昼頃
美結と日和は、
ショッピングモールを歩いていた。
美結「お揃いのストラップ買おうよ!」
日和「うん!買う~♡」
雑貨コーナーに入ると
キュートな小物が置いてある。
美結「どれにしよ~♩」
日和「…あっ、これ可愛い」
美結「おぉ!迷うなぁ~」
数分後…
美結「じゃあこれにしようか♥️」
日和「うん😊」
半分のハート型のストラップ二つを
レジへ持って行く美結
日和「えっと~…何円だっけ」
美結「俺が払うよ」
日和「え!いや、僕の分は僕が払うよ」
美結「そこは彼女らしく甘えろよ」
日和「いやいや、僕の方が年上ですし…」
美結「これ二つお願いします」
店員「袋はお持ちですか?」
美結「はい」
日和「あ…///」
ストラップを買った美結は日和に渡した。
日和「みーたん…ありがとう~♡」
美結「どうってことねーよ。」
日和「///」
美結「どこに着けよーかな~♩」
日和「僕はリュックに着けようかな」
美結「俺もリュックに着ける!」
ストラップのペア同士をかさねると
ハート型になる仕組みだった。
美結「…///かさなった」
日和「本当だ!ハート♡」

その後、美結と日和は商品の指輪を見ていた。
美結「ひよちゃんと着けたいな~…」
日和「綺麗だね😊」
日和「……っ」
日和「…」(俯く)
美結「あっ、俺ひよちゃんと付き合った頃
   指輪作ったんだった!」
美結「今度、持ってくるね♥️」
日和「……」
美結「…ん?どうした?」
日和「……」
日和は俯き動かない。
美結「大丈夫…?」
日和「……はっ、ごめん」
美結「体調悪い?」
日和「ううん、大丈夫だよ」
日和「ちょっとボーッとなっちゃって」
美結「なら良いけど!」
美結「あっち見てみよ♩」
日和「うん😊」
美結と日和はこの時思いもしなかった。
この後、まさかあんなことが起こるなんて。

美結「くまのクッションだ!可愛い~😍」
日和「くまさんだ~😊」
美結「触り心地気持ち良い♩」
日和「……うっ…」
突然、日和の胸が締めつけられるように痛む。
美結「…日和?大丈夫?!」
日和「ぅ…うん、何もないよ?」
美結「俺気にしすぎか?w」
美結がクッションを眺めたその時
日和「……」
日和「……っ」
日和の目が鋭く変わる。
日和「………」
(ビリリッ)
無言で商品の包丁を取り出して
美結の背後へ近付く
その姿は取り憑かれているようだった。
美結「持ち帰りたいけど
   俺にはひよちゃんがいるから♥️」
日和「……」(バッ)
そして日和は包丁を振りあげたその時
美結「ねー、ひよちゃ…」(振り向く)
美結「…えっ」
日和「っ…」(サッ…)
日和は意識が戻って思わず後退りした。
美結「……」
日和「はっ…はぁっ……」
日和「ち、違うの…みーたん……っ」
日和「ぁ…あっあぁ……」
(バタッ)
日和はショックでその場に倒れた。
美結「日和!」
美結「どうしよう…!」
青ざめる美結は助けを求めようと周りを見る
人々はこっちを見ながら通り過ぎていく
するとそこへ女性が心配して近付いてきた。
客「大丈夫ですか…?」
美結「あっあの…!いきなり倒れちゃって」
美結「救急車…」
そして店の人も駆けつけてきて
日和は救急車に運ばれた。

