タレント揃いのライト級!

2020年も盛り上がること間違いなし

 

数多くのボクシング識者の間で、

近年最高の盛り上がりを見せている

と言われている2019年のボクシング界。


長年“キング”の座を欲しいままにしていた問答無用の世界的スーパースター、フロイド・メイウェザーが2015年に引退して以降(2017年のマクレガー戦はプロボクサーとしての復帰ではなく、“300億円の小遣い”を稼ぐために行った“UFCファイターを相手取った公開ボクシングレッスン”と認識している)、“業界の顔”とも呼べるスターボクサーに恵まれない時代が続いていた。


未だにメイウェザーの影を払拭してくれるようなスーパースターは現れていないが、その可能性を秘めた選手たちがちらほらと“芽”を見せ始めている。



今年、その中でも特に盛り上がりを見せているのが、


ライト級”である。


135パウンド(約61kg)を上限に戦うライト級は、世界的に見ても非常に層の厚い階級だ。

今回はそのライト級にスポットを当てて注目の選手6人をピックアップしてみたいと思う。




ワシル・ロマチェンコ
15戦14勝10KO1敗
WBA, WBC, WBO世界ライト級王者


1人目は、言わずもがな、PFPランキング1位常連のロマチェンコ。

 


オリンピックを二連覇したアマチュアボクシング時代には“397戦396勝1敗”という理解不能レベルの戦績を残し、その技術は史上最高とも称されるウクライナ出身の天才ボクサーだ。

プロ戦績を見ると1度負けていることが分かると思うが、この“1敗”、プロ転向後わずか


“2戦目”


で世界タイトルに挑戦した試合での敗戦である。

その上、相手王者のオルランド・サリドは体重超過(恐らく普通に戦っては勝てないと踏んだ上で故意的に)をしていた。

 

さらにサリドは試合中、反則すれすれの頭突き、ホールドを繰り返しプロ特有の“ダーティーな泥仕合”にロマチェンコを引きずり込むことで、かろうじて2-1の判定で勝利を絡め取った、と言った内容だ。


とは言え、負けは負け。プロ転向直後に辛酸を嘗めさせられたロマチェンコだったが、次戦ではゲイリー・ラッセル・ジュニアを相手に、プロ3戦目で世界タイトルを勝ち取ることに成功。

その後、敗戦を喫したサリドに対し再戦を申し込むが、頑なに勝ち逃げに徹したサリド陣営(スマートな選択ではあるが…)により再戦は叶わずじまい、といった次第である。


このような背景を知っている大方のボクシングファンからは、この“敗戦”はあまり気に止められていない。


世界王者奪取後は、ローマン・マルチネス、ニコラス・ウォータース、ジェイソン・ソーサ、ギレルモ・リゴンドー、ホルヘ・リナレス、ホセ・ペドラザ、アンソニー・クローラ、ルーク・キャンベルといった世界王者クラスを相手に、常人の域を超えたステップワークとパンチの正確性により圧勝を重ねる姿は“精密機械”と称され、その強さは過去に類を見ない次元にまで達しつつある。


「ライト級での全団体統一が目標」と公言しているロマチェンコ。いまや唯一持っていないタイトルはIBFのみとなっている。2020年中には全4本のベルトを巻くロマチェンコの姿を見られるかもしれない。




デヴィン·ヘイニー
24戦全勝15KO


続いてはアメリカの新星デヴィン・ヘイニーだ。

 


つい数日前に21歳になったばかりだが、その実力は折り紙つき。16歳という若さでプロに転向していることもあり、すでに20戦以上のキャリアを持つ。

正確性の高い超高速ジャブや、ショルダーブロックを駆使したディフェンス技術などの類似点から、“メイウェザーの後継者”との呼び声も高い。

今年の9月に行われたザウル・アブドゥラエフとの試合は圧巻の一言。無敗同士の対決ということもあり注目されていたが、蓋を開けてみれば試合は一方的展開。5回を待たずして相手陣営が棄権を申し入れてくるといった始末である。

この試合を機に、「ロマチェンコに勝てるとすればヘイニーしかいない」と言う声も多く聞こえ始め、本人もロマチェンコに対し対戦を求める発言を繰り返している。

しかしIBFのベルト奪取以外に興味を示していない絶対王者ロマチェンコにとって、メリットよりも敗戦リスクが高く、まだ世界的な知名度も抜群とは言えないヘイニーとの対戦はあまり魅力的とは言えないようだ。




リチャード·コミー
31戦29勝26KO2敗
IBF世界ライト級王者


ロマチェンコが狙っているIBFのタイトルを持つ男こそガーナ出身のリチャード・コミーである。

 


今年の4月頃には一時ロマチェンコとの対戦が噂されたが、コミーの怪我により流れてしまった経緯がある。

KO率90%近くを誇る戦績を見れば分かるように、その“パンチ力”は階級最強クラスに間違いない。特に、どの距離からもカウンターで合わせてくる軌道の読みづらい左フックは特筆すべきものがある。ちなみに、プロキャリアにおける二つの敗戦は、どちらも世界王者クラスを相手に非常に競った試合において喫したものだ。

12月には次回の記事にて紹介するティオフィモ·ロペスとの試合が控えているが、その試合の勝者が“全4タイトル”をかけて2020年にロマチェンコと戦うことが噂される。




~その2へ続く