【ウォンキュ】 Arrivederci 7  | 徒然日記 ~ 愛wonkyu ~ ウォンキュ小説

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SJウォンキュ妄想垂れ流し小説ブログです。 
とはいいつつも83(レラトゥギ)・ヘウン、TVXQミンホも時々やらかしますが、どうぞご贔屓に!

待ち合わせは店の前で午前10時。

5分前に下に降りると、すでにそこに居たシウォンが挨拶する。


「おはよう、キュヒョナ」


「おはよ…。もしかして待ったりとか…」


「してないよ。今着いたところだし」


白いシャツにギャルソンエプロン、ポーラータイ。

殆どそれしか見た記憶がないせいか、今日のシウォンの出で立ちはかなり新鮮だ。

もともとモデルみたいなスタイルをしているのだから、何を着ても似合いそうではあるけれど思わず見惚れた。

デニムパンツに麻のシャツ、ネイビーのジャケットも違和感なく似合っている。


それと同時にこの人の隣に並ぶのはとんでもなく恥ずかしくなった。

さすがに普段よりは頑張ったつもりだけれど。

シウォンはそんなキュヒョンを頭からつま先まで流し見てにっこりと笑った。


「…今日はなんか可愛いコーデだね、キュヒョナ」


「か、わいい?」


狼狽えるこちらに気づく様子もなく、シウォンはなんてことないように再び同じ言葉を口にする。


「うん。可愛い」


マリンボーターのシャツにコットンテーラード。


「今から行く場所にピッタリだよ」


そうして着いた場所にキュヒョンはあんぐりと口を開けてその建物を見上げる。


「えっと…あれ?…シウォンさん今日買い物するんじゃ…」


「そうだよ?」


「だって。ここ…」


水族館だ。


「ここで買うんだよ」



さっぱり分からない。

首をかしげていると、くすくすと笑ったシウォンが入場券を手渡してくれた。


「ついでだから楽しんじゃおう」



入場口から中に入るとすぐに大型水槽があり数頭のイルカが悠々と泳いでいた。

すぐにメインの水槽だなんて、太っ腹な水族館だと思う。

自分たちの居る場所はほの暗いのに水槽の中は射し込む日の光のお蔭で水色の光の世界だ。

平日の昼間のせいか人はそんなに多くはない。

水槽の前に置かれているソファーベンチでのんびりと過ぎる時間を楽しんでいる人もいる。




「俺、水族館なんて小学生以来かも…」


「この水槽の上の方でイルカショーが観られるんだって」


ふわふわとした足取りで近づいた水槽のアクリルパネルに手を触れたキュヒョンの傍を一頭のイルカがすいっと横切る。

同じ軌道を描くように数回。

そしてキュヒョンの前で何かを話すようにこちらに顔を向けて止まると、また水面に向かって泳ぐ。


「キュヒョナが気に入ったのかな」


「水の中から見る人間の世界ってどんななんだろうね」


狭い場所にとじこめられてさえも優雅に自分の世界を泳ぐ彼らから自分はどう見えているのだろう。

同じように水槽の中を見つめるシウォンも青い天然の光に目を細める。


「ねぇ、シウォンさん」


「ん?」


「しばらくここに居ても良い?」


「…いいよ」


気を悪くした様子もなくシウォンは柔らかく微笑んでベンチに腰を下ろした。


「ここ綺麗だね」


「うん。なんか…落ち着く」


「水って癒し効果があるんでしょ?」


「みたいだね」


耳で聞く水の音。

波の音やせせらぎ。

ししおどし。


水を飲むこともリラックス作用があるという。


だったら目で見るのだってリラックス効果はあるだろう。

自然の川の流れや滝、噴水だってその一つに違いない。

そして今目の前のこの大きな水槽は間違いなく癒し効果を発揮している。

会話だってほとんどなくて。

それでも満たされた気分になって。

理由もなく涙が出そうになる。

どれくらいの時間が経ったのかキュヒョンがやっと青い光から視線を外して横に向けると、そこにシウォンの笑顔があった。


「あ。ゴメンなさい。次行く?」


「もう、いいの?」


「うん、ありがとう。満足した」


「そ?じゃあ、行こうか」


「あの…時間とっちゃってごめん」


立ち上がったシウォンが不思議そうにキュヒョンを見る。


「何言ってるの。付き合ってもらってるのはこっちだよ?」


ふふっと笑ってシウォンは腕を掴むと引き上げたキュヒョンの頭をぽふっと撫でる。


「行こうか?」


「うん」


入場時にもらったパンフレットと「順路」と書かれたプレートを頼りに館内を見て回る。

カラフルにライティングされた水槽の中でふわふわと漂うクラゲ。

きらびやかな熱帯魚の水槽。

そして対照的な深海の生き物が展示される暗い水槽。

どれも興味深く眺めるキュヒョンに、同じようにシウォンも楽しんでいる。