日和「………」
日和「……っ…」
病院のベッドで日和はゆっくり目を開けると
手を握ってくれている美結の姿があった。
美結「…ひよちゃん?」
日和「ん…みー…たん…?」
美結「良かった…」
日和「僕…倒れたの…?」
美結「うん…俺も何が起きたのか分からない」
日和「ごめんね…心配掛けて」
美結「ひよちゃん、疲れてるんじゃ?」
美結「包丁持ってたし…」
日和「気付いたら持ってた。
   僕も何が何だか分からない」
美結「…あんなひよちゃん初めて見たよ」
日和「……ごめんね」
美結「ひよちゃんじゃないみたいだった」
美結「取り憑かれてるようだった」
日和「……」
美結「まぁ…考えすぎか!」
美結「疲れて不安定だったんだよ」
日和「…あのね?包丁持ってた前…」
美結「うん?」
日和「……ううん、何でもない」
美結「え?何?言ってよ!」
日和「…バイトのこと考えてた」
美結「そっか…もうゆっくり休みな?」
日和「みーたん…ありがとう😊」
美結「うん😊…あ、ちょっと
   お手洗いに行って来るから
   すぐ戻るね!」
日和「うん、行ってらっしゃい」
美結が病室を出て、日和は一人になった。
日和「…」
日和「……」
ぐったりと目を閉じたその時
日和「っ…!」
突然、胸が締めつけられる。
あの時の痛みより強くなっていた。
日和「んぐぅっ…はぁ…!」(グッ!)
日和「あっ…ぁ………」
苦しくて声すら出ない。
日和「ぅ……!」
日和「んぁっ……!」(バッ)
(ガタッ)
手があたってナースコールが落ちる。
日和「ぁ…ぁあっ……た…す…け……て……」
日和「はぁ…はぁ…はぁ…」
日和「あぁっ…!」
するとそこへ病室の扉が開いて
美結が入ってきた。
美結「……ひよちゃん?!」
胸の痛みが増して涙があふれる日和
日和「はぁっ…はぁあ…!あぁ…!」
美結「日和!大丈夫か?!」
日和「うっぁっあぁ!」
美結「ナースコール…!」
しかしナースコールを探すがみあたらない。
美結「あれ?!」
日和「………っ」
その時、ピタリと日和の動きが止まった。
美結「…!」
美結「……ひよちゃん…?」
日和「………」
美結「ね…ひよちゃん?ひよちゃん!」
日和「………」
美結「そんな…っ!」
美結はナース達を呼びにダッシュで
病室を出ようとすると
日和「無駄だよ」
美結「…?」
振り向くと、日和がベッドに座っていた。
日和「医者に助けを求めても俺を救えない」
美結「え…?」
別人のような日和の姿に固まる美結。
日和「無念だな(笑)」
美結「……ひ、ひよちゃん…?」
日和「……」
美結「……」
日和「……^^」
日和は微笑むと両手を自分の首に近付け
(ギュッ…)
強く絞めた。
美結「っ…!」
日和「……」(ギュゥゥゥ…)
美結「やめろ!」(バッ!)
美結は日和の両手を離させようとするが力強い
日和「……」(ギュゥゥゥ…!)
美結「なんで…!ねえ!」(グッ!)
日和「……うっ!」
苦しみのあまりに意識を取り戻した日和
しかし首絞めを止めない。
日和「あ…ぁあっ……ぁ………」(ギュゥゥゥゥ…!)
美結「日和!何やってんだ!早く離せ!!」
日和「か、身体が勝手に…!ぅ…ぁあっ…」
美結「どうなってるの!!」
美結は涙目で日和の両手を
動かそうとしていると
日和「はぁっ…!」(バッ!)
日和の身体の力が抜け、首から両手が離れた。
日和「はぁ…はぁ……はぁ…はぁ………」
美結「ひよちゃん!」
日和「………はぁ……」(バタッ)
うつろでベッドに倒れた日和
そして眠りについた。

日和「………」
美結「………」
日和「………っ」(目を開ける)
美結「…ひよちゃん……」
日和「……みーたん……」
美結「…あれは…何だったの…」
日和「……僕も分からない…」
美結「無意識に身体が動いてたの…?」
日和「うん…離そうとしても離れなくて…」
美結「いつからそんなことが起きてるの?」
日和「…今日みーたんとデートの時から」
美結「っ…もしかして
   包丁を持ってたあの時も?」
日和「うん」
美結「前兆とかは?」
日和「…えーと……」
日和「確か胸が締めつけられて」
美結「…ひよちゃん、どこか悪くなったら
   すぐ俺に言わなきゃダメだよ?」
日和「うん…分かった」
美結「何か薬とか飲んだ?」
日和「病院のお薬しか毎日飲んでないよ」
美結「…んー、でも考えられるのは
   人格障害…ぐらいかな」
美結「でもおかしいな。
   元のひよちゃんに戻った時
   もう一つの人格は消えていなかった」
美結「身体が操られるとか…そんなのある?」
日和「…うーん……」
美結「しかも「医者に助けを求めても
   俺を救えない」って言ってたんだよ」
日和「マジで?全然記憶ない」
美結「声も性格も別人だった…」
日和「……」
美結「テレビで悪魔払いっていうのは
   見たことあるけど日本でもあるのか?」
美結「とにかくまたあんなことが起きたら
   命の危険だよ。家族にも話して。」
日和「…僕、どうなるのかな」
日和「いつか自分を殺すんだろうな」
美結「んなことさせねえよ!」
美結「絶対俺が守る」(ギュッ)
美結は日和を強く抱き締めた。
日和「ありがとう…みーたん…」

