平成28.9.1施行改正対応済
(のはずなんですが,ご自身で現行条文にもあたってくださいね)
登記や届出などの実務で使いそうな条文をピックアップして整理するために
私がまとめたものをずらずらずらとコピペしております。
くれぐれも頭から全部読もうと思わないでください。
調べたい用語を検索することをおススメします。
なお,社団のみで財団は含みませんのでご注意を。
なので評議員や評議員会はありません。
(私が顧問しているのが社団だけなもので)
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医療法人(社団のみ)
組織法:医療法
登記法:組合等登記令,各種法人等登記規則
1 平成28.9.1施行改正
(1) 法務省通知・通達
平成28.9.1民商132通知
平成29.3.7民商36通知
(2) 経過措置
ア 役員の選任に関する経過措置
法46条の5第2項及び第3項の規定(役員が社員総会又は評議員会の決議で選任される)は,施行日以後に行われる医療法人の役員の選任について適用するとされた(改正法附則第2条)。
したがって,施行日前に理事長が理事に選任された場合には,前記(1)イの書面として,理事の選任機関を証するための定款又は寄附行為をも添付しなければならない。
イ 役員の任期に関する経過措置
施行日において現に医療法人の役員である者の任期については,なお従前の例によるとされた(改正法附則第3条)。
役員の任期の規定は特に変更がなかった(2年を超えることができない。ただし,再任を妨げない)ので,この経過措置が具体的に何を意味するのかはよくわからない。→権利義務承継規定(法46条の5の3)の新設があったので,この点のことかも。
2 登記事項(組合等登記令2,別表1)
① 目的及び業務
② 名称
③ 事務所の所在場所
④ 代表権を有する者の氏名,住所
⑤ 存続期間又は解散の事由を定めたときは,その期間又は事由
⑥ 資産の総額
※①の中に開設する診療所も登記する点が他の法人との相違点
3 過料
(1) 登記懈怠
この法律に基づく政令の規定による登記をすることを怠つたときは,20万円以下の過料に処する(法76)。
(2) 選任懈怠(H28.6現在)
過料対象となっていない。「理事又は監事のうち、その定数の五分の一を超える者が欠けたときは、一月以内に補充しなければならない」(法48の2)とあるが,過料の条文にはあがっていない(法75の2,75の3,76,77参照)。
4 名 称(法40)
医療法人でない者は、その名称中に、医療法人という文字を用いてはならない。
5 役 員
(1) 員 数(改正法46の5Ⅰ)
理事3人以上,監事1人以上を置かなければならない。
ただし、理事について、都道府県知事の認可を受けた場合は、一人又は二人の理事を置けば足りる。
(2) 理事長
医療法人の理事のうち一人は、理事長とし、定款又は寄附行為の定めるところにより、(改正法により削除:理事会の職務と法定)医師又は歯科医師である理事のうちから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる(改正法46の6Ⅰ)。
もっとも,都道府県知事の認可を受けて一人の理事を置く医療法人にあつては、この章の規定の適用については、当該理事を理事長とみなす。
理事長の選出および解職は,理事会の職務とされている(新設・改正法46の7Ⅰ)。
なお,理事長の変更登記には,医師免許証の写しの提出が必要であるが,縮小してA4サイズにして構わない。裏面に原本に相違ない旨を記載すればよい(H28.6横浜地方法務局回答)。
(3) 任 期
ア 条 文
改正第四十六条の五 9 役員の任期は、二年を超えることはできない。ただし、再任を妨げない。 |
イ 権利義務規定(新設)
改正第四十六条の五の三 この法律または定款もしくは寄附行為で定めた役員の員数が欠けた場合には,任期の満了又は辞任により退任した役員は,新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで,なお役員としての権利義務を有する。 2 前項に規定する場合において,医療法人の業務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは,都道府県知事は,利害関係人の請求により又は職権で,一時役員の職務を行うべき者を選任しなければならない。 |
(4) 欠員補充(旧48条の2を移記)
改正第四十六条の五の三 3 理事又は監事のうち,その定数の五分の一を超える者が欠けたときは,一月以内に補充しなければならない。 |
(5) 選任方法(改正法により新設)
社団たる医療法人の役員は,社員総会の決議によって選任する(改正法46の5Ⅱ)。
財団たる社団たる医療法人の役員は,社員総会の決議によって選任する(改正法46の5Ⅲ)。
(6) 欠格事由・兼職禁止