ひんやりとした部屋に入るとそこにはペンギンの群れ。

水に飛び込むペンギンの泳ぐスピードの速さに驚いたり。

一段高い場所に微動だにせずに納まっている一頭をみつけてシウォンが笑う。


「あいつ絶対ボスだよな」


「だね。偉そうだし。なんかペンギンって可愛いってイメージだったけど…カッコいいね」


そんな会話をしていると一匹のペンギンが水面に浮かぶように泳いでこちらに愛想を振りまいてくる。


「…前言撤回。可愛いのもいる」


くくっと笑ったシウォンはキュヒョンの背中をたたいた。


「さっきのイルカといい、ペンギンといい、キュヒョナはここの子達に好かれてるみたいだ」


「俺じゃないと思うけど…。シウォンさんなんじゃない?天然たらしらしいから、この子達にも通じてるのかもー」


「それ、止めてよ。まったく…ヒョクが変なこと言うから…」


ふーっとため息を吐くシウォンにキュヒョンが笑う。

自覚がないから天然。

なるほど。

ここに来るまでの女性の視線にも気づいてなかったのか。


「でもさ。ここの子たちは絶対キュヒョナが好きなんだって。ほら、ちょっとそっち歩いてみて」


シウォンに言われて水槽に沿って歩く。

そうすると目の前の水面にふわふわしていたペンギンも着いてくるように泳いだ。

足を止めるとその場に止まって。

シウォンの元に戻ると同じように泳いでくる。





「ね?」


「なに、こいつ。めちゃくちゃ可愛い。連れて帰りたい!」


シウォンが手で口元を隠して俯いたのを見て、キュヒョンは慌てた。

何か変なことでも言ったのだろうか?


「…可愛い…」


ぼそりと呟くシウォンにほっと息を吐く。


「ね。可愛いよね」


「…だね」


ふわふわと浮かぶペンギンは相変わらず。

顔を突き合わせるようにアクリルパネルにくっついたままのキュヒョンに飽きることなく付き合って。


「キュヒョナ。もうすぐイルカショー始まる時間だけど、どうする?もう少しここに居る?」


「あ。行く。じゃあなー。また来るよ」


指先でトントンとパネルを叩いて別れを告げたキュヒョンがシウォンに笑いかけた。


「ごめん、また待たせたよね」


「全然。こっちも堪能したよ」


本当に誤魔化す様子もなくそんなことを言うところがまた人を安心させるんだろう。

少しの罪悪感もすぐに癒される。


「えっと…あっちだね」


手元のパンフレットを見てシウォンが指さす方向に向かう。

エスカレーターで上がった先は屋上になるのだろうそこにプールがあった。

屋外のプールの周りにぐるりと観客席が設けられている。

天気の良さも手伝って、吹いている風も心地いい。

メインのイルカショーの前にはアザラシやアシカのショーもあり、1時間ほどのショーもあっという間に終わった。


出口付近には土産物の広い売店があり、シウォンはそこで迷わずにぬいぐるみが置いてある棚に足を向ける。


「ごめん。買い物」


「ここ…?」


「そう。姪がね。イルカが大好きなんだ。誕生日にプレゼントする約束してたんだけど、普通のおもちゃ屋ってキャラクターものとかは置いてあってもなかなかイルカとかなくてさ。ここなら確実でしょ?」


デフォルメされた海の生き物たちのぬいぐるみやストラップ。

イラストがプリントされたクッキー。

タオルなどの小物がずらりと並んでいる。

それはもう納得せざるを得ない状態だ。

シウォンがいくつかのぬいぐるみを抱えてレジに並ぶ姿もなんとなく可愛くてキュヒョンは小さく笑った。


レジから戻ってきたシウォンの両手には先程のぬいぐるみはなくなっていて、驚いて瞬きするとシウォンが困ったように微笑む。


「あぁ。送ってもらったんだよ。さすがに抱えて歩くのは…」


「えぇー。可愛いのに」


「バカにしてるな?キュヒョナだったら似合うだろうけど…」


「あ。バカにしてるな?」


「本心だよ」


「じゃあ、俺も本心だよ」


「じゃあって何!?」


笑いながら腕の時計で時間を確かめたシウォンはそのまま文字盤をキュヒョンに向ける。

15:30

「どうしよう。昼飯には遅いし、夕食には早いし…お茶でもする?」


「ちょっとお腹減ったしね」


「この辺りだったら…」


考えるそぶりをみせたシウォンが軽く頷いた。


「あそこなら、キュヒョナも好きかも。一つ先の駅の近くに落ち着ける場所があるんだ。そこでどうかな?」


もともとあまり外に出ないので、シウォンが決めてくれる方がありがたい。

こくりと頷くとシウォンが歩き出す。

少し歩いて振り返ったシウォンは横にキュヒョンが並ぶのが当たり前だとでもいうように手招きした。


「行くよー」


「うん」



少し走って横に並ぶ。

シウォンが嬉しそうに笑う。

だからキュヒョンも自然と笑顔になった。