夕方になって病院を出た美結と日和
美結「悪魔払いって調べたけど
   やっぱり日本では聞かないみたいだね」
美結「脳とメンタルの問題なのかなー…」
日和「こんな症状、医者に話しても
   信じてもらえないだろうし」
美結「…実は、俺の親戚にも
   取り憑いてた人いたらしくてさ」
日和「そうなの?」
美結「悪魔じゃないんだけど
   肩がおもいのが治らなくて
   お祓いに行ったら
   狐が取り憑いてるって。
   祖母の話によると親戚の人は
   お祓いしてる時、
   別人の声で啜り泣いてたらしい」 
日和「僕もやっぱり取り憑かれてるのかな」
美結「悪魔払いは、悪魔をおびき寄せて
   話ができるみたい」
美結「…確かめてみる?
   もし悪魔が取り憑いているなら」
日和「…うん、悪魔が取り憑いてたら
   お祓いできるよね」
美結「うん、やってみよう?」
日和「でも日本に悪魔払いなんてあるかな?」
美結「…うーん、霊媒師探してみる?」
日和「探してみる」

そして一時間後…
マップで調べて見つけた
近場の霊媒師がいる寺へ着いた二人
美結「…ん?合ってるのかな?」
女性が入口で花の手入れをしている
美結「あの人に話しかけてみよう」
日和「うん」
美結「すみません」
お寺の女性「…」
美結「…あれ?気付いてない?」
美結「すみません」
お寺の女性「…はい…?」
美結「あっ、えっとー…
   霊媒師の方を探してたら
   このお寺にたどり着いて…」
お寺の女性「お祓いですか?」
美結「はい、そうです」
お寺の女性「では、こちらへ」
美結「行こう😊」
日和「うん😊」

お寺の古民家に案内されて和室に入ると
仏壇前に数珠を着けた女性が座っている。
お寺の女性「お願いします」
どうやらその女性が霊媒師のようだ。
霊媒師「…」
美結「…」
霊媒師「大体お祓いに来られた方は
    気を感じるんだけど」
霊媒師「あなた達からは何も感じないわね…」
美結「あっ、あたしは違います。この子です」
霊媒師「あなたがお祓いに?」
日和「はい」
霊媒師「どんな現象が起きるの?」
日和「…えっと、」
日和は霊媒師に自分の身に起こったことを
全て話した。
霊媒師「……なるほど、日本では
    悪魔の話は聞かないわね」
霊媒師「考えられるなら悪霊ね」
霊媒師「やってみましょう」
日和「…はい」
美結「……」
霊媒師「身体の力を抜いて」
そして霊媒師は座布団に座ってお経を始めた。
日和は目を閉じる。

数分後…
日和に異変は起こらない。
美結「…」

数十分後…
日和「……」
美結「(何も起こらない…?)」
霊媒師「気を感じないわね…」
結局、日和への霊気は感じ取れなかった。

海辺を歩く美結と日和
美結「…やっぱり取り憑いてないのかな」
日和「うーん…僕の精神の問題だと思う」
美結「でもどっちにしろ危険だから
   病院で話してみ?」
日和「……」
日和「僕、海に沈もうかな」
美結「は?…何言ってんだよ」
日和「今後、何やらかすか分からないし
   迷惑かけるしみーたんとか他の人を
   傷つけたくないから」
美結「俺置いて死ぬ気?絶対許さないから」
日和「…でも、」
美結「でもじゃない。
   どんな嵐も二人で乗り越えてきたよね」
日和「…ぐすっ……」
美結は泣く日和を抱き締めた。
美結「よしよし…大丈夫…絶対大丈夫。
   神様は見ているよ」
日和「みーたん……」
美結「見て、あの夕日。綺麗だね😊」
日和「…うん、綺麗だね」
美結「小さな幸せでもすぐ傍にあるんだよ」
日和「えへ…😊」
美結「😊」
二人は手を繋いで夕焼け空を眺めた。

あれから日和の現象は未だに原因不明で
恐怖と不安の毎日なのであった。