ア 役員の欠格事由(法46の5→46の4Ⅱ)
①法人
②成年被後見人又は被保佐人
③この法律、医師法、歯科医師法その他医事に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
④前号に該当する者を除くほか、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
イ 監事の兼職禁止(法46の5Ⅷ)
監事は、当該医療法人の理事又は職員を兼ねてはならない。
(7) 法人と役員との関係
医療法人と役員との関係は,委任に関する規定に従う(改正法46の5Ⅳ)。
(8) 理事の利益相反行為(改正法46の6の4→一般社団財団法84)
ア 総論
理事は,次に掲げる場合には,理事会(「社員総会」を読みかえ)において,当該取引につき重要な事実を開示し,その承認を受けなければならない。
一 理事が自己又は第三者のために医療法人の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二 理事が自己又は第三者のために医療法人と取引をしようとするとき。
三 一般社団法人が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において医療法人と当該理事との利益が相反する取引をしようとするとき。
※なお,理事会議事録には,出席した理事及び監事が記名押印しなければならない(医療法46の7の2Ⅰにおいて読み替えて準用される一般社団財団法人法95Ⅲ)。
イ 不動産登記申請で添付する理事会議事録に記名押印する出席した理事及び監事の証明方法
役員に関する事項として登記簿に登記されるのは理事長のみなので,理事会議事録に記名押印する「出席した理事及び監事」をどう証明するかが問題となる。
この点,「司法書士内藤卓のLEAGALBLOG」(2016/8/17)には,「おそらくは,「出席した理事及び監事」を選任した際の社員総会議事録…を添付することになるのであろう。就任後に辞任等で退任していることもあり得るので,「当法人において,現に在任している理事及び監事は,次のとおりである。」旨の理事長名の証明書も添付することになろうか。」とある。
また同ブログ(2017/2/2)においては,徳島県では,県知事が証明書を発行してくれるとの指摘がある。
徳島県HP
http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2012082400959/
(9) 一般社団・財団法人法の準用
次の条文を準用している(改正法46の6の4)。
① 78条(代表者の行為についての損害賠償)
② 80条(理事の職務を代行する者の権限)
③ 82条(表見代表理事)
④ 83条(忠実義務)
⑤ 84条(競業及び利益相反取引の制限)
⑥ 88条1項(社員による理事の行為の差止め)
⑦ 89条(理事の報酬等)
6 業務執行の決定・代表
(1) 業務執行の決定(法46の7)
旧法では理事の過半数で決するとされていたが,改正法では,業務執行の決定は理事会の職務とされた。
(2) 代表権
理事長は,医療法人を代表し,医療法人の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する(改正法46の6Ⅰ)。
前項の権限に加えた制限は,善意の第三者に対抗することができない(新設・改正法46の6Ⅱ)。
7 社員総会
(1) 定時社員総会・臨時総会
社団たる医療法人の理事長は,少なくとも毎年一回,定時社員総会を開かなければならない(法48の3Ⅱ)。
理事長は,必要があると認めるときは,いつでも臨時社員総会を招集することができる(法48の3Ⅲ)。
(2) 招 集
社団たる医療法人の理事長は,少なくとも毎年一回,定時社員総会を開かなければならない(法48の3Ⅱ)。
理事長は,必要があると認めるときは,いつでも臨時社員総会を招集することができる(法48の3Ⅲ)。
社員総会の招集の通知は,その社員総会の日より少なくとも五日前に,その会議の目的である事項を示し,定款で定めた方法に従つてしなければならない(法48の3Ⅵ)。
(3) 議長
議長は,社員総会において選任する(法48の3Ⅳ)。
議長は,社員として議決に加わることができない(法48の3XI)。
(4) 議決権
社員は,各一個の議決権を有する(法48の4Ⅰ)。
社員総会に出席しない社員は,書面で,又は代理人によつて議決をすることができる。ただし,定款に別段の定めがある場合は,この限りでない(法48の4Ⅱ)。
(5) 特別利害関係社員の議決権
社団たる医療法人と特定の社員との関係について議決をする場合には,その社員は,議決権を有しない(法48の4Ⅲ)。
(6) 定足数・可決要件
社員総会は,定款に別段の定めがある場合を除き,総社員の過半数の出席がなければ,その議事を開き,議決することができない(法48の3Ⅸ)。
