎりですか?まぁ、ごはん握るだけですけどね。…カタチとか歪でもキュヒョンさんが作った方が美味しかったでしょう?」
「え…。あぁ、おにぎりですか?まぁ、ごはん握るだけですけどね。…カタチとか歪でもキュヒョンさんが作った方が美味しかったでしょう?」
ふふっとリョウクが笑う。
「僕はお仕事ですから食品用の薄いビニール手袋をつけてますし。おにぎりの一番美味しい作り方って炊き立ての火傷しそうな熱いご飯を素手で握るんです。彼はそれをちゃんとやってた。だからちゃんと愛情が入るんですよ。それに…一人より一緒に食べるのも美味しい理由です」
ヒョクチェがおむすびにも手を伸ばして、また「美味い」と笑って。
「なんだ。もうシウォナにも一緒にいるだけで楽しくて、何を食べても一緒だってだけで美味しく思えるような人。いたんじゃないか」
なんて言われて。
そこでようやく感情に名前を付けることができたのだ。
そうか。
そこでようやく感情に名前を付けることができたのだ。
そうか。
俺はキュヒョンの事が好きなんだ。