今年(2019年)と来年(2020年)にかけて改正相続法が次々と施行されますね。

 

実務で相談を受けていると,どの項目についていつから新法が施行されるのか

という経過措置があやふやだと,実のある相談ができません。

 

しかし,今般のように改正条文が多いと

相談中にそれを手早く調べるのがなかなか困難だったりします。

 

そこで,実務家の皆さんの時短のために

今般の改正相続法の施行日と経過措置についての表をまとめてみました。

 

使い方としては,実務で相談を受けたときにこのページに来て,

条文番号などで検索してもらえれば,経過措置をすぐ探せるので

相談内容に集中できるかと思います。

万一間違いなどありましたら,ご指摘ください。直しますので。

 

ところで,附則の最後に

(政令への委任) 
第三十一条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。 

とあるのですが,検索してもこの政令が出てきません。

定めてないのかな?たまにそういうケースがありますが・・・

もし,ご存知の方がいらっしゃったら,教えてください。

 

次は改正債権法か・・・ゲッソリ

それではまた!

 

2019/10/3追記

なお,法務局における自筆証書遺言の保管制度は

2020.7.10が施行日です。

検認が不要になるのが超嬉しい😆

(法務省HP)

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

 

平成30年7月13日法律第72号 附則

 

条文

内容

施行日

経過措置

通   則

 

 

 

 

 

 

 

第二条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に開始した相続については、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。

899条の2

 

 

 

 

 

共同相続における権利の承継の対抗要件

 

 

 

 

2019.7.1

 

 

 

 

 

第三条 第一条の規定による改正後の民法(以下「新民法」という。)第八百九十九条の二の規定は、施行日前に開始した相続に関し遺産の分割による債権の承継がされた場合において、施行日以後にその承継の通知がされるときにも、適用する。

-相続債権の承継通知以外の899条の2の規定の適用については,通則どおり,施行日前に開始した相続については従前の例によることになる

902条の2

 

 

相続分の指定がある場合の相続債権者の権利行使

2019.7.1

 

 

特別の定めなし→施行日前に開始した相続については従前の例による

 

903条4項

 

 

 

 

 

婚姻期間20年以上の配偶者への居住用建物・敷地の遺贈・贈与の場合の持戻し免除の意思表示の推定

2019.7.1

 

 

 

 

 

第四条 新民法第九百三条第四項の規定は、施行日前にされた遺贈又は贈与については、適用しない。

 

 

 

909条の2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遺産分割前における預貯金債権の単独行使

 

 

 

 

 

 

 

 

2019.7.1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第五条 新民法第九百九条の二の規定は、施行日前に開始した相続に関し、施行日以後に預貯金債権が行使されるときにも、適用する。

2 施行日から附則第一条第三号に定める日の前日までの間における新民法第九百九条の二の規定の適用については、同条中「預貯金債権のうち」とあるのは、「預貯金債権(預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権をいう。以下同じ。)のうち」とする。

906条の2

 

 

 

 

遺産分割前に遺産が処分された場合における遺産分割の対象となる遺産の範囲

2019.7.1

 

 

 

 

特別の定めなし→施行日前に開始した相続については従前の例による

 

 

 

968条

2項3項

 

自筆証書遺言の物件目録の自書の緩和

 

 

2019.1.13

 

 

 

第六条 附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日前にされた自筆証書遺言については、新民法第九百六十八条第二項及び第三項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

998条

 

 

 

 

遺贈義務者の引渡義務

 

 

 

2020.4.1

 

 

 

 

第七条 附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日(以下「第三号施行日」という。)前にされた遺贈に係る遺贈義務者の引渡義務については、新民法第九百九十八条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

旧1000条

 

 

 

 

第三者の権利の目的である財産の遺贈の規定の削除

 

 

2020.4.1

 

 

 

 

第七条

2 第一条の規定による改正前の民法第千条の規定は、第三号施行日前にされた第三者の権利の目的である財産の遺贈については、なおその効力を有する。

1007条2項

1012条

 

遺言執行者の通知義務

遺言執行者の権利義務

2019.7.1

 

 

第八条 新民法第千七条第二項及び第千十二条の規定は、施行日前に開始した相続に関し、施行日以後に遺言執行者となる者にも、適用する。

1013条2項

 

 

 

遺言執行の妨害行為の効果-絶対的無効→善意の第三者保護へ

2019.7.1

 

 

 

特別の定めなし→施行日前に開始した相続については従前の例による

 

 

1014条

2項3項4項

遺言執行者の権利義務

 

2019.7.1

 

 

 

 

第八条

2 新民法第千十四条第二項から第四項までの規定は、施行日前にされた特定の財産に関する遺言に係る遺言執行者によるその執行については、適用しない。

(注-読みにくいですが,施行日前に作成された遺言書には適用されないということです

1015条

 

 

 

遺言執行者の行為の効果-「代理人とみなす」→「直接にその効力を生ずる」

2019.7.1

 

 

 

特別の定めなし→施行日前に開始した相続については従前の例による

 

 

1016条

 

 

 

遺言執行者の復任権

 

 

2019.7.1

 

 

 

第八条

3 施行日前にされた遺言に係る遺言執行者の復任権については、新民法第千十六条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

1025条

ただし書

 

 

撤回された遺言の効力-錯誤の追加

 

 

2020.4.1

 

 

 

第九条 第三号施行日前に撤回された遺言の効力については、新民法第千二十五条ただし書の規定にかかわらず、なお従前の例による。

1028条

1036条

 

 

 

配偶者居住権

 

 

 

 

 

 

 

2020.4.1

 

 

 

 

 

 

 

第十条 第二条の規定による改正後の民法(次項において「第四号新民法」という。)第千二十八条から第千四十一条までの規定は、次項に定めるものを除き、附則第一条第四号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「第四号施行日」という。)以後に開始した相続について適用し、第四号施行日前に開始した相続については、なお従前の例による。

2 第四号新民法第千二十八条から第千三十六条までの規定は、第四号施行日前にされた遺贈については、適用しない。

1037条

1041条

配偶者短期居住権

 

 

 

2020.4.1

 

 

 

1044条3項

 

遺留分侵害額請求の対象となる相続人に対する贈与

2019.7.1

 

 

特別の定めなし→施行日前に開始した相続については従前の例による

 

1046条1項

 

 

遺留分侵害額請求-金銭の支払請求権への変更

2019.7.1

 

 

特別の定めなし→施行日前に開始した相続については従前の例による

 

1047条

 

 

遺留分侵害額請求における受遺者又は受贈者の負担額

2019.7.1

 

 

特別の定めなし→施行日前に開始した相続については従前の例による

 

1050条

 

特別寄与料制度

 

2019.7.1

 

特別の定めなし→施行日前に開始した相続については従前の例による