社員総会の議事は,定款に別段の定めがある場合を除き,出席者の議決権の過半数で決し,可否同数のときは,議長の決するところによる(法48の3Ⅹ)。
(7) 総会議事録
ア 記載事項(法46の3の6→一般社団法57,施行規則31の3の2)
一 社員総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない理事、監事又は社員が社員総会に出席した場合における当該出席の方法を含む。) 二 社員総会の議事の経過の要領及びその結果 三 決議を要する事項について特別の利害関係を有する社員があるときは、当該社員の氏名 四 次に掲げる規定により社員総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要 イ 法第四十六条の五の四において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十四条第一項<監事の選解任についての意見> ロ 法第四十六条の五の四 において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十四条第二項<監事の辞任の理由> ハ 法第四十六条の八第四号<監査の結果等の報告> ニ 法第四十六条の八第七号 後段<監事の調査結果の報告> ホ 法第四十六条の八の三 において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百五条第三項<監事の報酬等についての意見> 五 社員総会に出席した理事又は監事の氏名 六 社員総会の議長の氏名 七 議事録の作成に係る職務を行つた者の氏名 |
イ 記名押印
規定なし。
8 理事会
(1) 改正
旧法では規定が全くなかったが,H28.9.1施行改正により新設された。
(2) 組織(改正46の7Ⅰ)
すべての理事で組織する。
(3) 職務(改正46の7Ⅱ)
次に掲げる職務を行う。
① 医療法人の業務執行の決定
② 理事の職務の執行の監督
③ 理事長の選出及び解職
(4) 招集
理事会は,各理事が招集する。ただし,理事会を招集する理事を定款又は理事会で定めたときは,その理事が招集する(改正法46の7の2→一般社団財団法93Ⅰ)。
理事会を招集する者は,理事会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては,その期間)前までに,各理事及び各監事に対してその通知を発しなければならない(改正法46の7の2→一般社団財団法94Ⅰ)。
前項の規定にかかわらず,理事会は,理事及び監事の全員の同意があるときは,招集の手続を経ることなく開催することができる(改正法46の7の2→一般社団財団法94Ⅱ)。
(5) 決議
理事会の決議は,議決に加わることができる理事の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合以上)が出席し,その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合以上)をもって行う(改正法46の7の2→一般社団財団法95Ⅰ)。
前項の決議について特別の利害関係を有する理事は,議決に加わることができない(改正法46の7の2→一般社団財団法95Ⅱ)。
(6) 一般社団財団法の準用(改正法46の7の2)
次の条文を準用している(改正法46の6の4)。
① 91条(1項各号を除く)(理事会設置一般社団法人の理事の権限)
② 92条(1項を除く)(競業及び理事会設置一般社団法人との取引等の制限)
③ 93条(招集権者)
④ 94条(招集手続)
⑤ 95条(理事会の決議)
⑥ 96条(理事会の決議の省略)
⑦ 97条(議事録等)
⑧ 98条(理事会への報告の省略)
(7) 議事録(改正法46の7の2→一般社団財団法95Ⅲ)
ア 記名押印者
理事会の議事については,法務省令で定めるところにより,議事録を作成し,議事録が書面をもって作成されているときは,出席した理事(定款で議事録に署名し,又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した代表理事とする旨の定めがある場合にあっては,当該代表理事)及び監事は,これに署名し,又は記名押印しなければならない。
イ 記載事項(一般社団財団法施行規則15Ⅲ)
一 理事会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない理事,監事又は会計監査人が理事会に出席した場合における当該出席の方法を含む。)
二 (省略)
三 理事会の議事の経過の要領及びその結果
四 決議を要する事項について特別の利害関係を有する理事があるときは,当該理事の氏名
五 (省略))
六 法第九十五条第三項の定款の定め<記名押印は代表理事とする旨>があるときは,代表理事(法第二十一条第一項 に規定する代表理事をいう。第十九条第二号ロにおいて同じ。)以外の理事であって,理事会に出席したものの氏名
七 理事会に出席した会計監査人の氏名又は名称
八 理事会の議長が存するときは,議長の氏名
9 定款変更
医療法 第五十条 定款又は寄附行為の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く。)は,都道府県知事の認可を受けなければ,その効力を生じない。 2 都道府県知事は,前項の規定による認可の申請があつた場合には,第四十五条に規定する事項及び定款又は寄附行為の変更の手続が法令又は定款若しくは寄附行為に違反していないかどうかを審査した上で,その認可を決定しなければならない。 3 医療法人は,第一項の厚生労働省令で定める事項に係る定款又は寄附行為の変更をしたときは,遅滞なく,その旨を都道府県 知事に届け出なければならない。 4 第四十四条第五項の規定は,定款又は寄附行為の変更により,残余財産の帰属すべき者に関する規定を設け,又は変更する場合について準用する。 |
医療法施行規則 (定款等の変更の認可) 第三十二条 法第五十条第一項の規定により,定款又は寄附行為の変更の認可を受けようとするときは,申請書に次の書類を添付して,都道府県知事に提出しなければならない。 一 定款又は寄附行為変更の内容(新旧対照表を添付すること。)及びその事由を記載した書類 二 定款又は寄附行為に定められた変更に関する手続を経たことを証する書類 2 定款又は寄附行為の変更が,当該医療法人が新たに病院,法第三十九条第一項に規定する診療所又は介護老人保健施設を開設しようとする場合に係るものであるときは,前項各号の書類のほか,第三十一条第五号及び第十一号に掲げる書類並びに定款又は寄附行為変更後二年間の事業計画及びこれに伴う予算書を,前項の申請書に添付しなければならない。 3 定款又は寄附行為の変更が,当該医療法人が法第四十二条各号に掲げる業務を行う場合に係るものであるときは,第一項各号の書類のほか,第三十一条第六号に掲げる書類並びに定款又は寄附行為変更後二年間の事業計画及びこれに伴う予算書を,第一項の申請書に添付しなければならない。 4 定款又は寄附行為の変更が,社会医療法人である医療法人が…(省略) 第三十二条の二 法第五十条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項は,法第四十四条第二項第四号<事務所の所在地>及び第十一号<公告の方法>に掲げる事項とする。 |
(1) 定款変更手続
絶対的定款記載事項として,定款の変更に関する規定が定められているだけで(法44ⅡⅩ),具体的な定款変更手続については,法令には規定がないようだ。
(2) 行政庁の認可
ア 不要な場合
次の場合には,遅滞なく届け出で足りる(施行規則32の2)。
① 事務所の所在地
② 公告の方法
イ 必要な場合
上記以外(法50Ⅰ)。
10 資産の総額
(1) 医療法の条文
第四十一条 医療法人は,その業務を行うに必要な資産を有しなければならない。 2 前項の資産に関し必要な事項は,医療法人の開設する医療機関の規模等に応じ,厚生労働省令で定める。 |
(2) 施行規則
第三十条の三十四 医療法人は,その開設する病院,診療所又は介護老人保健施設の業務を行うために必要な施設,設備又は資金を有しなければならない。 |
11 監督官庁
行政庁とはという定義規定はない。
(1) 医療法人の章より前の章
医療法人の章よりも前の規定には,「都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長」に,医師等への監督権限(法5Ⅱ),診療所等の開設許可権限(法7Ⅰ),設備・帳簿等の検査権限が与えられている。
(2) 医療法人の章
ア 原 則
都道府県知事が監督官庁となる(法63以下,及び法44,45,50,52等)。
イ 例外
例えば川崎市においては,川崎市へ各種届出をしている。神奈川県の定款変更の案内HPには,横浜市・川崎市・横須賀市は各市へ問い合わせされたいとの文言がある。法令には「都道府県知事」としかないので,おそらく,条例での権限移譲だと思われる。
12 定款の記載事項
一 目的 二 名称 三 その開設しようとする病院,診療所又は介護老人保健施設(地方自治法第二百四十四条の二第三項に規定する指定管理者として管理しようとする公の施設である病院,診療所又は介護老人保健施設を含む。)の名称及び開設場所 四 事務所の所在地 五 資産及び会計に関する規定 六 役員に関する規定 七 社団たる医療法人にあつては,社員総会及び社員たる資格の得喪に関する規定 八 財団たる医療法人にあつては,評議員会及び評議員に関する規定 九 解散に関する規定 十 定款又は寄附行為の変更に関する規定 十一 公告の方法 |